2025年8月9日土曜日

ゼミ創立30周年記念号 #12 30th Party

コジマガ(kojimag@)は児島ゼミナールOB/OG向けメールマガジンです。

ゼミ創立30周年パーティが開催されました。
10年ごとの節目として、今回は3回目のパーティになります。
パーティ当日の詳細や写真・動画などは、Facebookから確認いただくとして、
久しぶりに多くの卒業生と会った振り返りをします。

すでに社会に出て20年以上が経過した卒業生もおり、職種や業界も多種多様です。
公務員や金融、営業や製造業など、いろいろな仕事に就いています。
中堅社員なので、「今の新入社員は・・・」という話にもなりました。
現役学生にとっては、先輩たちから貴重な話が聞けたと思います。
また、住まいも東海地区以外に東京や北陸・九州と散らばっています。
遠方より集まっていただき、本当にありがたい限りです。

卒業生らと話をしていて、特に印象に残ったのは2つのグループです。
ひとつ目は、完全移住組です。
転勤で遠隔地に引っ越したり、海外勤務もありますが、
まったく不慣れな土地で新たに生活を始めるという移住には頭が下がります。
そして、これまでを断ち、自ら飛び込んでいく姿勢には心打たれます。

もうひとつは、フリーランスや自分で起業した人たちです。
自分のしたいことが仕事になっているので、傍目からは羨ましく見える
かもしれませんが、現実には辛い部分も多いはずです。
必ずしも安定した仕事でないので、経済的な不安はあると思います。
仕事に対し「自らをもって由となす」いわゆる、自由という意味を
改めて考えさせられます。

これら2つのグループに共通するのは、「好奇心と情熱」です。
自分の中にある強い好奇心がドライブになって、その人を動かします。
ほとばしる情熱が周りの人に伝わり、新しい価値を生み出します。
眼をキラキラさせて、仕事に取り組んでいる姿を見ると
「好奇心と情熱」の重要性を改めて教えられたように感じます。
最近、自分があまりできていないだけに、大変良い刺激になりました。

自分自身の反省としては、キャリア志向を目指す学部の取組みです。
急激な少子化が進み、ライバル校との競争や差別化が求められています。
ステークホルダーに評価される大学となるため中期アクションプランを
策定し、実施して4年目になります。毎年、PDCAをするのですが、
かつての(昭和的な)価値観で、戦略を組み立てていたのではないか?
という疑問が、卒業生と再会して湧いてきました。

ゼミで求めているのは学生の成長が第一で、先が読めない時代だけに
トーマス・フリードマンのいう「好奇心と情熱」を掲げています。
今の学生へ求めている就活は、(親の目線の)安定を主眼に置いた指導が
中心になっています。尖った学生になってもらいたいものの、なかなか
好奇心で情熱的に動くような学生が見られません。少しでも全体が動く
ような指導になってしまっているのかもしれません。

経済学部では従来のコース制を止め、「教育トラック」を導入しました。
自分が目指す職種への近道としてトラックを示し、ゴールに向けて走って
もらうように示したものです。(従来のコースは既存の専門科目をまとめた
感が強く、教える側からの視点で策定しているような気がします。)

教育トラックには4つのトラックがあり、グローバル人材、DX人材、
公共政策、ファイナンスとなっています。しかし、上述した2つの
グループは教育トラックの枠組みを超えています。すなわち、自分の
人生をしっかり考えて、自分で歩みを進めています。

このような人材も輩出するのが、大学の重要な役割かと思います。
学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」を尋ねられても
しっかり答えられる学生を育てていきたいものです。

2025年7月27日日曜日

ゼミ創立30周年記念号 #11 Dean

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学部長に就任して4年目となりました。
経済学部長の任期は2年・2期までなので、一教員で最長4年間となります。
2022年度からの2年間(1期)、2024年度からの2年間(2期)が継続中です。
なんとか最後まで走り抜け、完走したいと思っています。

最初の2年間は、まだコロナが残る時期でしたので、学部の歓送迎会もでき
ないままでした。ようやくコロナ前のような行事でできるようになりました
が、かつてと同じではありません。

