2012年2月4日土曜日

第88号(2012.02.04)


□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第88号
□───────────────────2012.02.04─
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.088
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


大寒波とともに2月がやってきました。名古屋でも15センチの積雪と2年
ぶりの雪景色に日本の冬を感じます。急激な冷え込みに足元も凍結して
おり、思いがけぬ転倒のおまけ付きです。幸い無事でしたが、皆さまも
気をつけてお過ごしください。全国的にインフルエンザも流行中なので
日々、油断大敵です。


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■NGU短信 > 地下鉄広告の段
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年末の地下鉄で、本学の広告をよく見たという方も多かったのではない
でしょうか。かつては全く宣伝に関心のない大学でしたが、この数年は
積極的に広報をするようになってきました。たしかに全国に700以上もの
大学があるので、どこかで目につかないと忘れ去られてしまいます。

まず、研究・教育などの成果で知られることが第一でしょう。これらは
大学の本分ですから、継続した努力が求められます。次に大学関係者の
活躍が記事となることも重要です。在学生や卒業生の活躍は本人の努力
が認められた結果ですが、同じ所属の(だった)人たちの話題ともなり、
プラスの影響があると思います。スポーツ選手たちの活躍は、対外的な
広報に加えて、関係者にとっても明るい話題となります。

そして一般広告です。この効果はすぐに数字に表れるものでもないので、
その評価はさまざまです。おそらく広告によって入学志願者数の増加を
期待するのでしょうが、それ以外の効用もあると考えます。特に、OBや
関係者が広告を目にすれば、大学の存在を再認識する効果があります。

かつて競合大学が積極的に宣伝をしていた頃、ゼミの卒業生から「なぜ
本学は広報をしていないのか?卒業生として淋しい」という嘆きに近い
言葉をもらいました。これは、いまでも強烈な記憶として残っています。
このようなメディアを使った広報には賛否両論があります。個人的意見
としては、資金を投じるのであれば目立つぐらいのインパクトある広報
が必要と思います。(もちろん、品がないようでは困りますが・・・)

その他、最近は学内で頑張っている取り組みが新聞に掲載されることが
増えてきました。優れた取組みが数多あったにもかかわらず、これまで
低い評価でしかないことに疑問を感じていました。表面的でなく、実態
を伴った宣伝を継続してゆけば、対外評価も高まってくると期待します。
最終的に大学のブランドを確立できれば、卒業生はじめ関係者がもっと
自信やプライドを持って行動できるのではないでしょうか。


────────────────≪  books ≫─
■ 本の紹介
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『男子の本懐』,城山三郎,新潮文庫
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最近は作家城山三郎に興味を持っています。彼の作品をコジマガで
取り上げるのは、02号の『気張る男』、38号の『粗にして野だが卑
ではない』に続いて三回目です。氏の経歴や作風を知れば知るだけ、
共通点が見えてくるので、親近感がいっそう湧いてきます。

地元名古屋出身である城山三郎氏は、日本を代表する経済作家です。
繁華街の錦三丁目で商売屋の子供として生まれ、名古屋商業へ進学、
17歳で志願兵となるも悲惨な現実を目の当たりにします。終戦後は
一橋大学に進学し、経済学を学びます。また、キリスト教の洗礼を
受けます。卒業後は、愛知教育大学(旧:愛知学芸大学)の教官と
なり、経済学を教えていたそうです。この時代には、金城学院でも
教鞭を取ります。本気で作家を志していた頃、千種区城山町へ3月
に引っ越したことから「城山三郎」というペンネームを使い始めた
そうです。

本格的な執筆活動に至るまでの経緯を見ても、名古屋のキリスト教
主義大学で経済学を専攻する学生は、氏の作品をひとつでも知って
おくべきではないかと思います。氏の主人公は、激動の時代に翻弄
されながらも、実際の体験から自己を研鑽した気骨ある人物を描き
ます。それは氏の自らの体験と重なる部分が多いからでしょう。

さて『男子の本懐』です。これは日本の近代史で学習する金解禁を
実施した首相の浜口雄幸と蔵相の井上準之助が主人公です。昭和の
初めは第一次世界大戦後の混沌とした時代であり、世界の政治経済
の激動にあって日本がいかに舵を取るかを試されていたように思い
ます。作者が描く当時の日本の状況は、なぜか現代の政治経済にも
通じるように感じました。実直な濱口首相は財政の健全化を目指し
緊縮財政を実施します。それを担当する相棒が井上準之助です。

