2011年11月26日土曜日

第85号(2011.11.26)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第85号
□───────────────────――2011.11.26─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.085
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


学園祭中に開催されたホームカミングデーでは、なんと14名ものゼミ卒業生
と再会することができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。ただ
パーティ会場内でスマートフォンやタブレットを出していた光景は、他の人
からは異様な集団と思われたかも知れません。(笑)

パーティ終了後も新館で、フェアトレードコーヒーを飲みながら懇談でした。
facebookへの投稿やモバイルWiFiルーターの速度比較など、外出先でできる
ことに時代の流れを感じます。帰国後、iPad用にドコモでXiを新規契約して、
4G(実際は、3.9G)を実感しています。アメリカでの4Gの宣伝に比べ、日本
の通信キャリアのそれは控え目のような気がします。


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■NGU短信 > デジプレと卒業研究発表会の段
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/system/article/detail/1342

秋は、卒業研究発表会の季節です。昨年から3年間はゼミ生の出場機会は
ありませんが、学生が真摯に取り組んでいる姿を観るのは良い刺激です。
現在の4年生には2年次ゼミで教えた学生がおり、4名が発表予定です。

一昨年前の卒業生以降は、全員が1年次に「デジタルプレゼンテーション」
(デジプレ)を受けているので、Powerpointでの発表が標準になりました。
それまでは、用意したレジュメを読み上げるだけやPowerpointでも見るに
耐えない雑なスライド(もちろん操作も覚束ない)発表も散見されました。
当時も全員がノートパソコンを持っていましたが、プレゼンやWebページの
作成を扱う授業の「コンピュータコミュニケーション」は選択科目でした。
実習科目は、少人数で概して講義科目よりしんどいということで敬遠され、
履修者数は減少の一途を辿っていました。全学共通科目ということもあり、
ノートパソコンの教育効果を確認することはできませんでした。

大学の名古屋移転を見据えて、2006年度からはカリキュラムが大幅に変更
されました。大きな特徴の一つは、経済学部は1年全員に春「デジプレ」、
秋には「OA実習(現、データ表現技法)」の2科目を指定科目として開設
したことです。これらの新規科目は経済学部の専門科目に位置づけ、内容
を社会人として必要なコミュニケーション能力のひとつであるプレゼンと
適切なグラフの作成能力に特化させました。講義内容を十分に検討して、
インストラクターによるPowerpointとExcelの実習が始まりました。

開設当初はいろいろと軽口を叩かれたものです。「必修科目でないと3割
ぐらいの学生しか最後まで続かないだろう」とか「今さら、Powerpointを
教える時代ではない」などさまざまです。当時、ゼミでもExcelで適切な
グラフが作れない、プレゼンの基本技能ができていないという事態を目の
当たりにしていただけに、教室で起きている事情を全く意に介さない人達
の戯言と見なしていました。同時に、必ず教育成果を出そうという意欲が
湧いたのを覚えています。ちなみに、2科目の単位取得率は現在でも70%
を超えています。

さて、これらの科目が始まり2年目のことです。学生指導に熱心な先生が
次のような質問をしてきました。「2年生のゼミで学生にプレゼンをさせ
たところ、全員がPowerpointできちんと発表できるが、一体どうして?」
と。カリキュラムの変更とその狙いを説明すると、いたく感心されました。
やはり、一部の学生ができることと全員ができることには、格段の違いが
あります。それまで、彼のゼミで実施してきたできない学生の指導が不要
になったことを見ても、組織として大きな改善といってもよいでしょう。

4年後の卒業研究発表会では、発表者全員がパソコンを使ってプレゼンを
することができました。この事実に安堵するとともに、一応の教育成果を
上げることができたと確信しています。もちろん、情報リテラシー教育に
疑念を抱く人はいまでも少なくありません。しかし、全員ができることは
いかに大変であるかは、現場で多くの学生の操作能力を見て、教えてこそ
分かることでないかと思います。

現在、大学改革のキーワードのひとつは「学士力」です。大学を卒業して
もどのような力が身に付いたのかが目に見えません。経済学部を卒業した
ならば、少なくともこの程度の知識や技量は身に付いたという内容を広く
詳らかにしなくては、大学の存在意義を問われることでしょう。その点で、
この取組みは全学生をできるようにした意味で「学士力」のひとつを実現
したといえるかも知れません。瑣末なことではあるけれども、学部の教育
目標と一致した教育内容を達成しているのではないでしょうか。ただし、
就職率という数字に現れていないだけに、社会的に注目されませんが・・。

最後に卒業研究発表会の感想です。2年後には再びゼミ生達を出場させる
ように指導しますが、全体にレベルが上がっており、決勝へ進出するだけ
でもかなり難しくなっているという印象です。特に、若い先生方はゼミ生
をしっかり指導されており、早い時期から取り組ませないと互するだけで
大変と思いました。

いずれにせよ教育力の競争で、大学としてとても良い傾向にあります。


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■最近のゼミ・講義から
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前号でも報告したように秋学期には従来の科目に加えて、新しい授業の
「マクロ経済学入門」と「経済数学入門」を担当しています。授業も約
半分が終わりましたが、この2ヶ月程でいろいろと分かってきました。

まず、マクロ経済学です。指定のテキストは『マンキューの入門経済学』
で、この内容通り教えるという申し合わせになっています。そこで準備
として教科書を読むと経済学の流れは、これまでとは違ったアプローチ
になっています。例えば、消費関数の記述がないので、乗数プロセスが
丁寧に説明されていません。ミクロでも効用関数や無差別曲線を扱って
いないのにも驚きました。その代わりに現実のデータや金融面に多くの
紙幅を充てているように思います。

教える内容が過渡期であることは理解できましたが、このような時には
いろいろ困ったことが起きます。例えば、すでに既習事項と思って授業
をしても、受ける学生は初めての内容なので、チンプンカンプンという
ケースが出てきます。また、公務員試験の専門科目では伝統的な内容が
出題されているだけに、大学の授業の延長線上になっていないことです。
(元来、公務員試験は範囲が広いので、大学の学習範囲だけではとても
歯が立ちませんが・・・)

