2005年7月18日月曜日

第13号(2005.07.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第13号
□───────────────────――2005.07.18(海の日)―
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.013
*等幅フォントでご覧ください。

小中学生の夏休みが始まると、万博はさらに盛り上がることでしょう。
雨不足から一転、梅雨の恩恵で名古屋の水瓶も潤い、この夏の心配事が
減りホッとしている業種の方もおられるのではと思います。連日の大入
りで、万博の成功が確実視されるとポスト万博が議論され始めます。

最近、自宅の窓越しに名古屋駅方面を望むと、ミッドランドスクエアや
ルーセントタワーの大規模工事がかなり目立ちます。また名古屋高速の
伸長工事以外にも、民間のマンション工事も多く、大小併せて13基の
クレーンが見えた時には、名古屋経済の強さを垣間見た気がしました。

つい最近までは不良債権処理に喘いでいた日本経済にあって、一人勝ち
の名古屋経済を見ると、やはり「景気」とは「気」の問題であるように
思えます。しかし、個人の財布や家計簿は侘びしい変化ですが・・・。


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■NGU短信 > Human Resources とは? の段
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大学は学期末試験が始まりました。2週間の試験後、長い夏休みが待っ
ています。しかし、最近は学生向けにには「インターシップ」「留学」
などの行事が盛りだくさんになりました。(教室以外の経験は重要です)
営業面でも、AO入試やオープンキャンパスなどもあります。10年前とは
大きく様変わりしています。これも大学間で競争原理が働いているから
でしょう。先日、萩国際大学が民事再生法の適用を受けて、事実上経営
破綻しましたが、文部科学省の官僚体質丸出しの無策状況下では、この
トレンドは回避できないように思います。

ご存知のように本学のロゴには、Culture and Human Resourcesという
文言が標記されています。これを日本語でどのように訳したらよいでし
ょうか?経済学の視点では「人的資源」が一般的です。これはノーベル
経済学者G.ベッカーの考え方で、人間も資源のひとつであるという前提
にたち、人間は常に合理的な行動をするというというシカゴ学派の考え
方です。この考え方はあまりにもドライなので、宇沢さんが強烈に批判
をしています。(人間はそのような一元的な考えに規定されるものでは
なく、豊かな感情や人間性により行動するという反論である。)

では教育の現場ではどう訳すべきか?やはり「人間力」が最も当てはま
りがよいと思います。人間とは非常に難しい存在で、そもそも自分がど
のようなものかも理解できないし、変幻自在の存在です。たった一人の
人間では無力で弱い存在かも知れませんが、その可能性は無限であり、
強い存在であることをプロジェクトXなどが取り上げています。

どのような子供でも多様な体験といくつもの実践を通じて、鍛え上げて
やれば、大きな器を持った社会人として重用される存在になるはずです。
(宇沢さんはこれをインネイトとして表現しています。)これは以前に
も述べたように偏差値というひとつの尺度では測れません。(しかし、
学習能力を全否定している訳でもない。)

大学ロゴの「Human Resources」は教育機関にあって、学生育成への強い
信念を表現している素晴らしいスローガンです。大学の最も大きな資産
は、卒業生であると思っています。いかに彼(女)らが活躍し、そして
大学関係者を含め相互に刺激しあってこそ伸びてゆくのが大学であると
信じています。卒業生がゼミで鍛えた人間力をいつか花咲かせてくれる
ことを楽しみにしています。

最後に、このような日本語訳で感心した言葉には「リーダーシップ」が
あります。親交のある英語の先生は、これを「言い出しっぺ」と訳され
たことにある種の感動を覚えました。福沢諭吉が訳した「自由」、正岡
子規が訳した「野球」など真意をついた日本語訳は難しい作業です。

参考文献:宇沢弘文,『日本の教育を考える』,岩波新書,1998


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■最近のゼミから
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☆関連サイト:http://www.ngu.ac.jp/~kkojima/seminar/bowling2005.html

この時期は学期末試験で学生にとって慌ただし頃ですが、今年も春学期
の大きな行事が無事終了しました。まず、第8回のゼミボーリング大会
の結果は上記リンク先をチェック下さい。また、恒例のゼミ合宿が無事
に行われました。2年生の参加がなく残念ではありましたが、これから
上下関係による「人間力」向上を期待しましょう。

なお、一連の行事はデジタルビデオで記録していますので、いつかどこ
かで披露できれることを楽しみにしています。

【行事案内】
春学期中にサブゼミへ3年生の参加がなかったことに驚きましたが、
夏期期間中のサブゼミの日程は、.NETを参照下さい。


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■ゼミサイトの話題:ブログとCMS
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☆関連サイト:http://www.kojima-seminar.net/

ベストセラー「電車男」を生み出し、ますます注目されるブログですが
この手法には特筆すべき点がたくさんあります。まず、書くための情報
技術の取得は不要で、読んでもらうための書く技術が重要となります。
魅力的なコンテンツを生み出すには、天才的「創造力」が必要ですが、
ある程度ならば訓練で必ず能力はアップします。これは、何よりも読ん
でもらった数、引用された数(リンクされた数)トラックバック数とい
う数値評価がされます。このデータを元に、どのようにすれば引用され
るようになるかということを常に考え、試行錯誤することにあります。

広く評価を受け、自分(達)で改善するという思想はインターネットに
内在しています。ここでの評価は「読む価値がある」ということなので、
経済学ならば価格メカニズムが正しく機能しているといえるかも知れま
せん。相互評価により駄文は棄てられ、互いの発展・進化に役立つ知恵
が残されてゆきます。これはオープンソースにもつながる考え方です。

ブログやCMSなどで、自分の意見や考えを正確に伝えるという技術こそ
文科系学生にとって大学時代につけておくべき本当に必要な力でないか
と社会科学と情報を研究している先生方は異口同音におっしゃいます。
従来型サイトでは、ユーザの発信・発言を運営・管理することは管理側
にとって大きな負担でした。これをWeb上で処理する方法が主流になって
のもブログの寄与するところが大きいででしょう。

いきなりブログではという方には、CMSからのスタートが良いと思います。
限定された会員だけが読んでいるので、コミュニティ内のトレーニング
と考えればよいでしょう。バックボーンが共有できていますので、安心
して利用できるかと思います。

【利用案内】(04) アバター編
アバターは英字で、avatarと表記し、化身とか体現者という意味です。
インド神話に基づくものだそうですが、今やネット用語になってますが
まだ一般化されていません。自分の趣味やペットなど自分を具現化する
にふさわしいものが、適当でしょうがなかなか見つかりません。そこで
私も適当に作ってみました。何度か変えてゆくうちにふさわしいものに
出会えるかも知れません。なお、これは書き込みの欄の右側に表示され
ますので、一度ご覧下さい。(いつでも変えられますので、お早めに)


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■編□集□後□記□
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いよいよ10周年パーティが近づき、周辺や日程なども慌ただしくなって
きました。たまには締めることも必要で、準備にも「人間力」が試さ
れています。恐らく、名古屋弁でいう「まわしをする」という作業は、
気配りが最重要かも知れません。これも、すべてのことに応用が利く
はずなので、頑張ってゆきましょう。