井上準之助は二度にわたり日本銀行総裁を務めた人で、浜口内閣で
大蔵大臣に抜擢されます。財政立て直しと金解禁を実現するという
二人の信念の物語です。経済学で学ぶように緊縮財政は景気を冷え
込ませるので、民衆にも評判はよろしくなく、軍事予算のカットは
軍部から疎ましく思われます。その結果、二人は暴漢に襲われて、
非業の最期を遂げます。まさしく命がけの仕事でした。消費税増税
議論を聞きながら読むのには、お薦めの一冊です。

また、城山三郎氏の『ゴルフの時間』を読みました。氏はあまりの
ワーカホリックぶりで身体が寝ることを忘れてしまい、病を患って
しまいました。医師から健康のために軽い運動を勧められ、そこで
ゴルフを始めたそうです。今回の主人公の一人である井上準之助は、
日本人による日本のゴルフ場を初めて開場させた人です。日銀時代
に井上はアメリカへ左遷させられて、その時にゴルフを覚えたそう
です。『男子の本懐』にも数ヶ所にゴルフの記述が出ています。

いまだゴルフに対する偏見が強い日本ですが、オリンピック競技に
なり、アメリカではごく普通のスポーツです。昨年、オバマ大統領
がビンラディンの暗殺を指示し、実行中にはゴルフをしていたそう
です。もちろん計画が事前に漏れないようにカモフラージュさせた
行動ですが、なんともアメリカらしいエピソードです。


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■最近のゼミ・講義から
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1月21日(土)に東京出張の機会があり、その晩に東京近辺在住の
OBを中心とした飲み会となりました。恒例の忘年会の折、新年会
をやろうかと盛り上がり、そのままの勢いで初のイベント開催と
なりました。

当日はあいにくの冬の雨で足元が悪い状況でしたが、新宿で顔を
揃えたメンバーとの飲み会は大変心温るものでした。お陰で明日
へのエネルギーをチャージできました。小生を除いても参加者の
平均年齢は35歳を超え、大人の飲み会です。

近頃は年数回は上京する機会がありますので、このような飲み会
を無理なく、楽しく続けられれば幸いです。少なくないゼミOBが
首都圏で頑張って仕事をしていますので、会を重ねるごとに人の
輪が広げられれば、いっそう楽しくなることでしょう。facebook
やTwitterなどもあるので、これらの連絡手段を使うのも便利です。

とりわけ、幹事の岩月くんにはいろいろとお世話をかけましたが、
参加者皆さんのお陰で楽しいひとときを過ごすことができました。
一人ひとりの心遣いに感謝します。また、お目にかかりましょう。


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■編□集□後□記□
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先月のセンター試験は「往生こいた」というのが正直な感想です。
名古屋弁で表現したくなるような状況で、何とか事無きを得たと
いう状態です。55万人が同一日時に一斉受験するという離れ業を
実施できるのは、日本社会のスゴさを感じます。だたし、無事が
当たり前となっているだけにトラブルに巻き込まれた受験生には、
同情を覚えます。

報道されているように、混乱の主な原因は試験方法を変更させた
ことでしょう。初日1時限目には写真シールの配布があり、かつ
社会は配付用紙の種類(パターン)が多いだけに、作業が煩雑に
なります。配布準備に割り当てられる時間は例年通りであるにも
関わらず、携帯電話に関する指示まで加わりました。これは昨春
起こった携帯電話によるカンニング事件への対応です。こうした
状況で、監督者のマニュアル通りでは時間が足りません。

センター試験1日目が終了した夜、ニュースで各会場での混乱が
報道されました。それに対して大学入試センターは「混乱の原因
は監督者の不慣れ」とのコメントを発表しました。その後、事実
が次第に明らかになるに従って発言が変わり、最期には受験生へ
謝罪に至りました。この対応のまずさにはただ呆れるばかりです。

組織の危機管理と対応の甘さの例として、よく見られる一例です。
故城山三郎氏であれば、どのようなコメントをするのだろうかと
考えてしまいました。


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