2011年2月13日日曜日

第70号(2011.02.13)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第70号
□───────────────────――2011.02.13─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.070
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。

2010年はiPhone4とAndroid携帯によって、スマートフォン元年になりました。
今年は各社からタブレットがぞくぞくと登場するのに加えて、春にはiPad2の
発表されるとの噂が世界中を駆け巡っています。2011年は、スマートフォンと
タブレット端末が入り乱れて、熾烈な競争を繰り広げながら新たな市場を開拓
してゆくものと期待されます。

また、これらの通信インフラにも大きな変化が見られます。日本でDocomoが
昨年末にLTEサービスを開始しました。アメリカでもVerizonがLTE用の携帯
新機種を市場にどんどん投入しています。無線による高速ブロードバンドは
LTEに加えて、無線LANからの発展形であるWiMAXとの競争によって、急速に
市場へ浸透するように思われます。

今年の通信関連市場の動向は見逃せません。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > アメリカ経済の段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.cnbc.com/

アメリカにいると日本の情報はほとんど入ってきません。ネットなどで自分で
情報を取りに行かないと全く分からない状況になります。幸いアパートメント
も研究所もネットは完備ですし、さらにiPhoneからでもアクセスできますので、
まずまず快適な情報環境と言えるでしょう。

日本人がアメリカ生活を送ると為替の動きにかなり敏感になりますが、地元の
人は円ドルレートに全く関心はなさそうです。そもそも円と元・ウォンなどの
区別がつかない人がいても不思議でありません。また、例えばカシオが日本製
ということを知りませんし、韓国製品と日本のそれと明確には意識していない
と思います。多くの日本人が海外事情にそれほど関心を示さないのと同様です。

テレビではCNBCが株や経済の専門チャンネルなので、これを見ると経済や社会
の動きや話題になっていることが把握できます。また、株式の話題では、日本
であまり馴染みのない企業の名前も覚えることができます。さらにバーナンキ
FRB議長が実際にインタビューを受けていたり、自らコメントを出す姿を見る
こともできます。日本では新聞記事でコメントを読むことはあっても、映像で
見る機会は少ないだけに、貴重な経験です。

さて、2008年のリーマンショックでは甚大な損失を被ったアメリカでしたが、
株価は以前の水準ぐらいまでに戻しています。やはり日本の不良債権処理の
失敗から学び、迅速かつ大きな措置を施した成果でしょう。そんなアメリカ
ですが、オバマ政権発足時に掲げた公約の実施は、思惑通りに実現できない
ようです。国民皆保険制度の「オバマケア」は大きな政府の象徴としてみな
され、異論が噴出しています。これ以上の国の借金はすべきでないという声
が大きくなっています。昨秋の中間選挙で米国民主党が大負けをし、閣僚も
入れ替えしたのは、あまりにも日本とソックリです。

S&Pが日本国債の格を下げた報道に対して、CNBCは日本の逼迫した財政状況
を引き合いに、オバマ政権の経済政策へ危機感を煽っていました。すなわち、
大きな政府ではギリシアや日本のようになってしまうぞということを国民に
警鐘しているようです。このようにテレビの専門チャンネルではアメリカの
政治・経済だけでなく、世界の動きにも大きな関心を払っているように思え
ます。(アメリカの外交は国務長官の役割ですから、アメリカにとって世界
事情も国務の範囲なのでしょうか。)

一般教書演説以降、オバマ政権は政策転換を図っているようですが、現実に
合わせ柔軟に対応しているように見えます。しかし、基本となる成長戦略は
不変です。日本との違いは、いかに持続的に経済発展させるかという視点が
ぶれていないことでしょう、昨今、日本市場から外資がどんどん逃げてゆく
のは、グローバル化への対応の遅れや危機的な財政状況下での国債依存体質
から脱却できないところにあります。何より、揺るぎない成長路線が描けて
いないのが一番の問題でしょう。

日本経済の動きはアメリカの市場動向をチェックしていると理解が容易です。
昨年11月18日にGMが再上場しました。これに呼応した形で、一時的に円高に
歯止めがかかりました。すると日経平均が上昇します。また北朝鮮が韓国に
攻撃を加えました。すると有事にはドルが強くなるので、直ちに円安に振れ
ます。さらに、アメリカの主要な経済データが発表になると、アメリカ市場
が大きく反応して、日本はその影響を受けます。このようにアメリカ経済の
大きな影響を感じます。やはり日本経済だけを注視するのでなく、アメリカ
というフィルタを通して世界経済を眺める重要性を再確認しました。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/2Block/05/05-2_text.html

授業が行われるメインキャンパスには研究所に車を停めてシャトルバスで移動
します。いつも研究所の敷地内に停車するルート9番のバスを使っていました。

最初の授業日には、8時30分の開始時間にあわせて時間に余裕を持って停車所
で待っていました。しかし、バスはなかなか来ません。待っている間にルート
5番のシャトルバスが何本も通ってゆくのが見えます。時間が経過するにつれ
だんだん焦ってきます。仕方なくルート5番の停車所へ急いで移動です。9番
のバスはあまりに不定時なので、次回以降は5番のバスを使うようにしました。
研究所の周辺はパーク&ライドになっていますので、第3週目からはルート5
のバス停近くのパーキングに車を停めることにしました。

毎回乗るバスには常連さんがいることも分かってきました。バスの中で学生は
音楽を聞いたり、宿題をしたり、本(nookも)を読んでいたりとさまざまです。
日本と違うところを一つ発見しました。居眠りをする、またはしようとしてる
人がいないということです。日本ならば、どんな短い時間でも寝ようとする人
はいます。また、終点が目的地のバスですから、寝ていても乗り過ごす心配は
ありません。でも、この車内ではまだ見かけたことはなく、日本の通勤・通学
風景とはちょっと違います。

さて、授業も第5週目を過ぎてくるといろいろなことが分かってきます。まず、
インストラクタである教員の指示にしたがって、学生が全員ネットから書類を
ダウンロードし、プリントアウトしてきます。授業のルールとして当然のこと
ですが、日本ならば「プリンタがない」「パソコンが壊れた」など、さまざま
な言い訳とともに提出できない学生もしばしば見られます。もちろんUCFでは
大学からノートPCを全学生に渡しているわけではありません。そうでなくとも
ICTの要求もきちん守れる環境に驚きです。授業での約束事(プロトコル)が
しっかり提示されていますが、それが守られているようです。