学部長の仕事は、入学式から卒業式という式典の他、各種会議が盛り沢山です。
大学から要請されるこれらをつつがなくこなせば、任期中に新しいことは何も
しなくても構いません。しかし、急激な少子化が進む厳しい競争時代にあって
無為無策は、後進の教職員にとって顔向けができません。そこで、
以下のような取り組みを進めてきました。

・新カリキュラム設置でのスクラップ&ビルト
 企業連携を強化:寄附講座(名古屋証券取引所、マネックス証券)の設置
 教育課程方針を精査し、教職課程の返上(現代社会学部で同一免許あり)
 学位授与方針に沿った転学部のルール設定
・学部運営でのDX推進
 データに基づく意思決定や学生の成長度を把握:教学IR
 教授会のパーパレス化
 SharePointによる学部サイト構築(NGUCROSS)
・中期アクションプランの作成と推進:ステークホルダーから評価されるため
 学部の特色ある教育プログラムの推進
 KPIの達成に向けたPDCA

いろいろと進めたおかげで、少しばかり成果も見え始めました。
大学は1年で一回りです(自分はこれを一毛作と呼んでいます。)
企業と違い、最終的な成果が出るには時間がかかるので、継続が重要です。
組織に落とし込んで、自律的に回るような仕組み作りが求められます。

2025年7月22日火曜日

ゼミ創立30周年記念号 #10 現在のゼミ

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卒業生から3・4年ゼミの具体的な内容を聞かれることが多いので、パーティ前に
報告します。演習要項に詳しく記載していますので、ここで紹介します。

■3年ゼミ演習要項

 春学期では、大学生レベルの論文作法をチームで学習します。ほとんどの学生が、WordをはじめとするMS365の機能が使いこなせず非効率な作業で、ミスの多い論文・レポートになっています。そこで、ゼミのテーマに即した経済社会に関するレポートテーマを提示し、関連資料の収集に着手します。実践から大学での資料収集法や参考文献リストの作成法を指導します。そして、資料調査から文章にする前に、論理的文章の作文(アカデミックライティング)の基本を学習します。実際に作成した文章に対して、誤字脱字から表記のゆれといった些末なミスの除去をチーム内で相互指摘(ダメ出し)します。その後、適切な引用ができているか、過不足なく説明できているか、論理的な文章になっているかなどを確認(論理的思考力)しながら、論文作成に必要な知識とスキルを養成します。

 春の後半では、自分が興味関心のあるテーマを経済学の課題にできるような指導をします。適切なテーマ設定を通じて、経済学部生としての課題発見能力を身に付けます。卒業研究発表会で入賞した発表ビデオを視聴したり、先輩の卒業論文をチェックし、イメージを具体化します。夏休み期間には、設定したテーマに関連する資料収集から課題解決の方策を探り、秋の後半までに準備をします。

 秋学期は、就職準備にも大いに役立つアクティブラーニングを実施します。名古屋証券取引所が主催する「名証株式投資コンテスト」のチーム戦に参加し、地元企業や金融の実際を理解します。チームで協力しながら仮想的売買を行いながら、企業研究・業界研究に関するチーム発表を実施します。社会人として通用するレベルのPowerpointを作成し、効果的なプレゼン方法の修得に努めます。このように、企業で求められる組織運営を体験しながら、経済社会に関する知識を深め就活の準備とします。

 秋の後半では、経済学部で必須である研究報告書を完成させます。課題発見・解決能力を磨き、論理的思考力と批判的思考力を養います。経済学的な視点に基づく論理的なストーリーを構成し、適切な日本語で説明できるようにします。また、客観的説明のためデータを用いたExcelでの統計分析やグラフ表現の能力を伸ばします。同時期に4年生が卒業論文に取り組んでいるので、学年を超えたアクティブラーニングからプレゼン能力と日本語能力を飛躍的に向上させます。原稿や発表内容を相互チェック(ダメ出し)する作業から、社会人として重要なクリティカル・シンキングや協働を高めます。

