2010年11月18日木曜日

第65号(2010.11.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第65号
□───────────────────――2010.11.18─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.065
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカではサマータイムが終わり、昼間が急に短くなったように感じます。
今月、遠路はるばるオーランドまで遊びに来てくれたOBがいました。短い間
でしたが、ここがアメリカの田舎であることを実感してもらえたと思います。


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■アメリカ短信 > 教育とキャリアアップの段
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☆関連サイト:http://ja.wikipedia.org/wiki/フラット化する世界

こちらでお世話になっているセンターや研究所には、多くの女性スタッフが
働いています。そして、自分の仕事とともに、修士や博士を取得するために
常に勉強を続けている人がほとんどです。スタッフの詳しい個人の経歴まで
は知りませんが、自分のキャリアアップに関しては男女を問わず、常に意識
しているようです。教員でないスタッフも博士(Ph.D)を持っているケース
が多く、それが肩書きに表示されるからかも知れません。大学側も大学院に
通うことを当然のこととして受け入れているようで、日本ではあまり見られ
ない光景です。

日本の会社組織に属しながら大学院へ通うとなると、異端児扱いされること
も少なくありません。会社組織の中での活躍が最も期待されところであり、
組織内での昇進こそが価値になっているからでしょうか。また専門職大学院
ではない日本の多くの文科系大学院では、研究一本でやってきた教員が指導
をすることが多いので、実務との溝は簡単に埋められません。

その後の大学院修了が自分のステップアップに繋がりづらいので、社会人を
続けながら研究に挑戦しようという人も現れにくいと思います。働きながら
学ぶというのは、強い意志が必要です。心が折れそうになった時に、自らが
踏ん張れるだけのインセンティブがなければ、持続は困難です。これは世界
どこでも同じです。このように大学院を取り巻く環境は、アメリカと日本で
かなり違っています。

新聞によれば、10月時点での大学4年生の就職内定率が60%を割り込んで、
過去最低記録を更新したとのことです。同時に、日経新聞の電子版を読むと
多くの企業が黒字を計上している記事も散見されます。確かに最もコストが
かかる人を採用せずに生産量や販売量を維持することができれば、黒字経営
になるはずです。

円高や政府の方針転換という外部環境の劇的な変化の中で、日本企業は自ら
存続するためにできる限りの対応をしているのでしょう。従来通りの日本的
な慣行では、乗り切れなくなってきていると思います。

2年前に「派遣切り」が社会問題化しました。政権も変わりましたが、雇用
体系が以前の状態に戻ったとは思えません。グローバル化へ対応するための
移行期間の途中にあるように感じます。このような企業姿勢を一方的に庇う
わけではありませんが、グローバリゼーションから逃れることは不可能で、
環境変化に対応できる企業だけが生き残る時代です。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』で示された潮流は、日本
にも忍び寄っているように感じます。この本で示された個人が生き残るため
の対策としては、自分が情熱を持って取り組めるものに徹底することなどが
挙げられていました。打ち込むものは自分で見つけ出さなくてはなりません
が、確かに自分を強め高めるための最善の手段であると思います。

理想論かも知れませんが、大学は多様な学びの機会を提供するところである
と思います。しかし、ひとりよがりの内容ではなく常に社会が要請している
コンテンツを考え、個人が好奇心をもって情熱的に研究できる仕組みを構築
しなければならないと考えます。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.caravanline.com/

UCFには、メインキャンパスとは別の場所に観光学部があります。観光客が
たくさん集まるエリアに設置されています。UCFに観光学部があるひとつの
理由は、オーランドが観光で成り立っている街だからです。

まず、オーランドには巨大なコンベンションセンターがあり、全米第2位
(1位はシカゴ)の大きさだそうです。参加者を収容する近隣のホテルは
合わせて11万室あって、これも全米2位(1位はラスベガス)の収容力だ
そうです。ですから世界的規模の見本市やイベント・学会などでも十分に
対応できる環境が整っています。

さらにこの周辺にはディズニーワールドやユニバーサルなどの観光施設が
集中しています。ディズニーワールドはその規模も最大で、4つのテーマ
パーク(内訳は、マジックキングダム・アニマルキングダム・エプコット・
ハリウッドスタジオ)の他、シルクド・ソレイユや3つのゴルフ場(先週
末にPGAツアーが行われていました)などがあります。このディズニーの
敷地だけで山手線内の面積の1.5倍はあるそうなので、遊び尽くすには相当
の時間とお金が必要でしょう。知り合いが、ディズニーだけでも1週間では
足りないと言っていたのがよく分かります。

