2025年7月22日火曜日

ゼミ創立30周年記念号 #10 現在のゼミ

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卒業生から3・4年ゼミの具体的な内容を聞かれることが多いので、パーティ前に
報告します。演習要項に詳しく記載していますので、ここで紹介します。

■3年ゼミ演習要項

 春学期では、大学生レベルの論文作法をチームで学習します。ほとんどの学生が、WordをはじめとするMS365の機能が使いこなせず非効率な作業で、ミスの多い論文・レポートになっています。そこで、ゼミのテーマに即した経済社会に関するレポートテーマを提示し、関連資料の収集に着手します。実践から大学での資料収集法や参考文献リストの作成法を指導します。そして、資料調査から文章にする前に、論理的文章の作文(アカデミックライティング)の基本を学習します。実際に作成した文章に対して、誤字脱字から表記のゆれといった些末なミスの除去をチーム内で相互指摘(ダメ出し)します。その後、適切な引用ができているか、過不足なく説明できているか、論理的な文章になっているかなどを確認(論理的思考力)しながら、論文作成に必要な知識とスキルを養成します。

 春の後半では、自分が興味関心のあるテーマを経済学の課題にできるような指導をします。適切なテーマ設定を通じて、経済学部生としての課題発見能力を身に付けます。卒業研究発表会で入賞した発表ビデオを視聴したり、先輩の卒業論文をチェックし、イメージを具体化します。夏休み期間には、設定したテーマに関連する資料収集から課題解決の方策を探り、秋の後半までに準備をします。

 秋学期は、就職準備にも大いに役立つアクティブラーニングを実施します。名古屋証券取引所が主催する「名証株式投資コンテスト」のチーム戦に参加し、地元企業や金融の実際を理解します。チームで協力しながら仮想的売買を行いながら、企業研究・業界研究に関するチーム発表を実施します。社会人として通用するレベルのPowerpointを作成し、効果的なプレゼン方法の修得に努めます。このように、企業で求められる組織運営を体験しながら、経済社会に関する知識を深め就活の準備とします。

 秋の後半では、経済学部で必須である研究報告書を完成させます。課題発見・解決能力を磨き、論理的思考力と批判的思考力を養います。経済学的な視点に基づく論理的なストーリーを構成し、適切な日本語で説明できるようにします。また、客観的説明のためデータを用いたExcelでの統計分析やグラフ表現の能力を伸ばします。同時期に4年生が卒業論文に取り組んでいるので、学年を超えたアクティブラーニングからプレゼン能力と日本語能力を飛躍的に向上させます。原稿や発表内容を相互チェック(ダメ出し)する作業から、社会人として重要なクリティカル・シンキングや協働を高めます。

 以上のような学修プロセスをやる気のある仲間と歩めば、必ず実力はつきます。就職活動時に「何を勉強したか」という質問に対して、自信をもって答えられるようなレベルになります。ただし、実力の伸び具合は各人の「意欲」と「努力」に依存していますので、大学で自分を高めたいと思う人が児島ゼミに向いているでしょう。

■4年ゼミ演習要項

 春学期は、卒業後の進路指導が中心ですが、併せて、論文作成で必要な基礎能力とTeamsなどMS365(Word, Excel, Powerpoint, OneDrive, Sharepoint, Formsなど)の機能を確認します。進路が決定した学生から研究テーマを見直し、深く掘り下げます。新たに調査した内容をPowerpointにまとめ、発表・ダメ出しを繰り返して、アウトラインの作成方法を指導します。必要となる参考文献や関連データを織り込みながら、研究内容の充実をはかります。

 秋から本格化する卒業論文の作成に向けた準備として、卒論作成用のチームを決定します。皆でテーマに関連する資料収集から課題解決の方策を探り、問題提起から結論・提言に至るまでのストーリーを完成させます(ロジカルシンキングの養成)。春学期中から夏休み期間で、オンライン・オフラインでの自主的なサブゼミをチームで開催し、互いにダメ出しやアドバイスで研究を深めます。夏休みにプレゼンとしてビデオ作成とアップロードを行い、チーム内でダメ出しを行います。

 秋学期では、論旨明快なアウトラインが発表できようにします。Powerpointでまとめると整理がつきやいことを体験します。そして、妥当な結論・提言に到達した学生から、Wordでの卒業論文作成に着手します。研究背景から結論までが文字で十分に伝わるような日本語表現力を身につけます。互いの原稿のダメ出しを繰り返す実践作業から、大学生の卒業論文として十分なレベルまで原稿をブラッシュアップします。このプロセスで、各人のクリティカルシンキングを養成します。併せて、後輩たちの研究をサポートすることで、自分の研究成果に気づきを得ます。

 発表会・報告会などのイベントは目標達成に有効なので、卒業研究発表会・優秀論文審査会に全員がエントリーします。この発表会を意識して、論文の骨子をしっかり固めて、Wordへスムーズに移行できるよう指導します。ストーリーができていないと論理的な文章は作成できませんし、何度も書き直しという事態になりかねません。また、年内に全員が卒業論文を完成できるよう、チーム内での協力体制を構築し、仲間意識の醸成をはかります。ゼミではネットツールが自在に扱える社会人の育成を目指します。オンラインや対面でゼミ生相互に助け合いながら、テレワークで生産性を上げられる人材、社会の要請に応えられるような人材となることを目標にします。大学最後のイベントである卒業研究発表会で学修成果を報告します。

 以上のような学修プロセスをやる気のある仲間と歩めば、質の高い卒業論文が完成でき「学士力の達成」という目標が達成できます。大学生として必要な知識・技術を身につけ、経済学的な考え方を養い、有用な社会人として活躍できるようなレベルまで引き上げます。結果として、ルーブリック20(卒論・ダメ出し技術)のチェック項目がすべて達成できることが望まれます。

■その他、共通事項

最近のゼミでは、学期の最後にFormsで振り返りを実施しています。
反省に基づいて、夏休みや春休みを過ごしてもらいたいと思っています。

4年生は卒業研究発表会の前に、3年生へ卒論を説明する機会を設けています。
3年生ゼミの時間に全4年生が集合し、3年生の説明1名を見つけ、説明し質問を
もらいます。これを2セット繰り返します。

4年生は卒論の本文を完成させた後、AIに「要旨」を作成させ、自分の内容と
整合性があるか(自分の論理立てに問題があるか?AIにミスがあるのか?)を
確認させます。AI時代を見越した指導も少しずつ取り入れています。



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