 以上のような学修プロセスをやる気のある仲間と歩めば、必ず実力はつきます。就職活動時に「何を勉強したか」という質問に対して、自信をもって答えられるようなレベルになります。ただし、実力の伸び具合は各人の「意欲」と「努力」に依存していますので、大学で自分を高めたいと思う人が児島ゼミに向いているでしょう。

■4年ゼミ演習要項

 春学期は、卒業後の進路指導が中心ですが、併せて、論文作成で必要な基礎能力とTeamsなどMS365(Word, Excel, Powerpoint, OneDrive, Sharepoint, Formsなど)の機能を確認します。進路が決定した学生から研究テーマを見直し、深く掘り下げます。新たに調査した内容をPowerpointにまとめ、発表・ダメ出しを繰り返して、アウトラインの作成方法を指導します。必要となる参考文献や関連データを織り込みながら、研究内容の充実をはかります。

 秋から本格化する卒業論文の作成に向けた準備として、卒論作成用のチームを決定します。皆でテーマに関連する資料収集から課題解決の方策を探り、問題提起から結論・提言に至るまでのストーリーを完成させます(ロジカルシンキングの養成)。春学期中から夏休み期間で、オンライン・オフラインでの自主的なサブゼミをチームで開催し、互いにダメ出しやアドバイスで研究を深めます。夏休みにプレゼンとしてビデオ作成とアップロードを行い、チーム内でダメ出しを行います。

 秋学期では、論旨明快なアウトラインが発表できようにします。Powerpointでまとめると整理がつきやいことを体験します。そして、妥当な結論・提言に到達した学生から、Wordでの卒業論文作成に着手します。研究背景から結論までが文字で十分に伝わるような日本語表現力を身につけます。互いの原稿のダメ出しを繰り返す実践作業から、大学生の卒業論文として十分なレベルまで原稿をブラッシュアップします。このプロセスで、各人のクリティカルシンキングを養成します。併せて、後輩たちの研究をサポートすることで、自分の研究成果に気づきを得ます。

 発表会・報告会などのイベントは目標達成に有効なので、卒業研究発表会・優秀論文審査会に全員がエントリーします。この発表会を意識して、論文の骨子をしっかり固めて、Wordへスムーズに移行できるよう指導します。ストーリーができていないと論理的な文章は作成できませんし、何度も書き直しという事態になりかねません。また、年内に全員が卒業論文を完成できるよう、チーム内での協力体制を構築し、仲間意識の醸成をはかります。ゼミではネットツールが自在に扱える社会人の育成を目指します。オンラインや対面でゼミ生相互に助け合いながら、テレワークで生産性を上げられる人材、社会の要請に応えられるような人材となることを目標にします。大学最後のイベントである卒業研究発表会で学修成果を報告します。

 以上のような学修プロセスをやる気のある仲間と歩めば、質の高い卒業論文が完成でき「学士力の達成」という目標が達成できます。大学生として必要な知識・技術を身につけ、経済学的な考え方を養い、有用な社会人として活躍できるようなレベルまで引き上げます。結果として、ルーブリック20(卒論・ダメ出し技術)のチェック項目がすべて達成できることが望まれます。

■その他、共通事項

最近のゼミでは、学期の最後にFormsで振り返りを実施しています。
反省に基づいて、夏休みや春休みを過ごしてもらいたいと思っています。

4年生は卒業研究発表会の前に、3年生へ卒論を説明する機会を設けています。
3年生ゼミの時間に全4年生が集合し、3年生の説明1名を見つけ、説明し質問を
もらいます。これを2セット繰り返します。

4年生は卒論の本文を完成させた後、AIに「要旨」を作成させ、自分の内容と
整合性があるか(自分の論理立てに問題があるか?AIにミスがあるのか?)を
確認させます。AI時代を見越した指導も少しずつ取り入れています。



2025年7月17日木曜日

ゼミ創立30周年記念号 #09 Golf

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■無形の資産② ゴルフ

アメリカへ留学する前から、ゴルフを真面目に練習するようになりました。
というのも、知り合いがまったくいない米国で友人を作るには、ひとつでも
趣味があればコミュニケーションのきっかけになると思ったからです。実際、
ゴルフのお陰で知り合いが増え、週末を一人寂しく過ごすということもなく、
いろいろな場所へ外出する機会ができました。