また、ユニバーサルオーランドにはハリーポッターの最新アトラクションが
完成、ブルーマン・グループのショーなども演じられているようです。他に
シーワールド、ブッシュガーデンなどもあります。ショッピングは、大きな
アウトレットモールは3つあるので、まさに至れり尽くせりといえます。

日本からのほとんどの観光客はメインストリートであるインターナショナル
ドライブ辺りで過ごすと思います。通りには、多くのホテルや飲食店が立ち
並んでいます。ただし都会でみられる高層ビル群でなく、横に広がっている
という感じです。

その他にも、車で1時間ほど走れば大西洋に出ます。この沿岸にはケネディ
宇宙センター、レースで有名なデイトナビーチ、ココビーチなどがあります。
ダイビングやサーフィン・フィッシングなどマリンスポーツができますし、
自然が豊かで多くの国立公園もあります。このように観光資源は豊富なので、
オーランドひとつだけで日本語のガイドブックができるのもよく分かります。

特色のある街ですが、持続的に発展させるには、さまざまな努力が必要です。
ひとつのキーワードとしてホスピタリティがあります。この街を訪れた人が
満足して帰らなければ、決してリピーターになってくれません。そのために
いかにお客さんをもてなすかが重要になります。UCFの観光学部はこのような
人材を育成することも目標にしているようです。日本にも観光学部を有する
大学がありますが、UCFほど実践的な環境にある大学は少ないように思います。


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■編□集□後□記□
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研修期間中にやりたいことのひとつにMacの購入がありました。さらにこの
数年間のデータ整理とともに、クラウドへの移行も必須です。自分自身の
Web2.0への対応は急務ですので、手始めとしてコジマガのバックナンバーを
整理してみました。

とりとめのない内容ですが、形としてまとめるには、それなりの時間と労力
を要します。とりあえず50号までをひとつのファイルにしましたが、よくぞ
ここまで書いたと自分でも思います。じっくりと再読はしませんが、いつか
自分の振り返りに役立ちます。あの時、こんな出来事があって、こんな風に
考えていた。そして、こんな表現したできなかった(稚拙な文章だった・・・)
などが一目瞭然です。まさにこれはひとつのeポートフォリオです。

現在、Twitterやfacebookが流行っています。後から自分の振り返りに使える
ような書き方をしておくことを皆さんにお薦めします。

2010年11月6日土曜日

第64号(2010.11.06)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第64号
□───────────────────――2010.11.06─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.064
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカも秋から冬へと向かっているのでしょうが、フロリダの日中はまだ
夏の様相を呈しています。アパートメントのプールでは、日光浴をしている
人が見られます。アメリカではハロウィーンが終わり、次はThanksgivingで
大バーゲンになるそうです。翌月はクリスマスというように年末は月末ごと
にいろいろなイベントがある国です。個人消費が著しく伸びる季節です。

来週末は大学祭ですね。11月14日(日)には同窓会主催のホームカミングデー
が開催されます。毎回参加させてもらってますが、さすがに今回は欠席です。
まだ名古屋キャンパスに来たことのないOB・OGは折角のチャンスですので、
是非、ご参加下さい。


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■アメリカ短信 > アナハイムの段
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☆関連サイト:http://www.educause.edu/E2010

昨年コロラド州デンバーで開催されたEDUCAUSEの年次大会(コジマガ第57号
参照)は、今年度はカリフォルニアのアナハイムで行われました。アメリカ
大陸の東海岸から西海岸への5時間あまりの移動です。こちらへ来て初めての
遠出は、サウスウエスト航空を利用しました。知り合いの先生から安いので
試してみたらという情報をもらい早速挑戦です。

デンバーで乗り換えが必要ですが、東から西への移動は時差もあり、あまり
問題ありません。確かに安いのですが、座席指定がないのに驚きです。搭乗
券を見ても自分の席らしい記録がなく、搭乗する順序が書いてあるだけです。
いわゆる乗り合いバスと同じで、早く乗った者が好きな場所に座るという
システムです。そして、帰りの便で気づいたことですが、預ける荷物の料金
がかかりません。国内線では規定内のサイズ荷物1つにつき約20ドル~25ドル
必要ですが、サウスウエストは無料です。なるほど皆が利用する訳です。

さて、LA国際空港からアナハイムまでは、車で1時間弱の移動が必要です。
『地球のあるき方』をチェックし、案内係のおばさんにまで尋ねて、正しい
バス乗り場で待っていました。暫くするとバスが来たので乗り込むとどうも
違う。誤乗車でかなり遠くまで来てしまいましたが、LA国際空港まで乗せて
返してくれました。

