2011年2月13日日曜日

第70号(2011.02.13)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第70号
□───────────────────――2011.02.13─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.070
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。

2010年はiPhone4とAndroid携帯によって、スマートフォン元年になりました。
今年は各社からタブレットがぞくぞくと登場するのに加えて、春にはiPad2の
発表されるとの噂が世界中を駆け巡っています。2011年は、スマートフォンと
タブレット端末が入り乱れて、熾烈な競争を繰り広げながら新たな市場を開拓
してゆくものと期待されます。

また、これらの通信インフラにも大きな変化が見られます。日本でDocomoが
昨年末にLTEサービスを開始しました。アメリカでもVerizonがLTE用の携帯
新機種を市場にどんどん投入しています。無線による高速ブロードバンドは
LTEに加えて、無線LANからの発展形であるWiMAXとの競争によって、急速に
市場へ浸透するように思われます。

今年の通信関連市場の動向は見逃せません。


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■アメリカ短信 > アメリカ経済の段
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☆関連サイト:http://www.cnbc.com/

アメリカにいると日本の情報はほとんど入ってきません。ネットなどで自分で
情報を取りに行かないと全く分からない状況になります。幸いアパートメント
も研究所もネットは完備ですし、さらにiPhoneからでもアクセスできますので、
まずまず快適な情報環境と言えるでしょう。

日本人がアメリカ生活を送ると為替の動きにかなり敏感になりますが、地元の
人は円ドルレートに全く関心はなさそうです。そもそも円と元・ウォンなどの
区別がつかない人がいても不思議でありません。また、例えばカシオが日本製
ということを知りませんし、韓国製品と日本のそれと明確には意識していない
と思います。多くの日本人が海外事情にそれほど関心を示さないのと同様です。

テレビではCNBCが株や経済の専門チャンネルなので、これを見ると経済や社会
の動きや話題になっていることが把握できます。また、株式の話題では、日本
であまり馴染みのない企業の名前も覚えることができます。さらにバーナンキ
FRB議長が実際にインタビューを受けていたり、自らコメントを出す姿を見る
こともできます。日本では新聞記事でコメントを読むことはあっても、映像で
見る機会は少ないだけに、貴重な経験です。

さて、2008年のリーマンショックでは甚大な損失を被ったアメリカでしたが、
株価は以前の水準ぐらいまでに戻しています。やはり日本の不良債権処理の
失敗から学び、迅速かつ大きな措置を施した成果でしょう。そんなアメリカ
ですが、オバマ政権発足時に掲げた公約の実施は、思惑通りに実現できない
ようです。国民皆保険制度の「オバマケア」は大きな政府の象徴としてみな
され、異論が噴出しています。これ以上の国の借金はすべきでないという声
が大きくなっています。昨秋の中間選挙で米国民主党が大負けをし、閣僚も
入れ替えしたのは、あまりにも日本とソックリです。

S&Pが日本国債の格を下げた報道に対して、CNBCは日本の逼迫した財政状況
を引き合いに、オバマ政権の経済政策へ危機感を煽っていました。すなわち、
大きな政府ではギリシアや日本のようになってしまうぞということを国民に
警鐘しているようです。このようにテレビの専門チャンネルではアメリカの
政治・経済だけでなく、世界の動きにも大きな関心を払っているように思え
ます。(アメリカの外交は国務長官の役割ですから、アメリカにとって世界
事情も国務の範囲なのでしょうか。)

一般教書演説以降、オバマ政権は政策転換を図っているようですが、現実に
合わせ柔軟に対応しているように見えます。しかし、基本となる成長戦略は
不変です。日本との違いは、いかに持続的に経済発展させるかという視点が
ぶれていないことでしょう、昨今、日本市場から外資がどんどん逃げてゆく
のは、グローバル化への対応の遅れや危機的な財政状況下での国債依存体質
から脱却できないところにあります。何より、揺るぎない成長路線が描けて
いないのが一番の問題でしょう。

日本経済の動きはアメリカの市場動向をチェックしていると理解が容易です。
昨年11月18日にGMが再上場しました。これに呼応した形で、一時的に円高に
歯止めがかかりました。すると日経平均が上昇します。また北朝鮮が韓国に
攻撃を加えました。すると有事にはドルが強くなるので、直ちに円安に振れ
ます。さらに、アメリカの主要な経済データが発表になると、アメリカ市場
が大きく反応して、日本はその影響を受けます。このようにアメリカ経済の
大きな影響を感じます。やはり日本経済だけを注視するのでなく、アメリカ
というフィルタを通して世界経済を眺める重要性を再確認しました。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/2Block/05/05-2_text.html