日本に比べ格安のラウンドフィーや練習環境も充実しており、初めて100切り
を達成できました。帰国後、せっかくレベルアップしたので、週1のレッスン
と月1ラウンドで研鑽を重ねました。しかし、仕事も忙しかったので、さほど
ゴルフは上達しません。

とはいえ、学生時代の友人から誘われてコンペに参加するようになり、旧交を
温める機会が増えています。(研究は除く)大学の仕事につながるケースもあり、
ビジネスパーソンが仕事の一環としてゴルフをするという意味を実感しました。

これまで10名ほどのゼミ卒業生とゴルフをしました。ラウンドは一日中一緒に
いるので、いろいろな話もできとても貴重な機会です。卒業生は皆、ゴルファー
としてきちんとしており、うれしく思います。(他人に迷惑をかけない、プレー
ファーストができています。)最近の恒例行事では、卒業生と夏のゴルフ合宿を
御岳で実施しています。また、卒業生がメンバーの山岡カントリークラブでも
幾度かラウンドさせてもらいました。

健康で、友人や教え子たちと一緒にゴルフができるのは、幸せだと思います。
ラウンドは一見当たり前のようですが、人生100年時代では「無形の資産」を
持っているという証左です。そこで、ランニングに続き「無形の資産」として
ゴルフを簡単に紹介します。

ゴルフの良さについては、いろいろな本などでも語られています。特に、作家の
城山三郎さんの本を読むとよいかもしれません。これまで城山三郎さんの本は、
コジマガでも紹介してきました。小説の中でもゴルフ話が登場するのは、彼が
無類のゴルファーだからです。

まず、ゴルフはマネジメント力が試されるスポーツです。最近のゼミでは、常に
マネジメントをしっかりできるようゼミ生に求めています。何事も先を見通す、
戦略性が必要です。ゴルフはまぐれでナイスショットがでても、ラッキーは長く
続きません。全18ホールでスコアをまとめるには、今の状況を的確に判断して、
実行し修正していくかは、かなり頭を使います。

また、自分が試されるという点で鍛えられます。上手くいかない時でも、冷静に
プレーしなくてはなりません。審判はいないので、きちんとプレーをするという
精神も求められます。柳生宗矩の言葉「平常心をもって一切の事をなす人これを
名人というなり」は、今の自分が目指すべき境地です。

「無形の資産」としてのゴルフとマラソンには、共通点があります。プレーは、
ハーフ2時間15分で、4時間半で終わるというのは、市民ランナーのマラソンの
レース区分やタイムに似ています。また、どちらも成果を出すには時間がかかり、
最終結果にまぐれはありません。そして、周りへの感謝と自分との闘いです。

しっかり健康管理をしていれば、80歳を過ぎてもプレーできるだけに、あと20年
は続けられます。アンチエイジングも兼ねて、日々研鑽しています。マラソンや
ゴルフ、機会があればご一緒しましょう。

2025年7月13日日曜日

ゼミ創立30周年記念号 #08 Running

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■無形の資産① ランニング

最近は、ランニングをライフスタイルに取り入れています。年間1500㎞ほどを
走る、いわゆる普通の市民ランナーです。若い頃は、フルマラソンに挑戦する
などまったく想像していませんでした。

「なぜ走るのか?」という質問には、ひとつの答えを持っています。それは、
リンダグラットン教授が指摘した100年ライフをどう生きるかという問題に
対して、自分なりの解答を実践しているということです。今後の日本のような
超高齢社会では「有形の資産」に注目されがちで、年金問題、新NISA、老後
2000万円問題、リバースモーゲージなど、想定外の長生きへというリスクに
対する老後資金をマスコミが取り上げています。もちろん、これらが重要で
あることは承知しています。

生きるためにパンは必要ですが、人はパンのために生きるわけではありません。
人生を豊かにしてくれるのは、健康・家族・友人・社会との関わりが重要です。
少なくとも自分は孤独のまま楽しく生きられるほど、強くありません。そこで、
残りの人生に向けて、「無形の資産」づくりを実践中です。