ここで再チャレンジです。搭乗すべきバスはディズニーエクスプレスという
ことを再確認してバスを待っていました。日本のイメージだと小さな子供の
いる家族連れや若い女の子達、カップルで一杯になると思っていました。が、
周りにはそんな人たちの姿はほとんど見られません。1時間経っても来ないと、
さすがに不安になります。ようやくバスが来ましたが、誰も乗っていません。
その後も途中から乗ってきた乗客もほんの数人で、アジア系老夫婦二組です。
私や運転手を含めて、平均年齢が50歳を超えたアジア人ばかりのディズニー
エクスプレスでした。やはり日本のイメージで考えるのはよくありません。

今年のEDUCAUSEは昨年よりも参加数が多い6700人だそうです。2回目の参加
なので、大会プログラムの進行も何となく理解でき、昨年お会いした方々と
お話しする機会が増えました。今大会には30名ほどの日本人が来ていました
が、印象に残ったのが以下の2名の方です。

一人はアメリカで大活躍をされており、活躍フィールドはアメリカ・日本に
とどまらずグローバル・アジェンダ・サミットまで広げています。最終日の
レセプションでお話する機会を得ましたので、いろいろと伺うと彼と私は同
学年でした。

もう一人は、どうも見覚えのある顔の方です。名刺交換の機会を得ましたが、
何とその場で名刺切れというアクシデントが発生。慌ただし状況だったので、
お話をする機会がありませんでした。しかし、どうも気になりネットで調べ、
日本の友人にメールを出して確認をすると彼は高校の同級生でした。まさか
アメリカでこんな偶然に遭遇するとは思いませんでした。

同学年の人たちに刺激を受けたのは久しぶりです。学生の頃は、同じ学年の
人しか見えていなかったように思います。日本的な横並び意識や競争心など
が視野を狭くしていたのかも知れません。いつの間にやら学年や年齢などを
まったく気にすることがなくなりました。でも今回のような極めて限られた
世界に頑張っている同世代がいて、とても嬉しく思いました。皆、頑張って
います。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.ist.ucf.edu/

シミュレーションというとコンピュータを使った凄いものを想起しますが、
コンピュータの性能、特に、グラフィック技術が向上すると実用的で身近な
ものになってきます。例えば、フライトシミュレータはパイロットの養成に
必要なツールですし、子供達に大人気のゲームもひとつのシミュレーション
です。

こちらの先生にお聞きしたのですが、ディズニーのアニメーションなどには
最先端の映像技術が用いられます。ケネディ宇宙センターでは宇宙飛行士の
訓練として、最高のシミュレーション技術が使われます。これらの2大拠点
の中間にUCFが位置しており、これを回廊(コリドー)と表現していました。
確かにこの辺りには莫大な研究予算が投入されていると思います。

UCFにはシミュレーション研究所(Institute of Simulation Training, IST)
があり、ここを見学させてもらえる機会がありました。ISTは、私の所属する
研究棟(パートナーシップ2)の1階・3階にあります。また、隣接する場所
には10月末にオープンした新しい建物(パートナーシップ3)ができ、ISTと
アメリカ軍の施設が入っています。ですから軍服を着た人たちを研究所付近で
よく見かけます。

見学時はまだ建設中でしたが、ここも案内してもらいました。IST扱う分野は
軍事・看護の実践教育のほか多岐にわたります。コンピュータと接続された
高額なシミュレーション機器を導入して、研究から実用化に向けた取り組みを
しているそうです。実際に扱っている内容を見て思ったことは、とてもこんな
国と戦争をしてもとてもかなわないということです。また、いつも通っている
建物にこんなにいろいろな施設があることにも驚きました。

軍の施設があるだけに外側のフェンスはトラックが突っ込んで来ても大丈夫
なように頑丈に作られています。厳つい感じをなくすよう周りには植栽され、
雰囲気は良くなっていますが、アメリカを見たように思います。このように
産官学連携というと日本の場合、メーカーなどの企業が基礎的研究・実験を
大学と一緒に行います。一方、アメリカはそれ以外に政府による軍事予算が
加わるということを実感しました。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://www.kojima-seminar.net/

アメリカでは自由な時間があるので、コジマガが頻発すると思いきやUSブログ
(67日目、毎日継続中)に気を取られて、ずるずると発行日が延びています。
このような記録文書の作成により暇を持てあますことはありませんが、日本語
ばかりを使っているのも英語が上達しない原因でしょうか。

なお、USブログについては積極的には公開しておらず、知る人ぞ知るという
存在です。(RSSで読んでいただいている人もいるようですが・・・)もし
読みたい方は、.NETにURLを記しておきましたので、各自ログインして確認
下さい。