次に、学生の学習到達度と目標が明らかになっていることです。これを遂行上
で重要な書類がルーブリック(Rublic)です。学生はこれまでの成果(自分で
作ったレポート及びチェックされたメモなど)を紙のファイルにまとめますが、
ルーブリックが一緒に用意されています。ルーブリックとは授業での達成目標
(複数)に対して、どこまで進捗しているのかかを明らかにした表のことです。
学生はそれを見ながら、これらか自分の努力すべき点を確認してきます。

また、事前に読んでおくべき文も学生は読んできているので、face to faceの
授業も上手く展開できています。最近、サンデル教授の「ハーバード白熱教室」
が日本で話題となっているようで、大学が目指すべき理想の授業形態のように
扱われているように思えます。しかし、注意が必要なのは、このような授業の
前提には教員の努力・能力もさることながら、学生たちの事前の準備が求めら
れていることです。何の準備もなく聞いているだけの学生とアメリカのように
事前の課題をこなして臨む学生とでは、アプローチを変えなければなりません。

1回あたり50分の授業ですが、20名以下のクラスサイズということもあってか
無駄がなく中身は濃いように感じてます。さらに週3回なので学生にとっては
ハードな授業のように思います。最初に比べて学生が少しばかり減ったように
思いますが、授業についてこれなくなりドロップアウトしたのかも知れません。
3割以上の学生がドロップアウトしてゆくアメリカの大学だけに、この状況も
分からなくもありません。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

先週、第45回スーパーボウルがテキサスで開催されました。やはりアメリカ
最高の舞台だけにいろいろなところで話題になっていました。当日は自宅の
アパートメントで観戦です。テレビで映し出されていた有名人にはブッシュ
前大統領とその側近たちもいました。

試合は、前半からリードを保ったパッカーズが優勝です。スティーラーズの
追い上げで3点差まで迫りましたが、やはり3回ものターンオーバーが勝利
の要因でしょう。試合だけでなく、ハーフタイムやTVコマーシャルが面白い
のも印象的です。ハーフタイムショーはコンサートさながらですし、また、
各社が競ってCMづくりをしているのがよく分かります。いつトイレに立って
よいかに悩みました。これでアメフトもシーズンオフです。

2011年1月17日月曜日

第69号(2011.01.17)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第69号
□───────────────────――2011.01.17─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.069
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。

日本が大雪に見舞われている情報は、Twitterやメールなどから入ってきます。
寒中お見舞い申し上げますとともに、降雪でも日々の仕事や大学では期末試験
もあって、読者の皆様はどうかご無事に遂行できますよう祈念しております。

フロリダでは寒波が過ぎた後、一転して好天に恵まれました。寒かった翌日、
20度を超える暖かさにアパートメントのプールサイドでは、早速、日光浴を
楽しむ住民がいました。さすがにそこまで暑くないでしょうと呆れてしまい
ますが、寒暖の感覚はどうも日本人とは違うようです。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > 新学期開始と作文授業の段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:

前号でもお伝えしましたが、アメリカでは新年早々、新学期がスタートです。
4月いっぱいで春学期はほぼおしまいになります。

今学期から学部の英作文の授業に出させてもらっています。授業内容は大学
における研究レポートの作成です。全学に複数開講されており、初年次生が
履修する科目です。共通教材に目を通してみると、日本の大学でもその内容
を教えるべきだと痛感します。

アメリカ研修期間中は毎日のようにブログを更新しているわけですが、日頃
から作文の練習は必要です。何事もしばらく離れていると、どんどん下手に
なっていきますので、日本語の練習として良い機会と思っています。また、
かつてはホームページ作成、その後はブログ、最近ですとツイッターを学生
に推薦しています。これは人に見られる文章を書く訓練となるからです。

余談ですが、最近、Twitterで気になることは「つぶやき」だからといって
ワンフレーズだけを残しても、あまり作文練習にはなりません。また将来の
自分への振り返りにもなりません。さらに、発言集はライフログとなるので、
その時の勢いから出たつぶやきが禍根を残すことになる恐れもあります。

学生が提出する作文レポートを見ていると、驚くべき体裁のものに遭遇する
ことは珍しくありません。漢字変換ミスや言葉遣いの誤りなどは瑣末な部類
で、例えば、句読点がない文、主語がない文、段落がない文章・・・これは
学年を問わずさまざまです。無茶苦茶な文章を多様化とか個性とかだとして
履き違えるケースもあり、日本の活字文化の継承に危機感を覚えます。

このような状況ですと卒業論文はおろか授業のレポート、就職活動で必要な
エントリーシートさえも書けないはずです。彼らに話を聞けば、小中学校で
作文練習、高校では小論文の訓練をやっていないそうです。一方で、文章の
形式が整っている学生には、受験対策として小論文講座などで何度も作文の
練習した経験があるという傾向があります。こうして考えると、入学試験に
知識の詰め込み科目に加えて、小論文を課して、全国的に受験対策をさせる
のは即効性があるように思います(大学側の採点が大変になりますが・・)。
また、文章が得意な学生に共通する点は、読書好きであったり読書量が多い
ことです。学術機関において読書を推奨することは当然ですが、全ての学生
に対して、なかなか読書習慣を確立させるのは至難の業です。

文章指導はなかなか面倒なだけに、多くの先生が目をつぶってしまいがちな
課題ですが、まず「型にはめる」ことで基本までは形成することができます。
「日本語表現」なる必修科目が設置されているにもかかわらず、作文の基本
が全くできていない学生も多く、文章の書き方はあまりにもまちまちです。
ですから、1年生から4年生までのゼミでは、一旦、型にはめてしまうという
無茶な教育手法を行っています。

まず文章を書かせた上で、基本的な知識(適切な単語選択から句・節・段落、
章、接続詞、代名詞など)からよくあるミス(おかしな表現)の修正などを
相互にチェックさせます。もちろん、インデントや脚注など基礎的な日本語
ワープロの使い方も含めて実施します。こうして相互に文章のダメ出し作業
を数回行えば、ほぼ全員が基本的な作文スタイルをマスターできます。一度、
自分の型ができると学生は文章が書きやすくなっているようです。

過日、研究所の同僚がランチの際に話してくれましたが、アメリカも新入生
のクラスのレポートはひどいと嘆いていました。このようにどの国でも同じ
ような教育課題を抱えています。アメリカではそれを組織的に取り組み解決
への道筋をつけています。また、作文の技術は将来、必ず役立つ基本スキル
だけに初年次からきちんとした訓練が必要でしょう(それらを必要としない
超優秀な機関を除く)。もちろん、分野ごとに文章の書き方は異なりますが、
それを教えた上で、授業のレポートから研究論文へのプロセスを示す授業が
日本の大学教育でも求められていると思います。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:https://webcourses.ucf.edu/