一方の数学です。最近、私立大学は推薦入試などで多くの入学者を確保
しており、一般入試での入学者割合が減少しています。また、入学者の
基礎学力不足が問題となっている背景には、学力試験を課さないような
入試形態が増えてきたことも起因しています。多様な学生を受け入れて、
入学後の授業レベルを維持するにはリメディアル教育(高校までのやり
直し)が重要になります。このようにいずれの大学でもバラバラな学力
レベルをいかに考慮しながら授業を進めなくてはなりません。

特に、私立大学の文科系では高校の時から数学を諦めてしまった学生も
少なくありません。そのような中で、数学を使い経済理論を理解させる
のは至難の業です。少しでもギャップを補うために2年前に設けられた
科目が「経済数学入門」です。毎回、演習などで受講生の理解度を確認
すると以下のことが分かりました。(1)中学・高校の数学で扱う設問、
いわゆる計算問題はパターンを教えれば可能、(2)これが変数になる
とかなり理解に苦しむようで、(3)これが文章題となると途端に理解
不能になってしまう、という傾向があります。

かつての大学受験地獄は楽勝へ、その代わりに就活地獄が待っています。
学生が積み残した課題はすべて先送りにされた感がありますが、これに
愚痴をこぼしたり、誰かに責任転嫁するのでなく、現実の課題を直視し、
少しでも解決法を探るしかありません。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://www.tcmit.org/

早いもので、帰国して3ヶ月が経とうとしています。暖かな秋でしたが、
急に冬が訪れて、枯れ葉も色づき、いよいよ季節感がでてきました。

月初にフロリダの友人が名古屋へ遊びに来たので、産業技術記念館まで
出かけました。ゼミの社会見学を含め、何度か訪れた場所ですが、今回
初めて知ったことがあります。トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎
氏は、量産車の成功を見ることなく逝去していたことでした。

トヨタは紡績業で巨額の富を築いた後、成功するかどうかも分からない
新しい事業へ投資していました。今でこそ自動車は日本を代表する産業
のひとつになっていますが、当時は、海のものとも山のものとも判断の
つかない事業(のはず)です。ここへ本業から巨額の出資をすることに
対し、不安に思ったり疑念を持つ人もいたことでしょう。想像するに、
かなり陰口を叩かれたのではないでしょうか。喜一郎氏の情熱とともに
父である佐吉翁の深い理解や多面的な支援があって、歴史的一大事業が
成功したのだと思いました。

しかし、量産車を見ることなく、世を去らねばならなかった喜一郎氏の
胸中はどのようなものだったのでしょう。

2011年10月16日日曜日

第84号(2011.10.16)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第84号
□───────────────────――2011.10.16─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.084
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


今夏はゼミOB会の開催が見送られたこともあり、来るホームカミングデーでお目
にかかりたいと思います。学園祭の当日で昼のパーティですから、参加しやすい
と思います。また、追加情報はMLはじめ.NETやfacebookなどから流れるかも知れ
ません。

日時: 10月30日(日) 12:00~
場所: 名古屋キャンパス 白鳥学舎 1階


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■NGU短信 > 「浦島太郎」の段
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/

在外研修中であっても、学内の事情はメールの他、CCSやグループウェアなどを
通じて、逐次、入っていました。しかし実際に現場に戻ってみると微妙な違和感
は拭えません。

例えば、教授会です。4月に新任者3名が加わりました。退職者3名と学長就任
で計4名が抜け、さらに自分と入れ替わりで在外研修に出られた先生が1名です。
そして、計8名の交代があったわけで、教授会の光景は1年前と比べればかなり
異なります。また、各種委員会のメンバも交代しているので、報告をされる先生
の姿にも、少なかれ驚くことがあります。

さらに、大学にも細かな変化が目につきます。職員の人事異動や新任人事もあり、
いつもの場所に見慣れぬ人が座っているように感じます。名古屋キャンパスには
曙館の3階に教育支援センターができています。今秋、1階にセブンイレブンが
オープンし、丸善が翼館へ移動したり配置も変わっています。ただ、残念なこと
は研修期間中に二人の先生が病気で在職中に亡くなられたことでしょう。

また、地元の様変わりに驚きます。すでに知っていても実感がないこととして、
愛知県知事が代わっています。交通系ではナマカが導入され、地下鉄は徳重まで
延伸しています。自動車道では名古屋高速東海線の六番北が完成し、環状2号も
かなり伸びているようです。

街並みでは、名古屋駅の周辺は松坂屋ナゴヤエキ店の閉店にともない、地下街
の様相も変わっています。大名古屋ビルヂング裏にある第一ホテルがクローズ
されており、飲み屋街が広がっていることにビックリです。栄地区は大津通の
歩行者天国が始まったこと、シティバンクが移転してApple Storeを彷彿させる
ような作りになっていることです。

その他、新たなスポットでは科学館の巨大プラネタリウム、リニア鉄道博物館
ができています。地上デジタル放送への移行で、自分の部屋にあったアナログ
テレビが見られなくなっていました。「めざましテレビ」のキャスターが交代、
「ぴーかんテレビ」が終了しています。これを機会として、これからはテレビ
と少し距離を置いて生活しようかと思案中です。

ホテル業界では全日空ホテルがCROWNE、サイプレスがメルキュールと提携して、
ワールドワイドな展開に驚きです。一方、丸の内東急インが休業になっている
のを見てビックリです。

これらもたった1年の変化です。


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■最近のゼミ・講義から
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☆関連サイト:http://www2.ngu.ac.jp/~kkojima/seminar/

一年ぶりの授業となると、なかなか調子が上がらないものです。授業前に教卓の
鍵を忘れたり、タブレットのペンを置いてきたり、これまでやらないようなミス
が頻発です。授業中でも、自分の喋りが学生にうまく伝わっていないというズレ
ている(いわゆるスベっている)感覚になったり、どうも納得いきません。

