2011年3月30日水曜日

第73号(2011.03.30)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第73号
□───────────────────――2011.03.30─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.073
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


1995年1月17日の阪神大震災はゼミがスタートする直前に起こりました。今回の
東北関東大震災は、ゼミが休止中の出来事となりました。日本の歴史に刻まれる
大災害ですが、これまで日本人が幾多の苦難や試練を乗り越えたように、必ずや
復活できるものと強く信じています。復興の道は簡単ではありませんが、これを
達成することは、地球規模の問題でさえ力を合わせれば解決できるという自信を
世界の人々に示すことにもつながると思います。


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■アメリカ短信 > 情報流通と収集の段
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☆関連サイト:http://kizuna311.com/

いつもTVでは、News13でオーランドの地元の話題を、CNBCでアメリカの経済に
関する情報を入手しています。さらにNHK国際放送の30分ニュースで、日本が
世界に発信する話題と日本関連の最新ニュースを観ることにしています。英語
での国際ニュースだけに分かりづらい点ありますが、日本語のサイトを使って
知識と情報を補うことで、背景が理解できるようになります。

また、渡米に合わせて日経新聞電子版を購読しています。日本との時差がある
ので、アメリカでは午後に朝刊を読むことができます。ちょうど研究所にいる
時ですので、毎日、オフィスで紙面に目を通します。日本では、なかなか読む
時間がなかった日経新聞ですが、ここでじっくり読めるようになりました。

さらに、リアルタイムの情報は、Yahoo!Japanで全体の動向を把握した後に、
個別の情報へアクセスします。また、CNETJapanではIT業界の最新動向を知る
ことができます。地元ニュースは中日新聞のサイトで「名古屋の乱」などを
チェックします。Twitterから名古屋周辺の天気なども知ることができます。

日本にいると知らず知らずテレビの解説やコメンテーターの意見が耳に入って
きます。また、電車の吊り下げ広告などにある扇動的な見出しが目に飛び込ん
できます。このように日本では情報が溢れているので、自分の力で情報を取捨
選択する必要があります。表面的な内容なのか、問題の核心に迫っているのか
を判断しなくてはなりません。

311から、情報収集の手段と内容が一変しました。東北関東大震災は、発生の
直後から米国でも連日トップニュース扱いでした。地震・津波・放射能の関連
情報は大きく取り上げられていました。そして、地元のケーブルテレビ会社は
TVJapanを無料視聴できるようにして、このチャンネルではNHK総合が24時間、
流されています。

併せて、ネットで震災情報をチェックするとNHK・TBS・フジテレビがサイマル
配信をU-STREAMとニコニコ動画で行っていました。日本のテレビ局がネット上
にリアルタイムで映像を流すのは異例中の異例です。これまで技術的には可能
であったにもかかわらず、権利関係によって全く進展がなく、実現は不可能と
思われていたサービスです。こんな時に体験することができました。

NHKだけでも情報ソースやバリエーションがかなりあって、さまざま切り口で
情報を届けられる体制に、あたらめてその組織の大きさに驚きました。日本は
民放や新聞・週刊誌によって多くの情報が溢れかえっているように推察します。
今回は、情報源がNHKとネットだけなので、情報が錯綜しない分だけ、自分の
頭を整理しやすい環境であるかと思います。NHKが大本営発表かも?と疑念を
抱くこともないわけではありません。

さて、今回の大災害におけるネット活用の効果は改めて検証されると思います。
緊急時の電話回線の絞り込みによって、一般電話は繋がりにくい状況が続いた
ようですが、Skypeは十分機能したようです。また、Googleが行った安否確認
システムであるパーソンファインダー、Youtubeでのメッセージビデオはじめ
ネットの特性をうまく活かしたサービスが展開されました。

さらに、Twitterやfacebookでの情報伝達を観察していると、混沌とした状況
でも秩序正しい方向へ進んで行ったように見受けられました。例えば、正確な
情報が掴めない状況下では、チェーンメールの類が横行しますが、SNSの情報
交換では、冷静に判断できるユーザ達が誤った情報の増幅を抑えていた場面も
散見されました。ハッシュタグや拡散希望の使い方も徐々にまとまっていった
ように感じます。

現在、被災者の方々への応援メッセージがネットで始まっています。とりわけ
Kizuna311のような取り組みによって、さらに多くの支援の輪が広がることを
期待しています。


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■UCFから
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☆関連サイト:

東日本を直撃した未曾有の大震災の情報は、アメリカでは朝早くからトップ
ニュースで扱われていました。アパートメントでネットから情報を入手して
いると、UCFのスタッフから電話をもらい、家族の安否を気遣っていただき
ました。UCFには地震を東京で体験し、映像に収めたスタッフもいたそうで、
その揺れの凄まじさをfacebookにアップしたとのことです。

予期できない災害などによって、授業が進められないケースが出てきました。
このような場合、定められている授業時間数の確保が難しくなります。補講
期間を使っても対応できない場合には、授業期間そのものが後ろにずれ込む
ことさえあります。昨今では、長期休暇を利用して留学やインターンシップ
などの行事があるために、かつてほど柔軟に対応できません。

一昨年もH1N1の影響で、行政の指導に基づき大学が休校措置を取ったことが
あります。このような事態にただ鎮静化を待つだけでなく、学習できる環境
にある学生だけでもその時間を無駄にしないような取り組みが必要であると
思います。すでにネット上に多くの教材があるので、これらを非常事態での
自習用コンテンツと組織として取り組むべきと提案したことがあります。
(ほとんど無視された状態でしたが・・・)

東京のW大学は卒業式・入学式の中止に加えて、授業の開始を5月の連休明け
とするそうです。不足する授業時間はオンラインの利用を視野に入れている
ようです。実際に、UCFでは大学での着席時間(シーティング・タイム)を
減らすブレンデッド・ラーニングが、かなり進んでいます。

UCFのようなインストラクショナル・デザインの専門家や支援組織が十分で
なくても、日本でできることもあります。例えば、初回の授業に行われる
ガイダンスはビデオ収録・配信し、受講生はこれを視聴、質問はBBSを利用
することで、完全代替が可能です。また、事前にシラバスはネットで閲覧
できている大学も多いわけですから、どの大学でもある程度の実施は可能
であると思います。ただし、シラバスやプロトコルなどの書き方には改善
が求められますが・・・。いずれにせよ、新しいツールや試みを続けて、
その費用対効果をきちんと見極めることが必要でしょう。


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■編□集□後□記□
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2010年度の最後は、日本に大きな試練を与えました。新年度は、これらの
課題を皆で克服し、新しく再建が求められます。激甚災害を被った地域や
人々の支援・復興策に加えて、今夏のエネルギー不足をどう乗り切るかと
いう難題が日本国民に待ち構えています。

限られた時間の中で、必要な時と場所にヒト・モノ・カネを効率的に回す
ことが求められます。経済学を学ぶ者は、これらの動きを注視する必要が
あります。今こそマーシャルが言う経済学の視点(Cool head,warm heart)
をもって、熟慮と行動をする好機かもしれません。

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