新学期が始まって、いよいよ実際のブレンド型の授業を体験することになり
ました。授業は教養関連科目なので、メインキャンパスにあるClassroom1で
行われます。授業開始は朝8時30分ですが、時間前には講義室前の廊下の床に
座っている学生(いわゆるジベタリアンです)を多く見かけます。本人達は
だらしないと思っていないのかも知れませんが、このような若者の姿は日米
一緒です。

アメリカではタバコは高額なので、喫煙者は日本に比べかなり少ないような
気がします。それでも、キャンパス内で歩きタバコ姿やタバコの吸殻が散乱
しているのは目につきます。まだ教室で食事をする学生には会っていません
が、先生からの諸注意に記載されているので、こちらでも問題なようです。
授業中に帽子をかぶっている学生、スケボー持参の学生などさまざまです。
大学にもよるのでしょうが、全体として日本の学生の方が礼儀正しいのかも
知れないと思いました。

学生に感心するのは、教員が皆で話し合いを指示するとためらうことなく、
直ぐに始めることです。また、教員の問いかけにも手を挙げて答える学生も
少なくありません。講義にメリハリがある(微妙な間がない)という感じが
します。

普段、90分の授業に慣れているので、50分授業は大変短く感じます。しかし、
週に3回授業がありますので、90分☓3回☓16週ですから日本の授業時間より
多くなります。当然のことながら毎回しっかり宿題があり、予習は必須です。
遅刻する学生やテキストを持っていない、すなわち予習をしてこない学生の
対応なども興味があります。週3回のうち1回(金曜)がWebでのオンライン
学習になります。

新学期が始まるとブックストアは賑やかになります。店内奥のエリアには
教科書がずらりと揃えられており、多くの学生たちが自分の授業に必要な
テキストを探しています。

知ってはいましたが、こちらのテキストは高すぎます。新品では$100以上
するのも珍しくなく、中古品でその3割引ぐらいでしょうか。日本でも分野
によっては高額な場合(特に、医歯薬系)もありますが、主に学部生が使う
経済学の教科書で5000円以上はまずありえません。しかし、アメリカの大学
で使う経済学関連テキストは$100以上が当たり前です。厚みがあるだけに
ページ単価で考えれば良いのかも知れませんが・・・。

担当の先生は、学生はお金が無いことに配慮し、授業で必要な箇所を講義
プリントにまとめるなどという対応をしています。一方、日本では比較的
安いにもかかわらず、学生はなかなか教科書を買おうとしません。授業で
毎回きちんと使わないのも問題ですが・・・。学期末テスト前に持ち込み
物件が発表され、「テキストのみ可」という本だけが売れるという何とも
情けない状況です。これ幸いに自著をさばくという教員もいますが、昔に
比べると少なくなってきたように思います。

アメリカの大学内での物価は、日本に比べるとかなり高いように感じます。
まだまだ日本は恵まれているのでしょうか?じっくり再考してみる必要が
ありそうです。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

1月の第3月曜日は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの誕生日で
祝日になります。誕生日が祝日になるのは、大統領では初代のワシントン
とリンカーンの2名だけで、大統領以外では彼だけです。

キング牧師で有名な演説に"I have a dream"があります。ささやかですが
私にも夢があります。少しでもこれに近づけるように日々過ごせることが
できれば、最高の人生でしょう。皆さんも夢に向かって楽しく進めるよう
異国の地より祈念しております。

2011年1月9日日曜日

第68号(2011.01.09)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第68号
□───────────────────――2011.01.09─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.068
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


A Happy New Year!新年あけましておめでとうございます。
フロリダ州の別名はSunshine Stateだけに、眩く明るい新年を迎えるところ
として最高かもしれません。今年も皆さんにとって、素晴らしい1年である
ことを祈念しております。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > アメリカの年末年始の段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:

アメリカの年末年始を初体験です。アメリカで暮らした経験のある方ならば
当たり前のことでしょうが、やはり、実際に体験しないと分からないことが
多いので、大変勉強になりました。

クリスマスの24日と25日は、両日ともアメリカ人のお宅で開かれたパーティ
に加えてもらうことができました。

まずイブの24日は、こちらで知り合った日本人の方に誘われて、ココビーチ
方面に住んでいるアメリカ人宅でのクリスマスパーティへご一緒させていた
だきました。パーティのホストはじめ、何人かはすでに顔見知りでしたし、
日本人も2名参加しているので気軽な雰囲気です。

大きな家でのクリスマスパーティは初めての体験です。ダイニングキッチン
にはたくさんの食事やお酒が用意されており、皆が思いおもいに食べながら、
話で盛り上がっています。ちなみに、アーノルド・パーマーがオーランドに
住んでいることを知りました。また、クリスマスならではの飲み物として、
エッグノック(Egg Nog)に挑戦しました。ここにラム酒を入れると香りや
テーストも最高です。ただし、高カロリーなので注意が必要とのことです。
最後は、クリスマスケーキとコーヒーで大満足でした。

翌日は、研究所の同僚が自宅でのクリスマスディナーに招待してくれました。
誘われた時に、信仰する宗教を聞かれました。初めて聞かれた質問で戸惑い
ましたが、にわか仏教徒なので、No Religionです。多くの日本人と同様に
正月には神社に参詣し、仏前で合掌します。これまでも仏教系の学校に通い、
勤務先はプロテスタント系という、何ともいい加減な宗教観です。

クリスマス当日は、さすがに休日だけあって、街中を走っている車が非常に
少ないように感じました。彼の自宅には4家族が集まっており、大勢の方に
グリーティングです。その後、邸内を案内してもらいました。ガレージには、
彼の趣味である釣り道具や小型ボートがあり、ここあるキャンプ用グリルで
クリスマス用の肉を焼いています。いくつかある部屋のうち、彼の奥さんの
弁護士オフィスがありました。

全員が食卓についたところで乾杯、クリスマスならでは食事です。お嬢さん
に教えてもらったクリスマス定番の料理であるグリーンビーンキャセロール
(Green Bean Casserole)がなかなか美味です。ディナーの後には、今度は
デザートです。その後、皆が居間に集まり、何故かウクレレ(ukulele)が
出てきて、彼のお父さんのFlukeによる伴奏でクリスマスソングを歌います。
この時ばかりは、クリスマスソングをきちんと英語で歌えるようにすれば
よかったと後悔した瞬間でした。

このように連日、アメリカ人宅でのクリスマスパーティを体験できました。
プール付きの大きな家で、皆が集まり楽しそうに団欒をします。豊かさを
測るモノサシはありませんが、日本とは違った豊かさがここにはあります。
ただし、幸せはさらに別の次元ですが・・・。