また、今学期は不慣れな科目を担当しています。在外研修から帰国すると担当の
コマ数の関係で、どうしてもそのようになるために仕方がありません。ひとつは
「マクロ経済学入門」です。この科目の準備に頭を悩ましていると、学長が以前
担当しており、その時のレジュメや練習問題を拝借できました。これで、何とか
凌ぐことができ、とてもラッキーです。もうひとつの「経済数学入門」は学生の
レベルがバラバラなだけにかなり苦労しています。

授業に使っているノートPCでタブレットペンの操作、慣れないMSオフィスのUIの
ために要らぬ苦労を強いられています。加えて、昨年春から大学院の授業もあり
今年いっぱいは大変かもしれません。しんどいことも度々ですが、毎回、楽しみ
ながら臨むようにしています。

さて、いよいよ次年度のゼミ募集が始まりました。今年はゼミ生の再募集となる
ので、学内にゼミ在籍する学生はいません。2年生は留学直前の春学期に講義を
受けた学生もいるので、多少は情報があるという感じです。しかし、1年生には
児島ゼミだけでなく、児島の存在さえも知られていない状況です。授業が開始し
2週間ほどしか経過していない中での募集なので、それも当然でしょう。

ゼミ内容を記した演習要項はCCSから事前に提示されており、それをよく読んで
応募してくる学生にはやる気が感じられます。というのも今回の演習要項は、
例年の加筆でなくアメリカで全面的に書き直したので、教える側の真意が必ず
伝わるような表現になっています。それを元に意思決定をしたというプロセスを
考えれば、確かに意欲を汲み取ることができます。さらに今回からは、アメリカ
で使われているルーブリックを提示しています。久しぶりにゼミのサイトを更新
し、ここからダウンロードできるようにしました。(在外研修中に学内ネット
ワークシステムが更新されたので、FTPの設定もやり直しでした)


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■編□集□後□記□
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先日、読売新聞が連載をしているコーナーに掲載するための取材を受けました。
こちらからネタをいろいろ提供しましたが、記者は経済学部で取り組んでいる
コア6に興味を示したようです。もうすぐ記事になるようですが、掲載される
日が判明次第、連絡します。

2011年9月25日日曜日

第83号(2011.09.25)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第83号
□───────────────────――2011.09.25─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.083
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


ハリケーンと台風の合間を縫って、無事に日本へ帰ってきました。帰国翌日から
区役所での手続きや床屋・病院などいろいろとやらねばならないことばかりです。
でも、いずれの場所であっても日本語がOKなので、とても気持ちが楽です。ただ、
車の運転は左右反対になったので、妙な違和感が1週間ほど続きました。

また、日本で食べたかったものを十分に味わい、胃袋と気持ちを満たせています。
たった1年ですが、環境へ対応するためには調整が必要ということを再確認です。


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■アメリカ短信 > 在外研修のまとめの段
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在外研修期間が終了して、事後の整理をしています。必要な事務手続きに加えて、
自分での成果をまとめておく必要があります。この1年間は、毎日がインプット
だったので、それなりのアウトプットもできました。まず、個人的なものとして、

・コジマガの発行:第60号から第82号までを配信
・研修ブログ:370回に到達(計字)
・Twitterでのつぶやきはおよそ200回

そして、仕事のアウトプットは以下のようです。
・本の2章(36ページ)
・UCFの英文記事(約1,200Words)
・長篇論文(計100,000字)
・コア6+(プラス)のコンテンツ作成

以上のような数値化できるもの以外として、以下のような挑戦もあります。
・クラウドツール:Evernote,Dropbox
・SNS:Google+、ほか
・Mac(iPhone4、MacBook Pro、iPad2)
・スポーツ:毎週のテニス・ゴルフ・スイミング

すでにフロリダで取得した運転免許証は失効してしまいましたが、これは自動車の
ナンバープレートとともに自分へのプライスレスな記念品です。また、多くの人達
から研修の感想を求められるので、写真や成果をきちんと整理しておくことが重要
です。


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■NGU短信 > 電子書籍の段
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コジマガ第51号で紹介した冊子『経済学部生のための基礎知識300題』が電子書籍に
なっていました。これは自分の研修期間中に実現して欲しかったタスクのひとつで、
1年前に学術情報センターのスタッフに構想を話しておきました。

帰国早々に、この成果を見せてもらうと自分が期待した以上の出来映えに驚きです。
これまで多くの教材コンテンツは用意されていましたが、これらをどのような形式
でまとめるかは全く指示していません。今回はEPUB形式のファイルとして作成され、
iPadにあるiBookで読むことができます。

今後、細かい点の修正は必要になりますが、プロトタイプとしてまずまずのレベル
にあると思います。また、扱いやすさや読みやすさを追求するとともに、ビューア
でパソコンでも読めるようにしなければなりません。


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■最近のゼミ・講義から
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帰国早々、集中講義のお付き合いをしました。「まちづくり論」での社会見学の
引率です。この科目はTIESを利用した他大学と単位互換を目的としているだけに、
自分も関わる必要があります。受講生は少ないものの、これをビデオ収録・配信
する予定です。

9月7日に実施された社会見学は、懐かしのNGUバスを利用しました。新しく完成
した名古屋高速道路の六番北の入口から、東名阪・東名高速・瀬戸道路を使えば
1時間もかからずに瀬戸へ到着です。直線でないので、距離的には遠回りとなり
ますが、やはりターンパイクなので時間的にはかなり節約できます。

まず、瀬戸蔵の見学です。これまで何度も瀬戸蔵の前を通っていまが、入館する
のは今回が初めてです。特別に館内を案内をしていただき、瀬戸と陶磁器産業の
歴史が非常によく理解できました。また、かつての尾張瀬戸駅の再現に懐かしく
思いました。

次に、窯垣の小径をお二人のボランティアガイドさんに案内していただきました。
台風12号が通り抜けた直後の秋風が感じられる涼しさの中でのウォーキングです。
商店街を通り抜けて、街並みを探索です。また、本業では登り窯の説明を受けて、
作業場の中まで見せてもらいました。瀬戸蔵で見せてもらった展示物が、実際に
稼動しています。短い時間でしたが、貴重なお話を伺うことができました。

