□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@ 第72号
□───────────────────――2011.03.15─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.072
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。
日本では卒業式の頃だと思います。毎年、手塩にかけた学生を送り出す行事は
大学にとって向かい入れるのと同じく重要な節目です。NGUでは3月16日に学位
授与式が行われるようです。
今年の卒業生には、残念ながら直接、声はかけられないものの、いつも話して
いるような内容を掲載して、餞の言葉にさせてもらいます。
「これからは学生でなく、同じ社会人。どれだけ頑張っているかをお互い勝負
しよう。君たちの頑張っている話はどこからともなく聞こえてくるので、それ
は喜びであり、大きな刺激です。出藍の誉れというほど高いレベルでないので、
追い抜いて行ってもらいたい。でも再び抜き返すから。」
コジマガのバックナンバーを見ると2月から3月にかけての記事には、必ず卒業
に関する話題が出てきます。一度、ご笑覧ください。
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■ 本の紹介
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☆関連サイト:http://bit.ly/eI9Cfz
『競争の作法 いかに働き、投資するか』,斎藤誠,ちくま新書,2010年
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コジマガ第57号(http://bit.ly/kojimag057)以来、久しぶりに本の紹介です。
昨年話題になった本をアメリカで読了しました。現在、取り組んでいる日本の
仕事の関連本として、大いに参考になりました。経済学部の3年生以上ならば、
この本を理解するのに必要な周辺知識は、身につけていてもらいたいものです。
(一般向けの本ですが、正直なところどうなのでしょう?「難しい」か「適当」
かは気になるところです。)
文面にハッキリと書かれていませんが「構造改革が評価されて外国資本を呼び
こみ、日本の株価を上げた」という考え方を真っ向から否定しています。それ
には「2つの円安」を使って、当時の長期にわたる景気回復を経済学的に説明
しています。一方で、格差社会が進んだ原因をすべて市場のせいだとする風潮
にも、一石を投じています。ここでは、一部の人達を犠牲にして、多くの人達
(既得権)を守ったことを示しながら、たった年1%の賃金切り下げを全員が
容認すれば、何とかしのげたはずとコメントしています。
少し深読みしすぎかもしれませんが、労働市場も硬直的でなく、適度に競争的
状況であったならば、このような事態に陥らなかったというようにも読むこと
ができます。いずれの指摘にも基本的なマクロ経済データを用いた解説であり、
マスコミに扇動された経済論壇をすっきりさせてくれる内容でした。
また本書で、競争が進展する時代を生きるための個人の姿勢が示されています。
もはや競争から逃れることはできなくなっているので、一人ひとりがどう競争
と向かい合ってゆくべきかというものです。この書で指摘されている、地主や
株主の態度、生産性を2割上昇させる考え方は個人的に首肯できます。自分が
持っている生産要素(能力や資産など)は十分に活用できているか、それらに
無駄が生じてはいないだろうか?筆者の問いかけに、ふと自分を見つめる機会
になりました。
この本を読みながらひとつ疑問点が浮かびました。それは逼迫した財政状況に
あって、一国民としてどのような態度であるべきかということです。もちろん
本書のテーマからは離れているので、この点には言及されていません。大きな
テーマだけに別の紙面が必要でしょう。なぜ、この点が気になったのかは日本
の経済成長を持続・発展させていかなければ、この国の莫大の借金はとうてい
返済不可能だからです。
プライマリーバランスを目指すにも、財源は不十分であり、社会保障費は上昇
するばかりです。さらにデフレやマイナス成長では、借金を返済できる目処も
立ちません。財政赤字を改善するには、持続的な経済成長による税収アップと
インフレ的な状況が望まれます。この本では、税に関して地方税の固定資産税
には言及されていましたが・・・。
最後に、タイトルにもある「作法」というのは個人の矜持なのかもしれません。
もっと経済をしっかり見つめる能力を養い、日頃から自分の頭で考える習慣が
重要なのでしょう。競争社会にあっては自分の考えと行動が自然に一致できる
(評論家のように言いっぱなしにしない・責任転嫁をしない)ような最低限の
作法が求められるのでしょう。
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■UCFから
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UCFの学生とはあまり喋る機会がなかったので、同じ授業を受講している学生
をランチに誘ってみました。いつも隣に座っている2人とともに3限目クラス
終了後にStudent Unionでランチです。
こちらの誘いであり、かつ子供みたいな年齢ですから、当然のごとくご馳走
をしました。しかし、いたく恐縮している姿勢が新鮮です。聞けば、彼らは
ともに19歳で1年生だそうです。
彼らはこの半期に4科目しか履修していません。日本の学生は半期10科目以上
を履修していることに驚かれました。こちらの学生は宿題や課題が多いので、
それほど多くの授業をとりません。1科目が3単位ということもありますし、
また、夏には別の学期もあるので、それでOKなのでしょう。
ブレンド型の授業(週3回の内、1回はオンラインで代替)は、教室まで来る
必要がないので、便利だそうです。とはいえネットでの課題も結構あるので
楽ができるわけではありません。(それだけ、勉強するのが当たり前なので
しょう。)週末は宿題をしたり、友だちと遊んだりしているそうで、あまり
日本の学生と変わりません。
また、facebookは2・3年前のハイスクールの頃から始めていることのことで、
友達リクエストをすることになりました。皆、当たり前に情報交換している
話に、言葉で聞いていたネットジェネレーションを見た思いです。
このように授業や学生生活について、実際に学生の生の声を聞く機会を得て
とてもラッキーです。しかし、ガチンコの英会話ランチは、大変勉強になり
ますが、冷や汗をかく量も半端ではありません。
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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://bit.ly/
UCFのIDLではURLの短縮サービスとしてTinyURLを使っています。当初、なぜ
このサービスを使うのかは理解できませんでしたが、ブログの各記事に付く
長いURLには効果的であることが分かりました。(お恥ずかしい話、それだけ
ブログを上手に使っていなかったという証左です)また、Twitterなどの文字
制限がある場合や直接URLを入力させる場合には有効に機能します。さらに
これらのサービスを使えば、アクセス数の分析ができます。
現在では、TwitterはTinyURLに代わってbit.lyを使っています。そこで今回
からコジマガでも試してみることにしました。上手くできていない場合には
笑い飛ばしてください。さて、成果はいかに?
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