2009年11月19日木曜日

第57号(2009.11.19)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第57号
□───────────────────――2009.11.19─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.057
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。

秋は時節柄とかく行事が多く、とても忙しい毎日です。先月末の大学祭は
ホームカミングが同時に開催されたので、多くのOBと会う機会を得ました。
また、「まちづくり」に関する公開講座も非常に興味深い話で大いに触発
されました。

また、11月2日(月)から1週間はアメリカまで出かけ、時差ぼけに苦悶しな
がら多くの刺激をもらいました。その翌週末には仙台・東京というように
目まぐるしいスケジュールです。さらに、恒例の卒業研究発表会が目前に
迫ってきており、ゼミ生を十分にケアしなくてはなりません。

息をつく時がないのはちょっと辛いですが、暇をもて余すよりは幸せです。


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■NGU短信 > EDUCAUSE2009の段
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☆関連サイト:http://www.educause.edu/E2009

EDUCAUSE2009に出席するために米国Denverへ出かけました。コロラド州の
州都はMLBのロッキーズの本拠地があるところで、ビール会社のクアーズが
球場のネーミングライツを持っています。ワンマイルシティというだけに、
標高1,600mの高地にあります。気圧の関係で打球がよく飛ぶために、ここ
ではノーヒット・ノーランは不可能といわれてましたが、かつて野茂投手
が快挙を成し遂げたことで、日本でも知られるようになりました。

高額な参加フィーにも関わらず、世界中から4,000名近くの人が集まります。
世界のeラーニングの最高峰なだけに、その規模や質は日本のそれとは全く
比較になりません。しかし、これまで参加された方の感想では、それでも
リーマンショックの影響で規模は縮小しているらしいとのことです。

コンベンションセンターには、100台近く設置されたデスクトップPCに加え
高速無線LANが完備されており、ノートPCやiPod touchなどが利用可能です。
これほど大規模な会場設営は日本ではあまり見たことがありません。

4日間のイベント中、各セッションで興味深い報告や活発な議論が行われて
いました。テーマはeラーニング手法や実践的内容だけでなく、図書館情報
システムの他、いかにIT投資が経営コスト削減につなげるかや組織的取組み
に不可欠なリーダーシップ論、最新IT機器による試験的応用など、様々です。
扱う範囲が広いこともアメリカ的であると感じました

企業展示は、日本でよく見られるコンパニオンが客寄せをするものではなく、
じっくりとブースで説明を聞くという感じでした。さらに、プログラムには
ないイベントとして、会場外でマイクロソフトやグーグルなどの出展企業が
主催するパーティも行われていました。

プログラムの中でも圧巻は基調講演です。日本でもベストセラーとなった本
『ビジョナリーカンパニー』のジム・コリンズ氏、クリエイティブコモンズ
で有名なローレンス・レッシグ氏のプレゼンは本当に素晴らしいものでした。
このミーティングはネット世代の学生に向けたICTの今後の活用法に大いに
参考となりました。


―――――――――――――――――――――――≪ books ≫――
■ 本の紹介
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☆関連サイト:http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/32000628.html

『CODE Version 2.0』,ローレンス・レッシグ,(山形浩生/訳)翔泳社
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先の記事にも登場したレッシグ氏の著作です。彼はサイバー法で世界の第一
人者で、法律だけでなく、経済学や情報科学などにもかなり造詣が深いこと
がわかります。また、極めて実践的な学者であることも注目すべき点です。

この本で紹介されている4つの規制について興味深い考え方を紹介します。
コントロールするには規範(道徳)、市場、法、技術(コード)による方法
があるとしています。例えば、健康に悪影響をもたらす喫煙を減らしたい、
特に未成年者の喫煙を減らそうとする場合、次のような規制方法があります。
(なお、この喩えはCODEには出ていませんので、不適切な可能性もあります)

1. 道徳:中学・高校および大学での教育や啓発広告
2. 市場:学生が購入しづらくするよう、たばこの価格を大幅に上げる
3. 法 :対面販売のみとして販売方法など法律で限定する
4. 技術:自動販売機は身分証明書(極端な例では生体認証)で厳格に管理

規制するといろいろなところで思わぬ弊害が表れます。この例では、たばこ
の値上げは確かに未成年者には購入しづらくなりますが、愛煙家にも重大な
影響が及びます。対面販売だけになると自販機に関わる企業や会社にとって、
厳しい経営環境に陥ります。さらに技術面を強化しすぎると個人情報の扱い
が難しくなってきます。

レッシグ氏は規制の程度を問題とします。特に著作権に関する内容は身近な
問題であり、これを厳しく規制すると創作的活動ができなくなるという警告
をしています。例えば、本屋で購入した本は個人がどのように利用しても、
あまり問題ありません。書籍から得られたアイディアが自分の頭の中で消化
され、新たなアイディアを生み出すこともあるでしょう。古本屋に売ってし
まうのも構いません。しかし、コピーをして他人に販売することやネットで
配布することは無論、法律違反です。

しかし、これがデジタルデータともなると非常に話がややこしくなります。
今や電子透かしやコピー配布防止などの進展により、デジタル技術で著作権
の厳格な管理は不可能ではなくなってきました。アマチュアバンドが名曲の
コピーをすると課金されるようになる可能性も否定できません。自分たちで
あれこれと工夫することで新たな価値は創造されます。旺盛な創造力こそが
次世代を担っているはずです。

そこで、筆者はクリエイティブ・コモンズを提唱して、著作者が改変の自由
などを承認方法という新たな考え方を提唱しています。これは、厳格化した
著作権の行使が創造力を失わせることになりかねないというで、すなわち、
イノベーションを起こすことができる芽を摘んではならないということかも
知れません。大経済学者シュンペーターの「新結合」こそが経済成長に必要
と思います。


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■最近のゼミ・講義から
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☆関連サイト:http://www.tiesnet.jp/

今年も卒業論文発表会が開催されます。これまでの中で最も早い開催日程と
なりました。ゼミが通年になったことで、春学期からスタートできるという
点を考えれば、もっともな措置です。

学内審査会:11/23(月)24(火)26(木)27(金)の4時限目
 場所:白鳥学舎
公開審査会:12/9(水) 14:30~17:00
 場所:国際会議場

公開審査会は国際会議場で行われますので、お時間が許せば見学参加いた
だければ幸いです。

いよいよサブゼミも本格化し、ゼミ生はプレゼンのスライドや原稿の執筆
にとラストスパートです。自分たちで学習する習慣を身につけ、自律的な
学習者に成長することを期待しています。


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■編□集□後□記□
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仙台での学会に出席した後、東北新幹線で東京まで戻り結婚披露宴に列席
しました。前日の雨が上がり、爽やかな秋晴れの風景を車窓から蔵王山を
見ていると、虹がかかっています。蔵王山が一番良く見える絶景ポイント
では大きな虹のアーチの中に山全体がすっぽりと入っていました。こんな
美しい光景は初めて見ました。きっと何かいいことがある、そんな予感が
します。

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