走り始めたのは2016年の秋です。きっかけは、友人たちに誘われたからです。
最初は1㎞も走れない状況でしたが、諦めず続けました。そして、3ヵ月後には
かなりゆっくりですが、名古屋城の周り(約3㎞)を歩かずに走り切れました!
これはフルマラソンの完走よりもうれしい経験でした。

名城公園が主たるランニングコースですが、IGアリーナやナゴヤキャッスルの
建設現場、渡り鳥。春から夏には、梅の花から桜、藤から紫陽花と季節を感じ
ながら走ります。ストレスフルな日常にあって心が休まる瞬間です。とりわけ
コロナ禍では、自宅に籠ってオンラインの授業と動画教材の編集だったので、
ランニングという生活習慣は助かりました。

ある程度、走力がつくと仲間からレースに出ようと声が掛かります。大会から
貴重な経験を得ることができます。レースでは、天下の公道を走ることができ
ます。(コース沿いにお住いの方々には、規制でご迷惑をおかけします。)また、
大勢のランナーがコースを駆け抜ける光景を、その中から見ることできます。
大会関係者やボランティアの皆さんが給水・給食のエイドを用意してくれます。
沿道の応援には、いつも感謝です。

レース出場は、目標設定となり自分を高めてくれます。知的文化的活動ならば
発表会でしょう。大学なら学会発表やゼミ報告です。貴重な晴れの舞台に向け、
計画を立て日々努力する経験はとても大切です。いかなる結果でも現在の実力や
立ち位置が把握でき、今後の練習ポイントもはっきりします。恥ずかしながら、
先シーズン(60歳代男子のカテゴリ)の記録を開示します。
  • 10㎞        51分00秒
  • ハーフ(21㎞) 1時間48分35秒
  • フル(42㎞)  4時間15分20秒
最初のフルでは5時間16分で途中で撃沈しましたが、1時間以上速くなりました。

レース出場に関して、ドクターの友人に教えられたことは2つあります。ひとつは、
「健康でないと参加できない」です。走りたくてもケガや病気などではできない人
たちがいる中、健康で参加できる状況は今だけかもしれません。実際のレースで、
沿道にある養護ホームの前で、車いすの高齢者が介護者と共に応援してくれる場面
と遭遇します。応援に感謝するとともに、走れていることにも感謝です。

次に、「参加者全員が苦しい」です。レースはいろいろで10㎞はスピード走なので、
息が苦しくてたまりません。42㎞のフルマラソンでは、30㎞過ぎからは体力(特に、
脚力と体幹)の限界を感じます。足が攣り側道に倒れ込んでいるランナーもいます。
途中、歩いている人も少なくありません。一方、エリートランナーは軽快な走りで
いち早く駆け抜けていきます。とはいえ全員に共通するのは、同じコースのどこか
で苦しい走りをして、ようやくゴールできるということです。

このような経験からフルマラソンは、4年生にとって卒論作成プロセスと同じだと
思います。ゴールには制限時間(卒論では締切)があり、誰も代わりに走ってくれ
ません。かなり長い時間を要するのでペースが重要という点が同じです。なので、
成功の秘訣として、皆で頑張る、先を見通す計画力が重要、立ち止まらずひたすら
走り続けるということをゼミ生に伝えています。

2025年7月10日木曜日

ゼミ創立30周年記念号 #07 ラストワンマイル問題

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#05でも触れましたが、コロナ禍への大学の対応のひとつとして、MS365が
導入されました。Teamsが同期型のオンライン授業のツールになりました。
とはいえ、導入当初は、誰一人、使いこなせるレベルにありませでした。
PC自体に不慣れな教員は、CCSのアップされた課題の資料を読んだ上で、
レポートなどで解答するという授業方式でもOKとされていました。

20年以上、e-Learningに取り組み、過去から作成してきたWeb教材やCCSの
自学自習(択一式クイズ)の蓄積があります。、児島ゼミ1.0時代からの経験
とデジタル教材で、この局面は簡単に乗り切れるものと高を括っていました。
しかし、実際は、まったくできません。