さて、クリスマスが終わってもアメリカのバケーションは続きます。特に、
クリスマスセールは活気があり、クリスマス1週間前頃からプレゼントの
買出しでモールなどは大混雑です。その後もセールは続いて、正月を過ぎ
ても街中にはクリスマスツリーやリースも見かけます。また、音楽もまだ
クリスマスソングが流れてきます。しかし、日本と違うのは、定番である
Wham!のLast Christmasがほとんど聞かれないことでしょうか。

大晦日はカウントダウンです。至る場所でカウントダウンパーティがある
ようです。夜8時頃でもテーマパークへ向かう車もありますし、ダウン・
タウンディズニーあたりでも多くの車が走っていました。

知り合いの方のコミュニティでカウントダウンパーティがあるというので、
これに加えてもらいました。この時期は、自宅やその周りを電飾しており、
とても綺麗です。ガレージ前にテーブルを出し、多くの料理が並べてあり
ます。子供達もこの日ばかりは親たちの監視の下で遅くまで遊んでいます。
石炭で暖をとって、プロジェクターでNYのカウントダウン中継を待ちます。
カウントダウンの前後には打ち上げ花火が各コミュニティで行われました。
とりわけ、素人が花火を打ち上げるのに驚くばかりです。

こちらも元旦は祝日ですが、聞いていたよりもショップは開いていました。
最近は日本の正月もかつてより営業する店が増えたように、アメリカでも
そうなのでしょうか。ただ、テレビで流れてくる新年の音楽が「蛍の光」
というのは、日本人としてはどうも違和感を覚えます。

日本のクリスマス・年末年始とは全く異なるので、アメリカの風習を存分
に楽しむことができました。しかし、異文化を理解するには時間がかかり
ます。数年、暮らしてみてようやく本質が分かってくるのかも知れません。
日本は、同じアジアでも旧正月を祝う韓国や中国・台湾とも異なります。
独特な文化だけにずっと大切にしたいものです。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.libertybowl.org/

UCFでは12月第2週頃から学期末試験やレポート期間となりました。試験
期間が終わりに近づくたびに、学生はキャンパスからどんどんいなくなり
ます。そして、クリスマスの1週間ほど前から研究所のスタッフも次々に
休みをとるようになり、12月23日(金)に大学全体が休暇になりました。

年の瀬は大学にいても感じることができます。まず、クリスマスが近づく
と、大学に特設のアイススケートリンクや観覧車などがオープンしました。
また、アメリカンフットボールは、大晦日に開催されたリバティ・ボウル
も勝利し、UCFにとって本当に素晴らしい1年の締めくくりになりました。

1月はスタートの月です。こちらでは新年早々、仕事や学校が始まります。
今年は、たまたま2日が日曜日だったので3日が始まりでしたが、普段は
2日から始まるそうです。確かに研究所では3日は駐車場が満車でしたし、
道路には地元の小中学校のスクールバスも走っていました。大学の授業は
まだ始まっていませんが、大学スタッフは新学期の準備として仕事モード
に入っています。

テレビもでは新しく選出されたフロリダ州知事が1日から仕事を開始した
というニュースが流れていました。公的機関では、新大統領も年明け早々
から仕事というスタイルは日本ではよく分かりませんでしたが、こちらに
来て、ようやく理解できました。

来週からUCFではいよいよ授業が始まります。これから夏までのセメスター
で学生たちはどれだけ進歩を遂げるのでしょうか。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

年末年始を海外で過ごすということは初めてです。やはり仕事が気になると
出かけるだけの余裕がありません。しかし、今回はアメリカのペースにあわ
せることができたので、初めてのロングバージョンになりました。加えて、
オーランドは温暖で観光都市だけに時間を持て余すことなく、有意義な休暇
となりました。

残り9ヶ月の滞在ですが、これまで以上にアメリカを存分に体験し、理解し
たいと思っています。コジマガやブログ・Twitterなどで素晴らしい内容が
発信できるようにする所存です。

2010年12月18日土曜日

第67号(2010.12.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第67号
□───────────────────――2010.12.18─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.067
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


あと2週間あまりで年末です。読者の皆さんは忙しい毎日をお過ごしかと思い
ますが、風邪などひかぬようご自愛ください。今週、フロリダに記録的な寒波
が襲来し、地元のニュースなどで大騒ぎでした。しかし、日本での12月程度の
寒さでしたので、やはり温暖な気候であることは確かでしょう。

さて、すでにMLでご案内の通り、恒例のゼミOB忘年会が開催されます。今回は
アメリカでの研修につき不参加ですが、会場にフロリダ土産を届けてあります
ので、抽選などで獲得して下さい。

また、夏の飲み会の席でツイッターの話を出したところフォローが進みました。
単なるつぶやきですが、これによってOBや学生、世間の動向を知ることができ、
有効な情報源になっています。忘年会でも引き続き、皆でフォローアップの輪
を広げて下さるようお願いします。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > フロリダ高速鉄道の段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/index.htm

Thanksgivingの休暇は、遊びに来ていた学生達とフロリダ半島の西側にある
タンパ方面まで出かけました。インターステイト4を使って、タンパまでは
片道およそ100マイル、2時間のドライブです。多くの車が時速70マイルほど
の高速走行をしています。片側4車線の道路に加えて、十分な車線幅がある
ので危ないと感じません。さらに、上下線の間にも拡幅用の敷地が確保され
ています。

さて、アメリカのオバマ政権は高速鉄道網を建設する計画を持っています。
確かにCO2などの環境問題を考えれば、高速鉄道へシフトするのは賢明な政策
です。また、新たな公共事業として、仕事を作り、雇用を確保するにも有効
でしょう。最初に着工予定の路線が、カリフォルニアなどと並んでフロリダ
(タンパ=オーランド)です。というのもインターステイト4の用地に線路
を敷く予定なので、用地確保がほとんど終わっているからだそうです。また、
オーランド=マイアミも早期着工区間に指定されています。

ご存じのようにアメリカには多くの日本車が走っています。近い将来、高速
道路の側道に線路が敷設され、日本の新幹線が走っているという光景を想像
するだけでワクワクします。最近、日本の存在感が影を潜めているだけに、
日本の誇る新幹線はアメリカへPRするのにひとつの有効策であると思います。
何としても実現してもらいたいと切望しますが、受注までににはいろいろな
課題があるようです。

