2014年2月9日日曜日

第104号(2014.02.09)


□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第104号
□───────────────────2014.02.09─
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.104
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


2014年になり、初めてのコジマガです。年が明けてからいよいよ卒論
指導が大詰めを迎えたので、発行するタイミングを逸していました。
ようやく一段落したので、久しぶりのメルマガとなりました。今年は、
名古屋学院大学と児島が誕生して50年を迎えます。また、大学に就職
してから20年目となります。個人の年賀状にそのようなことを記載し、
節目の年に気持ちを引き締めました。


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■NGU短信 > 卒業論文指導が終了の段
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☆関連サイト:http://blog.ngu.ac.jp/kgakusyu/2013/12/bridgeno3.html

去る2月7日に、児島ゼミナールの2013年度の卒論指導が終了しました。
秋学期の成績開示日に、ゼミ生全員が完成したことで安堵しています。
ゼミ生たちの焦る姿様子は、12月中旬あたりから徐々に出てきました。
直に先輩たちの苦労する姿を見ていないことと、初めての経験だった
だけに、作成に臨む態度が甘かったり、自分の能力への過信が遅れに
つながったように思います。

今年度は1月15日が経済学部としての提出期日で、そこから論文内容の
チェックをし、2月初旬までに成績評価を提出しなければなりません。
毎度のことですが、論文のチェックと加筆修正には大変な労力が必要
です。多くの学生が抱える表面的な課題は以下の2点です。1)他人に
読ませる日本語が書けない、2)ワープロをはじめデジタルツールが
うまく使いこなせない。

まず、大学に3年以上も在籍しているにもかかわらず、文章が書けない
ことは大問題です。どうやって単位取得できたのか、認定した教員側
にも問題があるかも知れません。その中には、成績優秀者として表彰
された学生も含まれているから驚きです。

また、Wordでの作文となると悲惨さは増します。機能を知らないので、
体裁はバラバラでどうして整えるのかわからない学生も見られます。
本学は全学生にノートパソコンを持たせ、情報処理リテラシーの授業
を実施しています。にもかかわらず、この有り様です。単位の取得と
本物の実力はまったく違うということを示す好例かもしれません。

卒論作成プロセスを、社会で生き抜く本物の実力を養成する教育機会
とする必要があります。効果的な実践とするには、教員が一人で学生
を相手にするのでなく、ゼミ生同士の相互扶助を進めることでしょう。
前に表面的な課題を挙げましたが、根本的な問題はマネジメント能力
です。目標を達成するには、いかに行動するかを自ら計画しなければ
なりません。面倒な仕事になるほどこの能力が必要なので、ゼミ生に
求める一番の能力です。

今年度は「はじめに」「おわりに」などの赤ペン指導によって約2本
の赤ペンインクがなくなりました。また、ダメ出し原稿はPDFにして、
CCSのフリーフォルダにアップしました。ファイルの総数は80を超えて
います。提出された完成原稿を元に製本準備しています。毎回、序文
を書いていますので、これを完成させれば準備完了です。新たな試み
としては、今年度からEPUBでの電子書籍化に挑戦する予定です。

18期生たちの指導は終わりました。これで、今年度も無事に終わった
達成感があります。今回もいろいろな挑戦をしました。3年ゼミから
卒論完成まで2年間でルーブリックを使ってきました。このプロセス
でどれだけの力がついたのかを可視化することに成功しました。この
結果には満足しています。また、卒論指導の最中に教育学習センター
からインタビューを受けました。その中で、ゼミ指導の話題にも触れ
ましたら、ブログ記事にまとめてもらいました。もしお時間があれば
ご笑覧ください。


────────────────≪  books ≫─
■ 本の紹介 > 希望のつくりかた
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☆関連サイト:http://book.asahi.com/reviews/column/2011071700414.html

『希望のつくりかた』,玄田有史,岩波文庫

著者は東京大学で、労働経済学を研究している経済学者です。2001年に
出版された『仕事のなかの曖昧な不安 揺れる若年の現在』(中央公論
新社)は、サントリー学芸賞及び日経経済図書文化賞を受賞しています。

若者の不安を研究する中で、人が将来へ希望を持つにはどうあればよい
かという課題が、筆者を「希望学」への研究へと駆り立てたのでしょう。
現状を客観的に分析するだけでなく、どのようにすべきかという政策的
な提言をするためには、希望とは何か、どうすれば希望を抱くのか、と
いう視点での研究が必要です。そして、国民が将来への希望を持ること
ができる社会を実現するにはどうあるべきかという研究に繋がります。

