2019年2月8日金曜日

第147号(2019.02.08)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第147号
□───────────────────2019.02.08─
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.147
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


マラソンシーズン真っ盛りということで、週末にハーフマラソン大会や30K以上の
タイムトライアルに参加しています。まとまった時間が取れないので、大会など
に参加することで練習の一環としています。毎回、いろいろな気づきがあるので
次回への反省にしています。山中伸弥教授が、テレビで自分のマラソンについて
「昨年の自分を超えたい」と答えていたのに、かなりシンパシーを覚えました。
少しでも前に進みたい。そんな気持ちです。


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■NGU短信 > 最近の大学受験事情の段
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☆関連サイト:http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019012802000078.html

1月28日の中日新聞の朝刊1面を見た方も多いかと思います。「私大難化、受験生
翻弄 補助金不交付恐れ合格者減」というタイトルの記事です。以前、コジマガ
で紙幅を改めて説明するといった内容が新聞で取り上げられました。文部科学省
による私立大学の定員管理の厳格化が、受験生に大きな影響を与えているという
内容です。とはいえ、長期にわたり収容定員数がきちんと守られていかったこと
に問題の本質がある訳ですが・・・。

2年前から定員厳格化の指導が始まりましたが、最上位校が合格者数を絞ったので、
不合格者は増加します。従前ならば受かっていた学生は、次のランクの大学を受
けることになります。この大学でも合格者数を減らしているので、さらに難しさ
が増します。このように受験生が玉突き状態になるので、これまでならば模試で
合格確実という人でさえ受からなくなってきます。すなわち、予備校での判定に
大きな狂いが生じてきました。

今回のお上の指導が始まった翌年、知り合いの超進学校の副校長と話をする機会
がありました。例年ならば受かるレベルの生徒が東京や関西のトップ校に軒並み
落とされて、進路指導がかなり難しくなっていると云っていました。それから1年
以上経過し、定員が厳守されていますので、受験生にとってはさらに厳しい状況
になっているはずです。

合格者が絞り込まれると不合格の玉突きが起こるので、受験生は滑り止め大学を
さらに広げる必要があります。すると、受験ピラミッドの裾野にある大学はこの
数年で軒並み受験生を増やしています。これまで少子化の影響を受けていた地方
私立大学は、今回の措置で一息ついたというケースもあると思います。しかし、
今までトップ校(その多くがマンモス校)が定員以上に学生を確保していたこと
に疑問を抱かずにはおられません。適正な学生数を超過した状態で教育の質保証
がなされていたかという点です。

さて、私立大学は昔から偏差値での序列が一般化されています。早慶、関関同立
などはよく知られていますが、最近では、関東のGMARCH、日東駒専、大東亜帝国、
関西で産近甲龍というグルーピングがあります。今や早慶に続くグループはSMART
(上智・明治・青山学院・立教・東京理科)ともいわれているようです。名古屋
地区では、愛愛名中、名名中日という分け方がされているようです。かつてこの
ような呼び方を聞くことはなかったのですが、いつしか受験対象とする大学群が
できあがっています。最初のグループは、愛知・愛知学院・名城・中京の頭文字
からで、次は、名古屋学院・名古屋外国語(学芸:同じ系列)・中部・日本福祉
だそうです。南山は別として2つに分けられています。有力女子大が抜けている
ので、この分け方に疑問は多いのですが、世間のレッテル貼りでは、本学は2番目
ということになります。

受験生からすれば、受験環境が厳しいとはいえ第2グループには入りたいとする
人も少なくないと思われます。これは、本学への志望者数が急増していることで
説明がつきます。難易度が上がることは、志望されていることの裏返しですから
大学関係者にとってありがたい現象です、とはいえ、滑り止めで入学する学生も
増えるので、別の離籍対策が必要です。すなわち、不本意で入学した学生に入学
直後に本学の魅力をしっかりと伝えなければなりません。また、本学が用意して
いる優れた教育プログラムを利用すれば、自分の将来の可能性は無限であること
も理解させるべきでしょう。受験生が増えていることで喜んでいる場合でなく、
入学者に夢を抱かせ、しっかり教育することに傾注すべき時だと思います。