まず、ドイツやフランスなどの欧州組は国家プロジェクトとして、アメリカ
に売り込みをかけてきます。元首クラスがトップセールを行うわけですが、
首都ワシントンでのロビイング活動が重要となります。その一方で、日本は
車両メーカが複数あり、ひとつにまとめづらいという不利な面があります。
(日経新聞の記事による)。また、価格面では中国が有利です。現在、米中
関係が良好でないので、中国の可能性は薄いと考えられます。ただ、日本に
とっての救いは、今回は新規路線なので、既存の路線に合わせる必要がない
ということです。線路・車両・運行をワンセットにして売り込むという戦略を
国家として考えなければなりません。

また、地元へのPRも重要です。テレビのニュースでは高速鉄道の動画として
ドイツ製の車両が使われており、鉄道を知らない地元住民はこれが高速鉄道
かと刷り込みされている状態です。それにはメディア各社に日本の新幹線の
紹介用ビデオを配付するなどして、広報に努めなければならないでしょう。

加えて、地元へのアプローチは雇用対策です。NASAは来年スペースシャトル
打ち上げを最後にこの計画を中止します。ケネディ宇宙センター関連施設に
勤務する工学博士たちは、次の仕事を心配している現状があります。すでに
単純労働者が解雇されたニュースも話題になりました。そこで、日本の戦略
として、フロリダに北米における高速鉄道の研究拠点を設置し、ある程度の
研究者を受け入れを表明すれば、国際競争でも勝負できそうです。現実には
難しい課題が山積でしょうが、かつて貿易摩擦問題に発展した自動車産業が
北米に工場を建設し、地元へ溶け込んでいった方策を振り返るべきでしょう。

併せて、日経新聞の記事で紹介されていたように、駅を中心とした街づくり
(駅ナカ)のノウハウも積極的に展開するべきでしょう。あれこれと考えて
いるうちに昨年度のゼミの卒論を思い出しました。

ところで、日本のアニメやフィギュアなどのサブカルチャーは世界の中でも
かなりの注目を集めています。これらに匹敵する鉄道マニアが形成してきた
鉄道文化は、世界の中でも十分通用するはずです。例えば、JR九州には松本
零士氏の描くような斬新的な車両が走っています。新幹線や次世代のリニア
を扱うJRだけでなく、地方の私鉄や地下鉄にも特徴的な車両や車窓風景があり
ます。これらを積極的にPRすれば、乗車を目当てとした外国人観光客を呼ぶ
こともできるようになるかも知れません。今でもアニメ好きの若者が日本に
来たがっている状況を考えれば、可能性は十分だと思います。さらに日本の
鉄道乗車旅とグルメ観光地を組み合わせれば、面白い企画商品が提供できる
はずです。

現在、築地の卸売り市場が外国人に人気があるのは、日本食が大変高く評価
されているという背景があります。アメリカでは、かつてフジテレビが放映
していた「料理の鉄人」が、こちらで「Iron Chef」としてリメークされて、
人気番組になっています。こちらで生活して、徐々にCool Japanが理解でき
るようになってきました。

環境に優しい鉄道が世界的に注目を集めています。日本が持つ優れた技術や
豊かな鉄道文化を世界に向けて発信するには、今が絶好の機会のように思え
てなりません。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://conferenceusa.cstv.com/ot/c-usa-members.html

UCFはカレッジスポーツでConference USAに所属しています。ここに加盟して
いる12大学で、16種目のスポーツを競い合います。アメリカンフットボールは、
多くの試合数ができないので2地区に分かれます。EAST DIVISIONにはUCFを
はじめEast Carolina、Southern Miss、Marshall、UAB、Memphisの6校があり、
もう一つのWEST DIVISIONは、SMU、Tulsa、Houston、UTEP、Rice、Tulaneの
6校によって構成されています。(地図は関連サイトから確認下さい)

UCFの2010のシーズンは、新人のQBが素晴らしい活躍を見せて絶好調でした。
カンファレンスの公式ゲームでは7勝1敗という成績で、見事地区優勝をしました。
WESTの優勝チームは、テキサス州ダラスのSouthern Methodist Universityで、
この両校によってカンファレンスのチャンピオンシップを争います。もちろん、
この試合はテレビ中継(ニュースのタイトルは"Take on Mustang")されました
ので、自宅で観戦です。前半を10対0でUCFがリードで折り返し、後半は両校が
ひとつずつTDを決めて17対7で試合終了です。まさにナイスゲームでした。
この勝利からUCFは大晦日に行われるLiberty Bowlの出場権を獲得しました。
地元のニュースでもこれを大きく取り上げていました。カレッジフットボール
ランキングでも全米で25位以内に入りました。

さて、12月の3週目で、UCFでは秋セメスターが終了しました。すでに帰省した
学生も多く、キャンパスには学生がほとんどいません。大学は年始までお休み
モードになっています。ちょっと休みの開始が早すぎるようには思いますが、
これがアメリカなのでしょう。日本では「師走」はとかく忙しいイメージしか
ありません。やはり日本人は働き過ぎなのでしょうか?


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

A Merry Christmas!

キリスト教主義のNGUにとってクリスマスは大きなイベントのひとつです。毎年
クリスマス礼拝を実施しています。今年は、瀬戸キャンパスのチャペルにて、
12月25日(土)の午後6時15分からスタートします。折角の機会ですので、瀬戸の
厳かなチャペルでクリスマスの話を聞くのはいかがでしょうか。どうぞ暖かい
クリスマスをお過ごし下さい。

賀状を交換している方々には欠礼になってしまいます。そこで新たな試みとして、
新年にPDFの賀状をコジマガから送信してみます。

2010年12月1日水曜日

第66号(2010.12.01)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第66号
□───────────────────――2010.12.01─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.066
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカ研修中でも大学ではさまざまな行事が行われています。文部科学省GP
シンポジウムとして「大学教育の質保証に向けた1・2年次教育のあり方」が下記
の通り開催されます(11月20日付の中日新聞の広告にも開催案内が出ています。)
日比野学舎にまだ行ったことのないOB・OGにはとても良い機会であると思います。
地下鉄日比野駅のすぐ真上で、交通至便なことに加えて、マイルポストもここに
入居しています。是非、お立ち寄りください。

○日 時: 2010年12月4日(土)13:30~16:00
○場 所: 名古屋学院大学日比野学舎301教室
○対 象: 大学関係者、高等学校教師、一般


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > 収穫祭と消費大国の段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:

米国のThanksgiving Day(収穫感謝祭)は11月第4木曜日で、国民の祝日です。
ほとんどの店がクローズするために、多くの人から単身生活を心配されました。
当日の昼食はバーガー・キングでしたが、さすがに店内は閑散としていました。
店長らしき男性とアルバイトが働いていましたが、彼らの態度から「どうして
自分たちが働かなきゃいけないの・・・」という感じが伝わってきました。