かなりの距離を歩いたので、疲れが溜まっています。また、日差しも強くなり、
昼食でしばし休憩です。午後はバスで移動して「さかづき美術館」を見学です。
市之倉のまちづくりとの関わりの説明を受けて、展示物を鑑賞です。ここには
人間国宝の作品がズラリと並んでおり、素晴らしいものでした。

今回の引率の感想としては、再び自分で来てみたいと思いました。かなり自分の
勉強になり、ゆっくり現場を巡るのもよいと感じさせるエリアです。引率の効用
として、アメリカではあまり歩くことがなかっただけに、よい運動になりました。
そして、かなり疲れたので、その夜はぐっすり眠ることができ、時差ボケが解消
できたのも幸いでした。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://www.cccties.org/event/

愛知学院大学で行われたTIESのシンポジウムは帰国当日に開催されたので、残念
ながら出席はかないませんでした。ここで行われたタイピングコンテストの決勝
では、遂に本学が優勝をかざることができました。

東京出張もあって、すっかり日本の生活パターンに戻った感じです。毎日が英語
漬けだったのが、全く英語と出会うことのない生活になっています。自分で意識
して行動しなければならないと感じるこの頃です。

2011年8月30日火曜日

第82号(2011.08.30)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第82号
□───────────────────――2011.08.30─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.082
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


この研修期間でアメリカから発信する最後のコジマガです。研修最後の20日間は、
お盆に家人がアメリカへ来るのに加え、帰国の準備でかなりバタバタしています。
アパートメントの引き払い、レンタル家具の搬出予定、車の売却および携帯電話
や保険契約の解除などがあります。何事も最後が慌ただしくなって、名残惜しさ
を味わう余裕もありません。


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■アメリカ短信 > Water Parksの段
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☆関連サイト:http://disneyworld.disney.go.com/parks/

お盆の期間を利用して、家人がオーランドへ遊びきていました。そこで10日間
ほどの夏休みをとりました。WDW中心のバケーションでしたが、お盆だけあって
WDWでは日本人の姿をちらほら見かけました。すでにWDWについては、コジマガ
第76号で取り上げましたので、今回はパークでもWater Parksを紹介します。

フロリダの夏はたしかに暑いのですが、家人によれば、日差しはかなりキツい
けれども、蒸し暑さが少ない分だけフロリダの方が過ごしやすいとのことです。
5月から10月までの半年は、プール遊びをするには適した暑さなので、これを
利用した観光施設が多くあります。オーランドでは、ウェッティン・ワイルド
やシーワールドのアクアティカなどがあります。

ディズニーは、WDWの敷地に2つのWater Parkとしてタイフーン・ラグーンと
ブリザードビーチを持っています。今回、両方へ行ってみましたが、第一印象
としては、ナガシマスパーランドにディズニーの要素を盛り込んでいるという
感じです。いくつかのスライダーがありますが、スリル感だけでなくテーマを
ふんだんに盛り込んでいます。また、家族連れでも遊べるようなリゾート的な
特徴もあるので、他のWater Parkとはかなり差別化されてるように思いました。
これらの駐車場は駐車料金は不要ですが、テーマパークと比べると多少狭い分、
開場時間にあわせて行くか、午後に訪れるのか良いようです。

さて、2つのパークには、それぞれディズニーのテーマパークにつきものの
シンボルがパークの中心に配置されています。タイフーン・ラグーンは台風で
難破した船が火山の上に突き刺さっています。そして、ブリザードビーチでは
フロリダに雪が降ったらということを想定したテーマで作られており、中心に
雪山があり、スキーのジャンプ台の模型が作られています。

これらの周りにプール・スライダー・ショップなどが配置されています。流水
プールには浮き輪が用意されており、一周するのに20分以上かかります。皆が
塗っている日焼け止めクリームで、プールの水は心なしか濁っているのが気に
なります。子供が遊べるエリアもあって、家族で楽しめるようになっています。
また、プールにはカメラマンがおり、写真をとってくれます。「フォトパスを
もっているか?」と聞いてきます。これは記念の写真をネットから販売すると
いうなかなか上手なビジネスモデルです。すでにWDWのパークでもらっています
が、さすがにプールの中まで持ってくるはずはありません。すると、腕輪が
着いた小さなフォトパスをくれました。

またWater Parksらしいサービスがあります。バーコード付きのリフィルカップ
(9ドルくらい)を購入すると、レストランの横に設置されているジュースの
サーバーが一日飲み放題となるサービスです。そこで、昼食にリフィルカップを
購入しました。レストランでも炭酸飲料はおかわり自由な国ならではのサービス
のように思いました。また、ロッカーを13ドルで借りると、返却時にデポジット
として記念のボトルがもらえます。

一番印象的なアトラクションは、タイフーン・ラグーンのBig Waveです。ボワッ
という轟音とともに大きな波が立ち上がリます。するとあちこちで悲鳴のような
驚きの声が上がり(初めて見ると間違いなく声が出ます)、2メートルあまりの
水の壁が迫ってきます。プールにいる人達はその大波に乗れるように泳いだり、
飲み込まれたりとそれぞれが楽しんでいます。この大波の発生装置はどのような
仕組みなのかが、とても気になります。

フロリダの夏につきものの雷が近づくとスライダーは一時的に中止になります。
ニュースの説明によれば、フロリダでは年平均9人が落雷で亡くなるそうです。
日没近く(夜8時)近くまで開園していますが、一日中いるとさすがに暑さに
疲れてしまいます。


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■UCFから > Goodbye Partyの段
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☆関連サイト:http://engage.ucf.edu/v/p/RXaKtxM

8月第4週目は関係者への帰国の挨拶ばかりでした。まず副学長から始まって、
研究所の仲間や日本人の先生へとお礼をしていました。週末の26日の金曜日は、
研究所へ通う最後の日となりました。1年間お世話になった研究所と使わせて
もらったオフィスともお別れです。机の周りの片付けを終えると、CDLが用意
してくれたお別れパーティです。