授業が行われるメインキャンパスには研究所に車を停めてシャトルバスで移動
します。いつも研究所の敷地内に停車するルート9番のバスを使っていました。

最初の授業日には、8時30分の開始時間にあわせて時間に余裕を持って停車所
で待っていました。しかし、バスはなかなか来ません。待っている間にルート
5番のシャトルバスが何本も通ってゆくのが見えます。時間が経過するにつれ
だんだん焦ってきます。仕方なくルート5番の停車所へ急いで移動です。9番
のバスはあまりに不定時なので、次回以降は5番のバスを使うようにしました。
研究所の周辺はパーク&ライドになっていますので、第3週目からはルート5
のバス停近くのパーキングに車を停めることにしました。

毎回乗るバスには常連さんがいることも分かってきました。バスの中で学生は
音楽を聞いたり、宿題をしたり、本(nookも)を読んでいたりとさまざまです。
日本と違うところを一つ発見しました。居眠りをする、またはしようとしてる
人がいないということです。日本ならば、どんな短い時間でも寝ようとする人
はいます。また、終点が目的地のバスですから、寝ていても乗り過ごす心配は
ありません。でも、この車内ではまだ見かけたことはなく、日本の通勤・通学
風景とはちょっと違います。

さて、授業も第5週目を過ぎてくるといろいろなことが分かってきます。まず、
インストラクタである教員の指示にしたがって、学生が全員ネットから書類を
ダウンロードし、プリントアウトしてきます。授業のルールとして当然のこと
ですが、日本ならば「プリンタがない」「パソコンが壊れた」など、さまざま
な言い訳とともに提出できない学生もしばしば見られます。もちろんUCFでは
大学からノートPCを全学生に渡しているわけではありません。そうでなくとも
ICTの要求もきちん守れる環境に驚きです。授業での約束事(プロトコル)が
しっかり提示されていますが、それが守られているようです。

次に、学生の学習到達度と目標が明らかになっていることです。これを遂行上
で重要な書類がルーブリック(Rublic)です。学生はこれまでの成果(自分で
作ったレポート及びチェックされたメモなど)を紙のファイルにまとめますが、
ルーブリックが一緒に用意されています。ルーブリックとは授業での達成目標
(複数)に対して、どこまで進捗しているのかかを明らかにした表のことです。
学生はそれを見ながら、これらか自分の努力すべき点を確認してきます。

また、事前に読んでおくべき文も学生は読んできているので、face to faceの
授業も上手く展開できています。最近、サンデル教授の「ハーバード白熱教室」
が日本で話題となっているようで、大学が目指すべき理想の授業形態のように
扱われているように思えます。しかし、注意が必要なのは、このような授業の
前提には教員の努力・能力もさることながら、学生たちの事前の準備が求めら
れていることです。何の準備もなく聞いているだけの学生とアメリカのように
事前の課題をこなして臨む学生とでは、アプローチを変えなければなりません。

1回あたり50分の授業ですが、20名以下のクラスサイズということもあってか
無駄がなく中身は濃いように感じてます。さらに週3回なので学生にとっては
ハードな授業のように思います。最初に比べて学生が少しばかり減ったように
思いますが、授業についてこれなくなりドロップアウトしたのかも知れません。
3割以上の学生がドロップアウトしてゆくアメリカの大学だけに、この状況も
分からなくもありません。


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■編□集□後□記□
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先週、第45回スーパーボウルがテキサスで開催されました。やはりアメリカ
最高の舞台だけにいろいろなところで話題になっていました。当日は自宅の
アパートメントで観戦です。テレビで映し出されていた有名人にはブッシュ
前大統領とその側近たちもいました。

試合は、前半からリードを保ったパッカーズが優勝です。スティーラーズの
追い上げで3点差まで迫りましたが、やはり3回ものターンオーバーが勝利
の要因でしょう。試合だけでなく、ハーフタイムやTVコマーシャルが面白い
のも印象的です。ハーフタイムショーはコンサートさながらですし、また、
各社が競ってCMづくりをしているのがよく分かります。いつトイレに立って
よいかに悩みました。これでアメフトもシーズンオフです。