翌日の金曜日はBlack Fridayで早朝からの大バーゲンです。この日のセールの
様子がニュースで大きく取り上げられています。電化製品専門店ベストバイの
店頭にテントを張って過ごす人達のニュース映像が流れていました。早朝4時
からの開店というのは異常な感じですが、それでも人は並ぶようです。かなり
安く提供しているのでしょう。当日朝、近所にあるモールの横を通りましたが、
やはり車は満車でした。Thanksgiving Dayの閑散とした状況とは対照的です。

この週は木曜日から4連休になるところが多く、世間は完全に連休モードです。
研究所でも週初めから何人かが休みを取り始めたようで、閑散とした雰囲気に
なっていました。また、グローサリーへ出かけても七面鳥はじめパーティ関連
の食材などが多く並んでいます。日本で見られる年末のスーパーマーケットの
ようです。確かに1ヶ月前から同僚の数人に「Thanksgivingは家でパーティを
するから遊びに来ないか」という嬉しいお誘いを受けていました。家族や友人
が集まって七面鳥でお祝いをするに違いありません。

さてThanksgivingの週末からは一転してクリスマスモードになります。ラジオ
から流れてくる音楽はほとんどクリスマス関連の曲ばかりです。しかし、まだ
半袖服で過ごせる陽気なだけに、かなり季節に違和感を覚えます。

さらに消費者向けの大バーゲン・イベントは続きます。翌週の月曜日はCyber
Mondayといって、ネット上でのセールが行われます。これが終わるといよいよ
クリスマス商戦の開始です。日本のクリスマスは12月頃とスタートは曖昧です
が、この国では感謝祭できちんと切り替わり、とてもメリハリがあります。

日本でもGDPの約6割を個人消費が占めるだけに、消費大国アメリカでの年末は
経済にとって最も重要な季節となります。これだけのセールですから実物経済
を牽引する大きな力となります。

この季節に最も消費される食材は、何といっても七面鳥です。私もこの季節に
3度ほど食しました。大統領のターキーパードンがあるように、多くの七面鳥
が犠牲になります。このニュースを見て『ブラック・スワン』にある「七面鳥
の悲劇」という言葉を思い出しました。それまで食事を与えられ、幸せだった
七面鳥はクリスマスを迎えると自らが人間の食事と化してしまうという哀れな
内容です。すなわち、当然のごとく続くと思われていた平和な日常が、突如、
不幸のどん底へ落ちてしまう喩え話です。米国の金融経済での悲劇、リーマン
ショックを喩えた表現だったように記憶しています。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.youtube.com/watch?v=Z4uD4GDUu1k

先週、前号(コジマガ第65号)で紹介したUCFの観光学部(Rosen College of
Hospitality Management)を見学する機会に恵まれましたので、報告します。

Rosenスクールはコンベンションセンターの近くにあり、豪華なRosen Shigle
Creekホテルの北側に位置します。ホテルの敷地にあるゴルフ場がキャンパスに
隣接しているので、とても良いロケーションです。日本人の先生に出迎えられ、
まずはキャンパス内の学生寮から見学しました。寮の受付のお嬢さんに案内して
もらうことができ、その動画はYouTubeにアップされています。学生用の綺麗な
部屋はひとり一部屋、ハウスキーピングに電気光熱・インターネット代込みで
お値打ちな料金です。さらにプールまでも併設です。

次に、建物を案内してもらいました。2階の廊下はホテルと同じように絨毯が
敷いてあり、絵画がかかっています。本来ならば州の建築基準に不適合ですが、
州立大学への寄付ということもあって寄付者が認めさせてしまったそうです。
教室にはIT関連の設備が用意されていますが、それらは目立たないよう組み込
んであります。日本の教卓には無骨なOHCが置いてありますが、それとは違い
天井に高性能カメラが埋め込んであるのには驚きました。

さらに実習室へ行きました。ワインセラー、バーカウンター、2種類の調理場
(アメリカ式とヨーロッパ式)、宴会場などの施設があります。ここで実践的
教育が行われています。確かに調理もしますが、料理学校とは全く違った観点
で、料理が完成するまでの過程や原価計算などを学ぶ場です。また、宴会場の
設営では、顧客へ提供するサービスに対して、利潤を最大にするためのコスト
計算を行います。このように実際の現場をよく知り、現場で働く人達とうまく
コミュニケーションができる能力はマネージャとして必要です。

いずれの施設にも驚かされましたが、そこからどのような学生を育てたいかが
はっきりと判ります。すなわち、学部の目的はホスピタリティ経営という学問
を通じて、すぐに現場で使える人材の育成することです。卒業者の85%が大学
を出てからすぐにレストランやホテル・レジャー関連産業へ就職するそうです。
日本の多くの大学は就職内定率を90%程度と発表していますが、このデータは
就職希望者を分母とした数字なので、実質は卒業生の70%程度しか就職できて
いないはずです。

Rosenスクールでは「大学の顧客は企業であり、学生は商品である」という考え
を実践しています。関連企業が求める学生への要求項目を学部カリキュラムに
取り入れて、企業ニーズに対応した人材育成に努力をしています。そのために
教員自らも変化を受け入れなければなりません。今回の見学で「大学にとって
のお客さんは学生」という日本の大学の誤った考え方を正してもらいました。

なお、見学写真はブログに掲載しています。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

先月の初めと終わりには、オーランドまで遊びに来てくれた人達がいました。
いつもは静かなアパートメントですが、しばし賑やかな時間を過ごすことが
できました。

気づけばもう12月です。今年も残すところ1ヶ月ですが、読者の皆さんには
健康に留意しながら、忙しい時期を楽しんでいただきたいと思います。私は
フロリダに来て、3ヶ月が経過しました。不器用なだけに思うような成果を
出すまでには至りませんが、コツコツと続けることで何らかの成果を掴んで
帰国したいと思っています。

2010年11月18日木曜日

第65号(2010.11.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第65号
□───────────────────――2010.11.18─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.065
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカではサマータイムが終わり、昼間が急に短くなったように感じます。
今月、遠路はるばるオーランドまで遊びに来てくれたOBがいました。短い間
でしたが、ここがアメリカの田舎であることを実感してもらえたと思います。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > 教育とキャリアアップの段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://ja.wikipedia.org/wiki/フラット化する世界