教える側・教わる側ともに不慣れなので、同期型のオンライン授業は何度も
失敗を重ねました。画面共有や音声ONを忘れたままの授業進行、予期せぬ
PCフリーズ、・・・失敗事例は枚挙にいとまがありません。

そこで、授業運営そのものをリニューアルしようと決心しました。これまで、
懸案としていた反転授業に挑戦です。まず、Excel実習用の動画教材に着手し
ました。PCの操作画面とセリフを録画し、MS365のStreamにアップします。
予習範囲(ビデオのURLや自学自習、テキストの範囲など)を提示し、授業前
に視聴させて予習させます。飽きないよう1本のビデオの長さは5分以内を目安
としました。画面と同じように操作すれば、Excelシートは完成できます。

こうすれば、授業中にネットの調子が悪くなり授業が中断してしまっても、ある
程度はカバーできます。学生にとっては、ビデオがあるので、欠席しても自分で
キャッチアップできます。受講生は1.2倍速での視聴や、復習としてテスト前に
何度も見られます。

教員側としては、実際の授業では、予習課題の状況を見て、追加で説明が
必要な箇所に触れることができます。ビデオでは余分な話はまったくしないので、
説明はコンパクトにまとまります。何よりも授業で扱える内容・範囲が約1.5倍に
なりました。動画で作成手順を説明しているので、授業中に何度も操作を説明
する必要がなくなりました。すると授業時間に余裕ができます。

コロナでの外出自粛期間は、ひたすら自室に籠って動画教材を作成しました。
15回分の授業が出来上がり、反転授業(Flipped Class)が可能になりました。
何より驚いたのは、理解度が著しく向上した(当然の結果ですが)ことです。
その結果、コロナ禍以前よりも受講生の成績は格段に向上しました。

思い返せば、20年以上前の瀬戸キャンパスで説明動画に一度トライをして、
学習用VHSビデオの貸し出しをしたことがあります。当時は、PCのスペックが
弱く、レンダリングに3時間ほどかかり、実用化には程遠いと諦めました。
現在、PCの処理速度はまったくストレスを感じません。

授業の原型ができ、見通しが立ったので、改善しながら教材を充実させました。
特に、受講生のために、各種の教材に連携を持たせることを意識しました。
同一のデータで講義資料を作成し、自主的な学習での不便をなくします。
テキストのPDFからも解説動画へリンクできるようにしたり、

また、最近は解説動画にナレーションソフト(VOICEPEAK)を使い、質を向上
させています。自分の声の解説動画は視聴に耐えませんが、VOICEPEAKならば、
授業中に何度も再生できます。ICTのおかげで毎年、授業やゼミで同じ説明する
という作業が著しく減少しました。(手抜きに見えるかもしれません)

さらに、授業マネジメントにも工夫をします。予習のクイズに関する小テスト
(予習状況の確認)や授業理解度調査、応用問題を一緒に解きながら、最後に
関連の設問を回答させるという授業参加を行います。データはすべてサーバーに
蓄積されますので、平常点へ変換できます。このように、受講前に動画などの
教材で予習をし、予習を前提とした反転授業を続けています。

しかし、反転授業には、予習をしてこない学生の扱いが最も大きな課題です。
そこで、予習の状況を確認します。ひとつは、予習動画を視聴すれば簡単に
解答できる設問に答えてもらう方法です。もう一つは、授業時間での小テスト
です。予習範囲の自学自習にある同じ設問を小テストでCCSから出題します。
ここでも問題がありは、予習期限までに完了せず、小テストの直前にやって
いるという学生が3割ほどいるということです。サーバにデータは残っている
ので、減点評価ということも明らかなのですが・・・。

コロナ禍への対応として自宅のWiFi環境が整い、eラーニングでの最大の課題で
あった「ラストワンマイル問題」が一気解決したことは革新的でした。20年近く
eラーニングに挑戦し続け、悪性苦闘していたのが、未曽有の世界的困難によって
あっという間に課題は解決し、新しい授業形態が実現しました。