午後3時から皆が会場に集まってきます。自分の為にパーティを開いてもらう
のは、大変恐縮してしまいます。CDLのスタッフの多くはメインキャンパスで
仕事をしているので、わざわざ研究所まで来ていただくだけでも感激です。
パーティは、皆がそれぞれ食べ物を持ち寄るというスタイルですので、自分も
日本のお菓子を持参しました。(やはりポッキーが人気があるようです。)

ボブがビデオを流して、パーティが始まりました。彼とKSC近くまでFishingに
行った時のビデオで、短く編集されています。次に、トムから記念のplaqueを
頂きました。そこにはCDLからの言葉が英語と日本語で彫られています。思い
がけないプレゼントで感動から言葉も出ない状態です。そうした状況で最後の
スピーチを求められました。当初、考えていたストーリーも吹っ飛んで、頭の
中は真っ白です。何を英語で喋っかのか自分でもわからない状態でした(が、
何とか伝わったとのことです)。

パーティの最初から最後まで、お世話になった方々が、皆、声をかけて下さい
ました。バーバラに聞くとこの組織で1年間もいたのは初めてのケースらしく、
これまで2ヶ月が最長だったそうです。パーティへ30名以上の人が来てもらい、
いつもの研究所のメンバーほか、わざわざ名誉教授のチャックや副学長まで
駆けつけて頂きました。この人達のホスピタリティは生涯忘れられぬものに
なりました。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://ecollege.cccties.org/

連絡を忘れていましたが夏恒例の「みんなのTIES eカレッジ」が開催中です。
お盆過ぎから9月30日まで公開してますので、ご覧ください。

2011年8月9日火曜日

第81号(2011.08.09)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第81号
□───────────────────――2011.08.09─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.081
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


日本ではお盆が近づき、夏の甲子園大会も盛り上がる頃です。世界に目を
向ければ、欧米の財政不安の連鎖によって、株安と史上空前の円高水準に
なっています。日本の財政状況もそれ以上に悪いにもかかわらず、日本が
買われることに首を傾げているこの頃です。

すでに帰りの航空券も手配し、帰国へのカウントダウンとなってきました。
とはいえ、未だ抱えているタスクもあって、最後までバタバタしそうです。


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■アメリカ短信 > facebookの段
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☆関連サイト:http://www.facebook.com/

前回はTwitterに関する話でしたので、今回はfacebook(FB)を取り上げます。

「大学生の『ソーシャル・ネットワーキング・サービス』に関する意識調査」
によれば、国際基督教大学(ICU)が学生比率では一番利用が多いそうです。
また、アメリカ留学から帰国した学生のほとんどがFBを使っています。外国人
とのつながりができると当然、FBがマストアイテムになるだけにアンケートの
結果にはうなずけます。たしかに、アメリカではコミュニケーションツールと
して皆が使っています。大学生は無論のこと、12歳の少年に尋ねてもYESです。
UCFのスタッフも年齢を問わず、個人的写真などのシェアに利用しているよう
です。このようにアメリカではFBが完全に社会に溶け込んでいます。

思い返せば、初めてFBの名前を聞いたのは、UCFの副学長らが来日し、東京
での講演会(2008年8月)でした。「学生達は皆、喜んでアクセスしている」
という話でしたので、どんなツールかと早速、調べて登録したことを覚えて
います。当時、日本ではmixiが大流行中だったので、きっとそのようなもの
だろうと思っていました。しかし、基本的に情報はオープンであって、実名
登録など運用の根本的発想が全く異なります。当時、使い方がよく分からず
(今も同じです)、放ったらかしの状態でした。たまにFBの友達リクエスト
をもらいましたが、コンピュータにかなり強い知り合いか海外に友人がいる
ような人からでした。また、日本語よりも英語が公用語であって、参入には
敷居が高い感があったのも覚えています。

2011年に日本での映画「ソーシャル・ネットワーク」の封切りを契機として
FBが多くのビジネス誌に取り上げられました。その影響でしょうか、年明け
頃から友達リクエストが増えてきました。様子見ユーザなので、基本的には
こちらから友達リクエストをしません。にもかからわらず、現在まで友達は
50名を超えており、ビックリしています。これも知己がFB内で同級生を探す
活動をしてくれたことが影響してるのでしょう。

そこで、自分でも検索をかけてみると知り合いの名前がぞくぞくと現れます。
流行とはいえ、2年前の結果とは格段の差です。日本ではハンドルネームが
好まれるので、実名でのSNS活動は難しいのではないかと予想していました。
日経の記事によれば、今年1月からの半年で200万人が加入したそうですが、
これだけの人たちが実名で登録するとは全く驚きです。

また、検索から全く無関係と思われる知り合い同士が友人であることを発見
しました。リアルな世界でも稀にそのようなケースに遭遇しますが、今回は
本人達に確認しなくてもネットだけでわかるところが極めて妙な感覚です。
ネットワーク理論では6次の隔たりで、世界中の人々と繋がっているといい
ます。いわゆる「友達の友達」を6回続ければ、全世界の人と繋がることを
意味しています。その指標に「ベーコン指数」があり、これは俳優ケビン・
ベーコンへは何人を経由すれば到着するかというものです。日本国内に限定
すれば、4次の隔たりで日本在住者全員をカバーできるかも知れません。

FBの最近の動向として、佐賀県武雄市が公式サイトをFBへ移行したニュース
(http://t.co/PMOTC3A )があります。行政機関がソーシャル的なツールを
積極的に使い、市民の中へ飛び込んでゆく姿勢は個人的に高く評価をします。
ICUや九州大学はFBに公式ページを持っていますが、これも先進的な取組では
ないかと考えます。公式サイトだけで情報発信するだけでなく、より多くの
人が集まっている場に出かけ、情報を共有してもらえるような努力が見られ
るからです。