例えば、筆者は現地調査で数度にわたり岩手県釜石市を訪問しています。
かつて鉄鋼産業が繁栄していた頃は、釜石市は大きな賑いを見せていま
した。ラグビーの新日鉄釜石は全国制覇するなど、その名は全国的にも
知られています。しかし、アジア諸国のキャッチアップがあって、鉄鋼
産業が傾いてくると主要産業に依存していた町に活気がなくなります。
とはいえ、その土地で生計を立てて、町の振興に力を注ぐ人々は少なく
ありません。そのような人たちとの関わりから「希望とは」何かを探る
ようなアプローチをしています。ご存知のように釜石市は東日本大震災
で甚大な被害を受けました。それ以前にこの本は出版されています。

さて、この本で心に残った部分は「Weak Ties(弱い紐帯)」の話です。
この用語は、社会学はじめ情報システムやネットワーク理論でも扱われ
ており、マーケティングでも応用されています。ここでも登場したこと
に驚きましたが、確かに役立つ話です。普段から自分の周りにいる人間
は同じ類型であって、広がりに欠けるところがあります。しかし、全く
異なる集団であれば、多様性に富み自分の求めているものと出会う確率
が高まります。例えば、毎日顔を合わせるような組織よりも同窓会など
弱いつながりの方が、新たな機会が広がるということです。

最近はSNSを対象としてネットワーク構造の研究が進んでいます。周りに
いる家族や友人、会社などの強い関係だけでなく、極めて緩い繋がりが
SNSで実現できています。多忙な日常を過ごしていると、周りの世界だけ
で手一杯です。一生という長期的な視点で見れば、緩やかな人間関係を
保っておくことも重要であることを示唆しています。


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■最近のゼミから > ゼミサイト更新の段
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☆関連サイト:http://www2.ngu.ac.jp/~kkojima/seminar/

年末にゼミのサイトを更新しました。個人情報に対応し、暫定版のまま
でしたが、今回の変更では、基本的なデザインは残しながらも、情報を
取捨選択し、必要な情報を全面に出すようにしました。

今日では毎日のように利用するネット上のツールが増えています。授業
ではCCS、SNS(Facebook、Twitter)の他、ゼミOB会でのCMS(XOOPS)、
コジマガのブログ(Blogger)、メーリングリスト(kojimag@)と多様
です。どれを使うべきかは難しい選択ですが、関心あるユーザにとって
ポータルがしっかりしており、手間いらずならばどれでも構わないはず
です。サイトの構成に正解はありませんが、今回の更新では時代の流れ
を取り入れてみました。主な変更点や構成内容は以下のとおりです。

まず、ヘッダー部分には外部サイトへのリンクとして、大学公式サイト
facebook(大学・児島ゼミ)、ゼミOBサイトとしました。タイトル名の
背景色は本学のスクールカラーにして、ファビコンも付けました。

次に、左カラムです。20年に渡るゼミのデータやゼミ運営のノウハウを
掲載しています。これらを蓄積して公開する場所は、ゼミのサイトしか
ありません。確かにFacebookやメルマガ、Twitterは即時性があります
が、ゼミで必要なTipsをここから探すには不向きです。また、CCSでは
学年ごとにクローズであり、1年限りなので長期継続するゼミでは問題
があります。アーカイブとしての機能に優れるのは、ゼミのWebサイト
です。そこで、クリエイティブ・コモンズでのゼミ教材を中心に再構成
しました。4年生の卒論指導に関するファイルは、ここから誰でも入手
できるようにしました。さらに、ゼミでの新たな指導法や活動記録は、
年に2回程度、更新できればよいと考えています。

2015年にはゼミが創立20周年となりますので、そろそろ過去のデータを
纏めておかなければ散逸してしまう恐れがあります。そこで、サイトの
更新にあわせて、クロニクルの整理をしました。■になっている部分が
わからなくなっている部分です。写真に日付が入っている行事は本当に
便利でした。卒業生の皆さんは、お手持ちの資料から調査してもらえる
と助かります。

そして、右カラムにコジマガの見出しを最新号から順に提示しています。
2010年にコジマガをブログでも保存し始めたことで、このようなリスト
をRSS機能で自動作成することができました。これで最新号も自動的に
表示され、手間いらずです。コジマガとうまく共存できるような構成と
しました。なお、最下段は、児島がアメリカ留学でお世話になったUCF
とCDLのリンクが張ってあります。


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■編□集□後□記□
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昨年末(12月30日)にゼミOB会の主催による忘年会が開催されました。
多くの出席者があり、遠方より駆けつけてくれた卒業生もいて、いつも
のように楽しい会となりました。3・4年の現役生の参加もあり、きっと
彼らには大きな刺激になったように思います。


■コジマガ・バックナンバー
☆ブログ: http://kojimag.blogspot.com/
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