2025年7月7日月曜日

ゼミ創立30周年記念号 #06 Classes

コジマガ(kojimag@)は児島ゼミナールOB/OG向けメールマガジンです。

令和7年7月7日、ラッキー7の七夕です。この日に合わせて、投稿します。
ゼミ創立を記念したパーティは10年ぶりです。久しぶりにお会いしましょう。
長年お会いしていないといろいろな質問が来ますので、コジマガに記載して
おきます。ご笑覧ください。

今回は、2025年現在、児島が担当している授業を以下に示します。

「経済データ分析」(2年生以上) 春・秋
Excelを使って、記述統計から回帰分析までを説明しています。
30年前の授業では「経済分析のための情報処理」がこれに相当します。
(この内容は、タイトルや内容を代えつつもずっと続いている科目になります。)
できるだけ落ちこぼれを作らないよう、中間テストで理解度を確認しています。
15回分の教材をきちんと整え、CCSには毎回、自学自習を用意しています。
コロナ後は、かつての教材を改編し、動画教材とPDFテキストを用意しました。
事前に予習課題を提示し、課題を提出後、授業に臨む反転授業へと進化させました。
最近は、ナレーションソフトで解説ビデオも作成し、口頭での説明部分もかなり
効率化しています。(履修生は120名ほどです。)

「アカデミック・スキルズ」(3年生以上)
現在、レポート・論文作成に関わる授業は、1年次の教養・専門科目で5科目ほど
(内、3科目はPC実習)があるにも関わらず、3年次の秋学期には忘れています。
そこで、研究報告書(3年)や卒業論文(4年)の作成に必要なスキルを補うため、
2017年度からこの科目をスタートさせました。PCインストラクターのもとで、
論文に必要なOfficeソフトでの基本機能を実習で学習します。具体的には、Word
での目次(見出し設定)、図表番号や高度な検索はじめ多岐に渡ります。
また、周辺知識の補完のために、『伝わるデザイン』をテキスト指定しています。
後半は、児島が担当し、PCによる日本語のダメ出しを実践します。対象は、
自分の「研究報告書」(3年)や「卒業論文」(4年)を元に、他人からダメ出しを
してもらいます。(履修生は30名以内です。)

「企業連携講座2」(2年生以上)
10年ほど前から名証株式投資コンテストを学部生へ案内しています。
このコンテストを利用し、地元の上場企業名を覚えてもらいたいからです。
また、2・3年ゼミでは秋学期に積極的に扱っていますが、金融リテラシーを
実践的に扱う授業がありませんでした。そこで、名古屋証券取引所さまに
寄附講座をお願いし、この講座がスタートしました。15回のうち約10回分の
講義をご担当いただいています名証にとって、大学との初となる寄附講座が
本学部のこの講義です。新NISAも始まり、実践的な投資教育を担っています。
地元の企業に親しみながら、就活の企業研究に繋げます。
(履修生は100名ほどです。)

「経済キャリア講座」(3年生、指定科目)
今年度からスタートした新科目です。文部科学省からの要請である学習成果の
可視化を実現するために用意した科目です。ここで、2年次までの学習を学部の
DPスコアやPROGテストで明らかにします。卒業までに身に付けておくべき
能力要素をどのように養成するかを確認します。
また、就活の早期化で、必要なガイダンスやSPIなどの支援をします。
キャリアセンターなどの多方面からの支援を受けながら実施しています。
(履修生は3年生全員260名で、2クラス開講していいます。)

その他(2科目)
その他、小教室での指導をインストラクターの先生方に依頼している
「デジタルプレゼンテーション」「データ表現技法」のPC実習科目があります。
かつての授業では「コンピュータ・コミュニケーション」に近い科目です。
コロナ後、完全な反転授業として運営しているので、講義の内容もかつてより
多く扱えるようになりました。例えば、Powerpointでは、スライドマスターの
基礎から動画作成までを学習しています。「データ表現技法」はグラフ作成に
中心をおき、実践的なPIVOTテーブルなどにも触れるように進化しています。

ゼミ(3学年)
授業以外に、ゼミは以下の3学年を担当しています。
いずれも学部での定員数と同じだけのゼミ生数です。
2年「専門基礎演習」:14名
3年「専門演習」:16名
4年「卒業研究」:18名