こちらでお世話になっているセンターや研究所には、多くの女性スタッフが
働いています。そして、自分の仕事とともに、修士や博士を取得するために
常に勉強を続けている人がほとんどです。スタッフの詳しい個人の経歴まで
は知りませんが、自分のキャリアアップに関しては男女を問わず、常に意識
しているようです。教員でないスタッフも博士(Ph.D)を持っているケース
が多く、それが肩書きに表示されるからかも知れません。大学側も大学院に
通うことを当然のこととして受け入れているようで、日本ではあまり見られ
ない光景です。

日本の会社組織に属しながら大学院へ通うとなると、異端児扱いされること
も少なくありません。会社組織の中での活躍が最も期待されところであり、
組織内での昇進こそが価値になっているからでしょうか。また専門職大学院
ではない日本の多くの文科系大学院では、研究一本でやってきた教員が指導
をすることが多いので、実務との溝は簡単に埋められません。

その後の大学院修了が自分のステップアップに繋がりづらいので、社会人を
続けながら研究に挑戦しようという人も現れにくいと思います。働きながら
学ぶというのは、強い意志が必要です。心が折れそうになった時に、自らが
踏ん張れるだけのインセンティブがなければ、持続は困難です。これは世界
どこでも同じです。このように大学院を取り巻く環境は、アメリカと日本で
かなり違っています。

新聞によれば、10月時点での大学4年生の就職内定率が60%を割り込んで、
過去最低記録を更新したとのことです。同時に、日経新聞の電子版を読むと
多くの企業が黒字を計上している記事も散見されます。確かに最もコストが
かかる人を採用せずに生産量や販売量を維持することができれば、黒字経営
になるはずです。

円高や政府の方針転換という外部環境の劇的な変化の中で、日本企業は自ら
存続するためにできる限りの対応をしているのでしょう。従来通りの日本的
な慣行では、乗り切れなくなってきていると思います。

2年前に「派遣切り」が社会問題化しました。政権も変わりましたが、雇用
体系が以前の状態に戻ったとは思えません。グローバル化へ対応するための
移行期間の途中にあるように感じます。このような企業姿勢を一方的に庇う
わけではありませんが、グローバリゼーションから逃れることは不可能で、
環境変化に対応できる企業だけが生き残る時代です。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』で示された潮流は、日本
にも忍び寄っているように感じます。この本で示された個人が生き残るため
の対策としては、自分が情熱を持って取り組めるものに徹底することなどが
挙げられていました。打ち込むものは自分で見つけ出さなくてはなりません
が、確かに自分を強め高めるための最善の手段であると思います。

理想論かも知れませんが、大学は多様な学びの機会を提供するところである
と思います。しかし、ひとりよがりの内容ではなく常に社会が要請している
コンテンツを考え、個人が好奇心をもって情熱的に研究できる仕組みを構築
しなければならないと考えます。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.caravanline.com/

UCFには、メインキャンパスとは別の場所に観光学部があります。観光客が
たくさん集まるエリアに設置されています。UCFに観光学部があるひとつの
理由は、オーランドが観光で成り立っている街だからです。

まず、オーランドには巨大なコンベンションセンターがあり、全米第2位
(1位はシカゴ)の大きさだそうです。参加者を収容する近隣のホテルは
合わせて11万室あって、これも全米2位(1位はラスベガス)の収容力だ
そうです。ですから世界的規模の見本市やイベント・学会などでも十分に
対応できる環境が整っています。

さらにこの周辺にはディズニーワールドやユニバーサルなどの観光施設が
集中しています。ディズニーワールドはその規模も最大で、4つのテーマ
パーク(内訳は、マジックキングダム・アニマルキングダム・エプコット・
ハリウッドスタジオ)の他、シルクド・ソレイユや3つのゴルフ場(先週
末にPGAツアーが行われていました)などがあります。このディズニーの
敷地だけで山手線内の面積の1.5倍はあるそうなので、遊び尽くすには相当
の時間とお金が必要でしょう。知り合いが、ディズニーだけでも1週間では
足りないと言っていたのがよく分かります。

また、ユニバーサルオーランドにはハリーポッターの最新アトラクションが
完成、ブルーマン・グループのショーなども演じられているようです。他に
シーワールド、ブッシュガーデンなどもあります。ショッピングは、大きな
アウトレットモールは3つあるので、まさに至れり尽くせりといえます。

日本からのほとんどの観光客はメインストリートであるインターナショナル
ドライブ辺りで過ごすと思います。通りには、多くのホテルや飲食店が立ち
並んでいます。ただし都会でみられる高層ビル群でなく、横に広がっている
という感じです。

その他にも、車で1時間ほど走れば大西洋に出ます。この沿岸にはケネディ
宇宙センター、レースで有名なデイトナビーチ、ココビーチなどがあります。
ダイビングやサーフィン・フィッシングなどマリンスポーツができますし、
自然が豊かで多くの国立公園もあります。このように観光資源は豊富なので、
オーランドひとつだけで日本語のガイドブックができるのもよく分かります。

特色のある街ですが、持続的に発展させるには、さまざまな努力が必要です。
ひとつのキーワードとしてホスピタリティがあります。この街を訪れた人が
満足して帰らなければ、決してリピーターになってくれません。そのために
いかにお客さんをもてなすかが重要になります。UCFの観光学部はこのような
人材を育成することも目標にしているようです。日本にも観光学部を有する
大学がありますが、UCFほど実践的な環境にある大学は少ないように思います。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――

研修期間中にやりたいことのひとつにMacの購入がありました。さらにこの
数年間のデータ整理とともに、クラウドへの移行も必須です。自分自身の
Web2.0への対応は急務ですので、手始めとしてコジマガのバックナンバーを
整理してみました。

とりとめのない内容ですが、形としてまとめるには、それなりの時間と労力
を要します。とりあえず50号までをひとつのファイルにしましたが、よくぞ
ここまで書いたと自分でも思います。じっくりと再読はしませんが、いつか
自分の振り返りに役立ちます。あの時、こんな出来事があって、こんな風に
考えていた。そして、こんな表現したできなかった(稚拙な文章だった・・・)
などが一目瞭然です。まさにこれはひとつのeポートフォリオです。

現在、Twitterやfacebookが流行っています。後から自分の振り返りに使える
ような書き方をしておくことを皆さんにお薦めします。

2010年11月6日土曜日

第64号(2010.11.06)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第64号
□───────────────────――2010.11.06─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.064
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカも秋から冬へと向かっているのでしょうが、フロリダの日中はまだ
夏の様相を呈しています。アパートメントのプールでは、日光浴をしている
人が見られます。アメリカではハロウィーンが終わり、次はThanksgivingで
大バーゲンになるそうです。翌月はクリスマスというように年末は月末ごと
にいろいろなイベントがある国です。個人消費が著しく伸びる季節です。