だたし、ここでもメディア・リテラシーを巡る不安はあります。SNSを利用
する場合は、それなりの思慮深さが求められます。以下は、それに関連した
お話です。ある知り合いからFBの友達リクエストをもらいました。今、これ
を承認するかどうか迷っているところです。というのも、学生時代にかなり
軽率な振る舞いで周囲を混乱させていた過去が承認をためらわせる一因です。
そこで、現在、どんな人が友達なのかかをチェックしてみました。かなりの
友達の数ですが、残念ながら共通の知り合いは見当たりません。一方、TVで
見かける有名政治家などがずらっと並んでおり(もちろん、そんな繋がりは
ないはずですので)、案の定という思いです。

実名登録のFBだけにそこに掲載される内容は、等身大でなければならないと
思います。過去の行動から現在に至るすべてから値踏みされています。また
SNSの利用者増にともなってスパムも増えているだけに、行動は慎重になら
ざるを得なくなります。経済取引では相手の信用が重要ですし、人間関係は
信用・信頼が基盤になっています。警戒心と信用は裏腹なものだけに、自分
としては信用される人物でありたいと願っています。

今、ビジネスSNSとしてアメリカではLinkedIn(リンクトイン)が流行して
います。これを使えば、必要とする人物を容易に探せるだけでなく、自分の
キャリアをPRする場にもなります。このような場において、自分の虚像では
通用しないと思います。LinkedInが日本語対応を準備しており、いずれ日本
の中にもビジネスにSNSが接近してきます。新しいツールを有効に活用する
ためにも、ユーザーひとり一人のメディア・リテラシーが問われます。


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■UCFから > Google+の段
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☆関連サイト:http://plus.google.com/

先日、UCFのスタッフとSNSの話題になった折、FBとGoogle+の熾烈なバトルの
現状について教えてもらいました。アメリカのSNS市場では、F→Gへの移行が
増えているそうです。Fでのデータが一括でごっそりGへ持って行かれるのに、
さすがにFも黙ってみているわけにいかずいろいろと策を講じているそうです。

また、あわせてGoogle+に招待してもらいました。これまで、記事でしか見た
ことのなかったGoogle+なだけに、これでいよいよ使えると思い、喜び勇んで
ログインしました。日本語対応もできているので、不便さも感じないだろう
と期待が高まります。しかし、使い始めてはたと気づいたのが、これはSNSだ
ということです。知り合いのユーザと連携しなければ、このサービスは全く
機能しません。さらに利用法を参考にしようとしても、アクティブユーザが
いない状況では何ともなりません。

先日、大学生が使うSNSはmixiが多数であるというデータが発表されました。
日本では、mixiをfacebookとGoogle+が追う展開になりそうですが、どこまで
オープンなSNSへとシフトするのかが見ものです。


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■編□集□後□記□
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FBではゼミOBから友達リクエストに応じます。FBは友達という括りが大きく、
どんな関係であろうと友達です。自分は古い人間なのか「先生が友達?」と
いうことに違和感を覚えます。その点、Google+ではサークルという概念を
使っているので、スッキリしています。しかし、毎春卒業式で話すことです
が、もはや同じ社会人としてライバルでもあるわけですから、SNSでの情報
交換は望むところです。お互いメディア・リテラシーを高めながら、生産的
な活動ができれば幸いです。

2011年8月3日水曜日

第80号(2011.08.03)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第80号
□───────────────────――2011.08.03─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.080
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


8月になりました。コジマガも80号になりました。アメリカ滞在中に発行したのは
これで21号目となります。約半月に1度という、通常の倍以上のペースで配信して
きました。アメリカでの研修は残り1ヶ月弱ですが、メルマガのネタが豊かになる
よう、少しでも知見を広げておきたいと思います。その原動力となるのが好奇心
でしょう。


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■アメリカ短信 > なでしこの活躍とメディア・リテラシーの段
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☆関連サイト:http://twitter.com/

女子ワールドカップサッカーの決勝戦が行われた7月17日は、アメリカ知人宅で
ホームパーティがあり、ここで世紀の一戦を観戦しました。対戦相手がアメリカ
だけに完全なアウェー状態の応援でしたが、なでしこジャパンの驚異的な粘りに
巨大テレビの前で熱くなります。同時間帯にコパ・アメリカの準々決勝が行われ
ていました。パーティのゲストに南米出身者が多く、パラグアイ・ブラジル戦が
大きな注目を集めています。1階ではコパアメリカ、2階ではワールドカップを
楽しむという、さながらスポーツバーといった状況です。

PK戦の劇的な幕切れにとても感動です。アメリカ応援団は大きなため息と共に、
階下へ降りていきました。iPhoneでTwitterをチェックすると、日本は早朝にも
かかわらず、相当数のつぶやきが流れていました。翌日のネットニュースでは
「サッカー女子W杯決勝でTwitterが毎秒7196ツイートの新記録達成」だそうです。

今をときめくなでしこジャパンだけにその動向は万人から注目されます。歓喜の
瞬間からそれほど時を経ずして、ネットで事件が起こりました。飲み会で大学生
の思慮に欠ける投稿がネットで祭り状態になってしまいました。これに対して、
本人はアカウントを削除し、大学側が謝罪をしたそうです。

5月27日にツィートした「若者の何気ないつぶやきには心配」という発言が現実
になってしまいました。クローズなSNSであるmixiでも不適切な投稿内容は世間
にさらされるだけに、Twitterであれば炎上する危険性は極めて高いと言えます。
加えて拡散のスピードが速いだけに、関係者の事後の対応には的確さと迅速さが
求められます。

これまでタイムラインから学生諸君のツィートを眺めていると、公な場所と私的
な範囲との区別がかなり曖昧な発言が多いことを懸念していました。また、他人
のタイムラインも表示できる(http://bit.ly/lNAtnY)そうなので、一層の注意
が必要と感じていました。というのも採用人事の担当者ならば、応募者のタイム
ラインも参考にするかも知れないからです。さらに検索結果にTwitterの発言が
ヒットしますので、己の発言は誰の目にも触れるのだという意識は常に必要です。
Twitterは衆人にさらしたライフログの一部となるだけに、安易な利用に警鐘を
鳴らしたつもりでした。

