2007年4月1日日曜日

第29号(2007.04.01)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第29号
□───────────────────――2007.04.01─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.029
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


名古屋キャンパスへ引っ越して徐々に慣れてきていますが、ネットワーク
環境の変更に十分に対応できていません。MLの変更で管理方法が変わり、
慣れていないだけ面倒です。その代わりSPAMはなくなりましたが・・・
コジマガやゼミMLを手直ししようにも、センターが新年度を迎える準備で
忙殺されている状態では、なかなか尋ねにくいものです。ですから今回も
昨年までに登録したメンバーにのみ配信してます。

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■NGU短信 > IC付き学生証の登場の段
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☆関連サイト:http://www.sony.co.jp/Products/felica/

新しい年度が始まりました。その準備が3月末から順次行われています。
在学生のオリエンテーションのひとつとして、今年は健康診断に加えて
学生証の切り換えがありました。名古屋キャンパスでは瀬戸と違い、簡単
にキャンパス内へ誰でもやって来ることができます。特に、セキュリティ
には気を遣います。

そこで、学生証にFeliCaを搭載し、さまざまな場面で活用しようという
体制ができました。図書館や情報センターへ入館する際には、学生証が
必要です。証明書発行機もこれに対応しています。当然、教職員も常に
携帯が必要となりました。忘れてしまうと研究室があるフロアーへ入館
できなくなります。コンシェルジュがいるちょっと立派なホテルと同じ
感覚です。

ただ残念でならないのは、学内の決済サービスに利用してないことです。
すでにいくつかの大学は、カフェテリアや書店での決済に利用されてい
ます。大学は授業時間帯が決まっているので学生が集中し、レジの処理
は混雑します。そのような対策にはキャッシュレスが最も効果的ですが、
そのような対応は今後の課題でしょう。

新しい情報サービスを、どのように学生に向けて展開するかが重要です。
最悪なのは情報をサービスでなく、管理で使おうという発想です。Suica
やEdyなどはどうして受け入れられたのか?そして国が推進している住民
基本台帳ネットワークはなぜ普及しないのか?ということを考えれば、
火を見るより明らかです。

情報は「サービス」と「管理」の両刃の剣です。その剣を上手く使える
のは、市場メカニズムです。皆がお金を払ってまで使いたくなるような
サービスを展開することが最も近道です。使った分だけポイントが付い
たり、日常にある何気ないことを大学で導入すればよいのです。

経済学部では、新入生から「管理」の発想を払拭するためにICを使った
楽しみを考えています。その名も「Loto3」ゲームです。新校舎のすべて
の教室にICカードリーダが設置してあります。これを毎回授業で使って
管理を強化しても恐らく誰も喜びません。

そこで日比野学舎に設置してあるICカードリーダに、学生には期間内に
好きな3箇所で学生証のデータを読み込ませるように指導します。この
中にあたりが3箇所用意されており、2箇所以上当たった場合、賞品が
もらえるというゲームです。

このゲームのメリットは、学生を日比野まで引率しなくともよいこと、
学舎内を自分の足で確認すること、カードリーダの使い方を覚えること、
手とり足とりでオリエンテーションをしていますが、市場メカニズムと
ITと使うとこのようなこともできます。上手くゆくかは検証待ちです。

追記 オリエンテーションの打ち合わせで職員にこのアイディアを提示
したところ、面白いと反応はとても良かったのですが、「こんな発想を
するのは、先生ぐらいしかいませんよ」と褒められらたのか、けなされ
たのか・・・やれやれ・・・オリエンテーションの準備も疲れます。


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■ 本の紹介
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☆関連サイト:http://www.tron.org/

『変われる国・日本へ』,坂村健,、アスキー新書,\720
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TRONで有名な東大の坂村教授の最新刊(2007年3月27日初版発行)です。
この本のサブタイトルは「イノベート・ニッポン」で、安倍内閣の主要
政策のひとつである「イノベーション25」について書かれています。
著者も政策立案メンバーなので、国際競争や産業政策との関係も具体的
な例を挙げて、分かりやすい説明になっています。

また、オープン・ユニバーサル・ベストエフォートというキーワードは
IT関連の用語ですが、これを社会システムに応用した切り口としている
ので経済学部出身者には、面白いのではと思います。さらに繰り返しの
説明が多いので、初めて読む人にはわかりやすく、ちょっと知っている
人にとってはくどいと感じるかもしれません。

この本の読後の感想として、「ベストエフォート」の使い方が上手だと
思います。実用化を目指すエンジニアの発想は、理論ばかりの話よりも
とても興味深い現実を示唆してくれます。非常に同感するのは、実施前
にあれこれ議論するよりも、まずやってみて、それを修正しようという
考え方です。新しいことこそ試さなければ良し悪しがわかりませんし、
議論ばかりで何も手をつけなければ、時間とともに世界の後塵を拝する
ことになるでしょう。

予想通り、最後の章(付録)は、TRONの説明でした。坂村氏の著者のは
よくあるパターンです。多くの場面で、プロジェクトを宣伝することは
とても重要です。TRONについては、プロジェクトXのDVDをご覧になると
よでいしょう。


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■最近のゼミから
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☆関連サイト:

3月15日に卒業式が挙行されました。例年のごとく卒業式は礼拝形式で
挙行されましたが、最後の黙祷と後奏を聞きながら年度が終わったんだ
なぁとしみじみ感じてしまいました。本当に悲喜こもごもの一年でした。
また、瀬戸キャンパスで行う最後の卒業式と思うと何とも表現できない
思いです。来年は国際会議場で行います。

追い出しコンパは卒業生の新しいスタートを祝う会で、3年生の就活の
相談会でもあります。今回は卒業生や3年生が大変お世話になった職員
にもお越しいただき、謝恩会の様相が生まれたのはよかったと思います。

人間力として「出藍の誉れ」「命の使い方」「ビールのつぎ方」などを
酔っぱらいながら語ってしましまいました。彼らが、早く私を追い抜い
てくれることを楽しみにしています。

【ご案内】
新学期のゼミ教室です。
 1年 基礎ゼミ  火曜3限 608教室(白鳥)
 2年 専門演習I  月曜3限 506教室(白鳥)
 3年 専門演習II 月曜4限 506教室(白鳥)

3年ゼミがゼミ活動のコアとなりますので、活動予定をドメインサイト
に書き込むつもりです。(最近、忙しすぎて疎かになっています・・・)

【行事案内】
日時:4月23日(月) 新歓コンパ
詳しくは、.NETを参照下さい。


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■編□集□後□記□
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名古屋の新研究室にクリムトの『人生は戦いなり』のポスターを持って
きました(この絵画についてはコジマガ20号参照)。英語の先生が私の
研究室にいらした時、「クリムトがお好きですか?」と尋ねられました。
何も説明しなくとも、これがクリムトとわかるところが教養です。また
学部長もご存知で、先生方とこの絵に関する話題で盛り上がりました。

このように共通する話題があるとスムーズな会話とともにお互いが理解
できます。人と何かを共有するために必要なのは、日頃からの興味関心
を広げ深めることでしょうか?私もまだまだ修行が足りません。