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■最近のゼミから > 卒論指導完了の段
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☆関連サイト:

23期生の卒論指導を終え、今年も150回以上の赤ペン指導を行いました。正直、
疲れます。とはいえ、ゼミ生を成長させるために、一番重要な段階で手を抜く
訳にはいきません。他人に見せて恥ずかしくないしっかりした卒業論文を完成
させ、自信を持って社会へ送り出す役割があるからです。

10年以上前の卒業生に向けて、今の指導方法を簡単に紹介します。「はじめに」
「おわりに」の2点は、フィードバックの指導メモ(弱点・助言・点数など)を
付けて返却します。少しでも早く確実に渡すためにPDFへ変換し、CCSにアップ
します。CCSのフリーフォルダに置くので、同級生は誰もが見ることができます。
「はじめに」と「おわりに」の赤ペン指導は、まず自分たちでダメ出し(最低、
2名)後に提出というルールとしています。赤ペンの入ったPDFを見れば、ダメ
出しをした人も気づかなかった修正箇所がわかります。すなわち、筆者以外の
指導にもなっているということです。このように書き方やダメ出し方法の実践
資料が共有化されます。しっかりした学生は、他人と同じ失敗を繰り返さない
ようにダメ出し文章を研究します。練られた文章は一目瞭然なので点数も高く、
その努力は必ず褒められます。

PDFファイルは、同時に個人の指導記録にもなります。過去のファイルを見れば
最初のバージョンがいかに稚拙な文章を書いていたことが分かります。卒論が
修了した学生には、最初の赤ペン指導ファイルを確認するように助言します。
すると短期間で自分がいかに成長したかが明らかになります。

併せて、2年間のゼミルーブリックを最終チェックすることで、どれだけの力が
身についたかを確認させます。卒業論文は学修成果ですが、それを完成させる
プロセスこそが重要です。長い道のりを振り返り、自らの成長を確かめること
から大学での学びを実感できます。文部科学省が大学に「学修成果の可視化」
を求めています。児島ゼミの卒論作成指導は、このような要請に対し、十分に
応えられるだけの教育を実践しています。

ほとんどの学生が完成できる水準で卒論指導をしています。レベルが高すぎて
は誰も修了できませんし、低すぎても雑な論文になってしまいます。要するに、
完成が早いか遅いかというのは、学力の問題ではなく学生自身のマネジメント
能力に依存します。己を律する心の強さ(自分に厳しいか、甘いか)といって
もよいでしょう。将来、必要となるのはこうした強い心です。自分で道を切り
拓いてゆくことができるのは、強い心の持ち主です。これを学生時代に体験し、
将来も実践してもらいたいのが、切なる希望です。そして、ゼミ生には明るい
未来を自分で手に入れて欲しいと願っています。

卒論指導が終わっても、関連の仕事は続きます。まず、教務課へ必要な書類を
提出した後、成績評価が待っています。次に、今年度の学修成果を、後輩たち
の貴重な参考資料にするには、多くの作業が必要です。Wordファイルのすべて
をPDFへ変換して、学内サーバに転送します。そして、卒論リストのファイルを
更新し、ハイパーリンク設定をします。いつかこの作業も年内で完了できる日
を夢見ています。


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■編□集□後□記□
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卒論指導が終わると、いよいよ自分の仕事の時間になります。世の人は春休み
というかもしれませんが、わずかな時間で自分の研究に取り組み、研鑽に励む
大切な時期です。教務の仕事や次年度の準備もあり、なかなか集中してできる
環境にはありませんが、時間をうまく捻り出したいと思います。ここでも時間
のマネジメントが重要です。


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