このような事件が起こると各マスコミはいろいろなコメントを紹介してくれます。
そのようなニュースを読み「Twitterは危険だから、やらない方がよい」という
考えを強める人達もいることでしょう。しかし、その考え方には首肯できません。
なぜなら、今は新技術が社会へ浸透する過程にあると思うからです。すなわち、
新たなコミュニケーション手段の仕組みや有効性とその限界が理解されないまま
無造作に活用している利用者がいるということです。その意味では、メディア・
リテラシーの問題に帰着するかも知れません。

今後もこうしたメディア・リテラシーに起因した事件が起こる可能性はあります。
Twitterはどこからでもツィート可能なので、大学の授業などでのちょっとした
軽口が露にされることも考えられます。文脈がないつぶやき(一方的な発言)が
独り歩きして、問題を引き起こさないとも限りません。携帯電話が教室にあると
いうことは、ボイスレコーダー・カメラ・ビデオが用意されていることでもあり、
常に外部とコネクトされている状態です。今春に発生した入試問題の不正投稿も
このフレームワークで起こっています。技術の普及によって学習空間も進化して
いるだけに、それに合わせて学校側も柔軟に対応しなければならないでしょう。

周知の通り、Twitterは瞬時にフォロワーへ配信され、本文にはサイトの引用や
写真なども活用できるツールです。リツィートも簡単なので、興味ある記事は
あっという間に拡散します。この機能が東日本大震災の直後に活躍したことは
記憶に新しいところです。また、140文字という文字制限は、いかに伝えるかと
いう書き手の文章力が試されます。字数制限はある意味で、短歌や俳句と似て
いるので、日本語文化には馴染むツールかも知れません。表現が豊かな日本語
を駆使し、実践トレーニングするには最適なツールではないかもと考えるよう
になりました。

マルチメディアに対応した通常のブログと、制限付きとはいえ即時性が長所の
Twitter。ツールの使い分けを覚えてゆけば、情報発信に長けた人材になれるや
も知れません。もちろん、どちらも文字として残るので投稿前には必ず原稿の
再チェックが必要です。原稿を書く時は、真夜中やお酒が入ると筆(表現)が
荒れるので、避けたほうが無難と言われます。自分もそんな状況で作文をして、
翌朝に読み返して恥ずしい思いをした経験があります。その意味で、夜の酒宴
をTwitterで実況するのは、危険極まりない行為でしょう。

いろいろと考えさられる事件です。


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■UCFから > クラウドアプリの段
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☆関連サイト:http://www.evernote.com/about/intl/jp/

UCFでの体験を記事としてまとめるそうなので、メインキャンパスまで出向き
インタビューを受けました。1時間弱のインタビューでしたが、この研修での
振り返りという良い機会になりました。日頃からブログやメルマガでまとめて
おいたことが大変役に立っています。これもひとつのeポートフォリオの効用
でしょう。

このインタビューの前後の時間、スタッフの皆さんといろいろと情報交換です。
聞きたい内容は、アメリカでのEvernoteの普及状況です。これまで尋ねた人は
「知らない。それは日本のものか?」と切り返されて、ビックリしていたから
です。結論として、スマートフォンを使っている人以外は、Evernoteをあまり
知らないということです。たしかに、これまで質問した人がスマートフォン・
ユーザではありませんでした。そこで、日本での応用事例としてEvernote連携
商品「ショットノート」やスキャナーとの連動、デジタルペンの活用事例の話
をしました。非常に日本的な事業展開なだけに、大変興味深そうであったのが
印象的でした。

最近は、EvernoteよりもSpringPadが良いという話も聞きました、というのは、
サイトにある情報のメモ書きの利便性が高いからという理由だそうです。また、
今アメリカで人気アプリであるFoursquareやYelpの存在を教えてもらいました。
10年以上前ならば、アメリカのビジネスモデルを日本流にアレンジすることで、
大成功を収めた話をよく耳にしました。最近はグローバル化が進み、流行関連
の情報も速いので、きっとこのような新ビジネスに着手している企業もいると
思います。


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■編□集□後□記□
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研修も終わりが近づいてくると、自分の仕事のペースも上げざるを得ない状況
になります。まるで夏休みの終わりに宿題に追われる学生のようですが、切迫
した悲壮感が少ないのは、出発前に自分で決めた目標だからかも知れません。
さらにゴールも見えかけているだけに、ちょっとした充足感もあります。

日本にいるより自分の自由な時間があり、タイムマネジメントしながら仕事を
進めることができる今の環境に満足しています。

2011年7月15日金曜日

第79号(2011.07.15)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第79号
□───────────────────――2011.07.15─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.079
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


ネットの情報では、東海地方は例年よりも早い梅雨明け宣言がされたそうです。
本格的な夏の訪れは開放的な気持ちにさせるものですが、今年は原発のドミノ
停止によって、日本全国が深刻な電力不足にさらされているようです。衷心、
暑中お見舞い申し上げます。暑さ厳しき折、くれぐれも無理はせず、熱中症に
ご留意いただきお過ごしください。


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■アメリカ短信 > 独立記念日と花火の段
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☆関連サイト:

7月4日はアメリカの独立記念日で祝日です。今年は月曜日なので土曜日から
3連休でした。連休前後に何人かのスタッフの姿を見かけなかったので、この
期間を利用して長期休暇をとっていたようです。また、あちこちでイベントが
行われており、これに合わせたパーティーに招待されました。

ホームパーティでは、自宅のガレージ前に大きなバーベキューグリルを用意し、
男性諸氏が食材を焼いています(やはりBBQはアメリカン・ダディの仕事です)。
独立記念日にはホットドックがつきものだそうで、BBQではアメリカンサイズの
肉塊に加えて、ホットドックのソーセージやハンバーガー用のハンバーガーを
火にかけます。ちょっと変わった光景と感じましたが、日本人がBBQで焼きそば
や焼きおにぎりを作るのは、外国人にとってはかなり異様だと思いました。