来週末は大学祭ですね。11月14日(日)には同窓会主催のホームカミングデー
が開催されます。毎回参加させてもらってますが、さすがに今回は欠席です。
まだ名古屋キャンパスに来たことのないOB・OGは折角のチャンスですので、
是非、ご参加下さい。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■アメリカ短信 > アナハイムの段
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.educause.edu/E2010

昨年コロラド州デンバーで開催されたEDUCAUSEの年次大会(コジマガ第57号
参照)は、今年度はカリフォルニアのアナハイムで行われました。アメリカ
大陸の東海岸から西海岸への5時間あまりの移動です。こちらへ来て初めての
遠出は、サウスウエスト航空を利用しました。知り合いの先生から安いので
試してみたらという情報をもらい早速挑戦です。

デンバーで乗り換えが必要ですが、東から西への移動は時差もあり、あまり
問題ありません。確かに安いのですが、座席指定がないのに驚きです。搭乗
券を見ても自分の席らしい記録がなく、搭乗する順序が書いてあるだけです。
いわゆる乗り合いバスと同じで、早く乗った者が好きな場所に座るという
システムです。そして、帰りの便で気づいたことですが、預ける荷物の料金
がかかりません。国内線では規定内のサイズ荷物1つにつき約20ドル~25ドル
必要ですが、サウスウエストは無料です。なるほど皆が利用する訳です。

さて、LA国際空港からアナハイムまでは、車で1時間弱の移動が必要です。
『地球のあるき方』をチェックし、案内係のおばさんにまで尋ねて、正しい
バス乗り場で待っていました。暫くするとバスが来たので乗り込むとどうも
違う。誤乗車でかなり遠くまで来てしまいましたが、LA国際空港まで乗せて
返してくれました。

ここで再チャレンジです。搭乗すべきバスはディズニーエクスプレスという
ことを再確認してバスを待っていました。日本のイメージだと小さな子供の
いる家族連れや若い女の子達、カップルで一杯になると思っていました。が、
周りにはそんな人たちの姿はほとんど見られません。1時間経っても来ないと、
さすがに不安になります。ようやくバスが来ましたが、誰も乗っていません。
その後も途中から乗ってきた乗客もほんの数人で、アジア系老夫婦二組です。
私や運転手を含めて、平均年齢が50歳を超えたアジア人ばかりのディズニー
エクスプレスでした。やはり日本のイメージで考えるのはよくありません。

今年のEDUCAUSEは昨年よりも参加数が多い6700人だそうです。2回目の参加
なので、大会プログラムの進行も何となく理解でき、昨年お会いした方々と
お話しする機会が増えました。今大会には30名ほどの日本人が来ていました
が、印象に残ったのが以下の2名の方です。

一人はアメリカで大活躍をされており、活躍フィールドはアメリカ・日本に
とどまらずグローバル・アジェンダ・サミットまで広げています。最終日の
レセプションでお話する機会を得ましたので、いろいろと伺うと彼と私は同
学年でした。

もう一人は、どうも見覚えのある顔の方です。名刺交換の機会を得ましたが、
何とその場で名刺切れというアクシデントが発生。慌ただし状況だったので、
お話をする機会がありませんでした。しかし、どうも気になりネットで調べ、
日本の友人にメールを出して確認をすると彼は高校の同級生でした。まさか
アメリカでこんな偶然に遭遇するとは思いませんでした。

同学年の人たちに刺激を受けたのは久しぶりです。学生の頃は、同じ学年の
人しか見えていなかったように思います。日本的な横並び意識や競争心など
が視野を狭くしていたのかも知れません。いつの間にやら学年や年齢などを
まったく気にすることがなくなりました。でも今回のような極めて限られた
世界に頑張っている同世代がいて、とても嬉しく思いました。皆、頑張って
います。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■UCFから
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.ist.ucf.edu/

シミュレーションというとコンピュータを使った凄いものを想起しますが、
コンピュータの性能、特に、グラフィック技術が向上すると実用的で身近な
ものになってきます。例えば、フライトシミュレータはパイロットの養成に
必要なツールですし、子供達に大人気のゲームもひとつのシミュレーション
です。

こちらの先生にお聞きしたのですが、ディズニーのアニメーションなどには
最先端の映像技術が用いられます。ケネディ宇宙センターでは宇宙飛行士の
訓練として、最高のシミュレーション技術が使われます。これらの2大拠点
の中間にUCFが位置しており、これを回廊(コリドー)と表現していました。
確かにこの辺りには莫大な研究予算が投入されていると思います。

UCFにはシミュレーション研究所(Institute of Simulation Training, IST)
があり、ここを見学させてもらえる機会がありました。ISTは、私の所属する
研究棟(パートナーシップ2)の1階・3階にあります。また、隣接する場所
には10月末にオープンした新しい建物(パートナーシップ3)ができ、ISTと
アメリカ軍の施設が入っています。ですから軍服を着た人たちを研究所付近で
よく見かけます。

見学時はまだ建設中でしたが、ここも案内してもらいました。IST扱う分野は
軍事・看護の実践教育のほか多岐にわたります。コンピュータと接続された
高額なシミュレーション機器を導入して、研究から実用化に向けた取り組みを
しているそうです。実際に扱っている内容を見て思ったことは、とてもこんな
国と戦争をしてもとてもかなわないということです。また、いつも通っている
建物にこんなにいろいろな施設があることにも驚きました。

軍の施設があるだけに外側のフェンスはトラックが突っ込んで来ても大丈夫
なように頑丈に作られています。厳つい感じをなくすよう周りには植栽され、
雰囲気は良くなっていますが、アメリカを見たように思います。このように
産官学連携というと日本の場合、メーカーなどの企業が基礎的研究・実験を
大学と一緒に行います。一方、アメリカはそれ以外に政府による軍事予算が
加わるということを実感しました。


―――――――――――――――――――――――――――――――
■編□集□後□記□
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆関連サイト:http://www.kojima-seminar.net/

アメリカでは自由な時間があるので、コジマガが頻発すると思いきやUSブログ
(67日目、毎日継続中)に気を取られて、ずるずると発行日が延びています。
このような記録文書の作成により暇を持てあますことはありませんが、日本語
ばかりを使っているのも英語が上達しない原因でしょうか。

なお、USブログについては積極的には公開しておらず、知る人ぞ知るという
存在です。(RSSで読んでいただいている人もいるようですが・・・)もし
読みたい方は、.NETにURLを記しておきましたので、各自ログインして確認
下さい。