食材を焼き終わると家の中へ持ち込んでのパーティです。どのホームパーティ
も同じスタイルで、プールサイドに食べ物や飲み物を並べて、皆が思い思いに
楽しんでいます。どの食材もアメリカンサイズで、普段はこのようなサイズは
食べないようにしていますが、この日ばかりは遠慮なく頂きます。

さて、独立記念日には花火がつきものです。外が暗くなってからのスタートで
すから午後9時30分です。サマータイムなので、夜8時半を過ぎないと陽は落ち
ません。イベントのメイン会場はモールの北側にある湖に設置され、夕方から
コンサートなどで盛り上がっているようです。10万人の見物客が集まる大規模
なイベントなので、モールがある大通りまで出ると車で大混雑です。そこで、
大通りの手前にあるパーキングから見物することになりました。開始30分前に
なると、ここにも多くの人が集まってきました。

夜空を見上げるとセスナが飛んでいるので、てっきり上空からの花火見物だと
思ってました。しかし、機体の下には電光掲示板が取り付けられており、何と
広告です。ビーチではバナーをつけたセスナ機の旋回は何度か見たことがあり
ましたが、さすがにこれには驚きです。(広告効果は十分なのでしょうか?)

いよいよ花火が始まりました。多くの人が集まるだけあり、なかなかの豪華さ
です。規模は日本の花火大会とほぼ同じですが、近くの数カ所でも花火が打ち
上がっていることにもビックリします。日本ならば、〇〇〇花火大会といえば
メイン会場だけの花火であって、近場で同時に花火を上げることはありません。

また、オーランドのダウンタウンであるレイクエオラで大きな花火大会が開催
されていました。ちょうど帰り道なので、ダウンタウン脇を走る高速道路から
は花火がよく見えます。まっすぐ上に伸びる高層ビルと円や曲線を描く花火の
コンストラストがとても見事です。驚いたのは、高速道路の脇に停車して見物
している車が多いことです。明らかに危険であるにもかかわらず(きっと日本
ならば、事前に警察による規制がされることでしょう)、平気で見物している
姿にアメリカらしさを感じました。

ダウンタウンを抜けると、自宅まで真西に向かい一直線にExpress Wayを走り
ます。約10分超ほどの道のりですが、道路の両サイドにいくつもの花火を見る
ことができます。コミュニティ毎に独立記念日をお祝いしていることが、よく
分かります。これはニューイヤーズ・イブと同じ光景です。そして、夜11時過
ぎにアパートメントに戻った後、NYで行われているMacy'sのFireworksをTVで
観ました。一体何発の花火が使われているのかと思うほどの豪華さです。

花火によって国民が独立記念日を祝っているという雰囲気を直に味わうことが
できました。日本でもこのように派手なイベントでお祝いする休日があっても
良いような気がします。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://cdl.ucf.edu/

UCFで所属している組織がCDLで、Center for Distributed Learningの略です。
日本語の文献をチェックしたところ、これを「分散学習センター」と訳して
ありました。しかし、この訳語にちょっとした違和感を覚えます。

Distributed Learningがどのように訳されるかを調べると必ず出てくるのが
ADLです。これはAdvanced Distributed Learningの略でアメリカの国防総省
に属する組織です。ここではeラーニング規格の標準化であるSCROMを進めて
いるそうです。たしかに軍の基地では、オンラインでの教育が進んでいます。
多様な背景を持った人が入隊するので、各人に適した教育プログラムを用意
する必要があります。また、常に研修も必要となりますが、軍隊任務もあり
教育研修ばかりに集中するわけにもいきません。学校のようにクラスを編成
して、一堂に介した授業が定期的に実施できる保証はありません。

すると教育プログラムを効果的に、かつ効率的に提供する仕組みが必要です。
独習でも可能な教材の開発、オンラインでの授業やディスカッションという
運用形態も求められます。教育学や軍事的なプログラムに疎いので、正確な
知識は持ち合わせていませんが、こうした中で使われるようになった用語が
Distributed Learningではないだろうかと推測します。なお、その反対語は
Massed Learningで、訳語は「集合教育」でなく「集中学習」だそうです。

しかし、UCFにおけるCDLの活動を間近で見ていると「分散」という用語では
当てはまりが悪いような気がしてなりません。というのも、英語辞書を見る
とDistributedには「分配された」というの意味はありますが、「分散」に
近い意味は見当たらないからです。さらに、英語の辞書の用例を見てみると
「be distributed on the Internet」は「インターネットを通じて配信され
る」という訳が掲載されています。

CDLが携わっている主な事業は、集合教育で利用されるコンテンツをうまく
チャンクダウンし、個々のエレメントをブラッシュアップしています。また、
それぞれの部品を利用者(インストラクター)が使いやすく、受講者の理解
が深まるように配信するという業務を担っています。すなわち、授業に対し
インストラクショナル・デザイナーがWebでも運用できるように精査をして、
イラストレーター、Webデザイナー、プログラマー、写真家らが学習者の興味
を惹きつけるようなコンテンツへと磨きあげているのです。これらはWebを
中心に配信されますが、対面教育でも利用されるので、必ずしも「分散学習」
という感じではありません。

その他にも関連用語として、Distance Learning(遠隔教育)もありますが、
これも含んでいるのがDistributed Learningであるように思います。コース
化された学習コンテンツをネットなどを通じて教育者や学習者へ届けるのが
使命であるだけに、Distributed Learningの訳は「教育配信」、そしてCDLは
「教育配信センター」とするのが実態に合っているように思います。


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■編□集□後□記□
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先日、NGUの学長ブログが開設されました。NGU公式サイトからアクセスでき
ます。学長は経済学部所属ですので、在学時に学長の授業を受けた人も多い
と思います。一度、チェックして下さい。多忙にもかかわらず、トップ自ら
が直接、自分の言葉で伝えようする姿勢には頭が下がります。何より心理的
な距離が縮まります。