2010年12月18日土曜日

第67号(2010.12.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第67号
□───────────────────――2010.12.18─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.067
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


あと2週間あまりで年末です。読者の皆さんは忙しい毎日をお過ごしかと思い
ますが、風邪などひかぬようご自愛ください。今週、フロリダに記録的な寒波
が襲来し、地元のニュースなどで大騒ぎでした。しかし、日本での12月程度の
寒さでしたので、やはり温暖な気候であることは確かでしょう。

さて、すでにMLでご案内の通り、恒例のゼミOB忘年会が開催されます。今回は
アメリカでの研修につき不参加ですが、会場にフロリダ土産を届けてあります
ので、抽選などで獲得して下さい。

また、夏の飲み会の席でツイッターの話を出したところフォローが進みました。
単なるつぶやきですが、これによってOBや学生、世間の動向を知ることができ、
有効な情報源になっています。忘年会でも引き続き、皆でフォローアップの輪
を広げて下さるようお願いします。


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■アメリカ短信 > フロリダ高速鉄道の段
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☆関連サイト:http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/index.htm

Thanksgivingの休暇は、遊びに来ていた学生達とフロリダ半島の西側にある
タンパ方面まで出かけました。インターステイト4を使って、タンパまでは
片道およそ100マイル、2時間のドライブです。多くの車が時速70マイルほど
の高速走行をしています。片側4車線の道路に加えて、十分な車線幅がある
ので危ないと感じません。さらに、上下線の間にも拡幅用の敷地が確保され
ています。

さて、アメリカのオバマ政権は高速鉄道網を建設する計画を持っています。
確かにCO2などの環境問題を考えれば、高速鉄道へシフトするのは賢明な政策
です。また、新たな公共事業として、仕事を作り、雇用を確保するにも有効
でしょう。最初に着工予定の路線が、カリフォルニアなどと並んでフロリダ
(タンパ=オーランド)です。というのもインターステイト4の用地に線路
を敷く予定なので、用地確保がほとんど終わっているからだそうです。また、
オーランド=マイアミも早期着工区間に指定されています。

ご存じのようにアメリカには多くの日本車が走っています。近い将来、高速
道路の側道に線路が敷設され、日本の新幹線が走っているという光景を想像
するだけでワクワクします。最近、日本の存在感が影を潜めているだけに、
日本の誇る新幹線はアメリカへPRするのにひとつの有効策であると思います。
何としても実現してもらいたいと切望しますが、受注までににはいろいろな
課題があるようです。

まず、ドイツやフランスなどの欧州組は国家プロジェクトとして、アメリカ
に売り込みをかけてきます。元首クラスがトップセールを行うわけですが、
首都ワシントンでのロビイング活動が重要となります。その一方で、日本は
車両メーカが複数あり、ひとつにまとめづらいという不利な面があります。
(日経新聞の記事による)。また、価格面では中国が有利です。現在、米中
関係が良好でないので、中国の可能性は薄いと考えられます。ただ、日本に
とっての救いは、今回は新規路線なので、既存の路線に合わせる必要がない
ということです。線路・車両・運行をワンセットにして売り込むという戦略を
国家として考えなければなりません。

また、地元へのPRも重要です。テレビのニュースでは高速鉄道の動画として
ドイツ製の車両が使われており、鉄道を知らない地元住民はこれが高速鉄道
かと刷り込みされている状態です。それにはメディア各社に日本の新幹線の
紹介用ビデオを配付するなどして、広報に努めなければならないでしょう。

加えて、地元へのアプローチは雇用対策です。NASAは来年スペースシャトル
打ち上げを最後にこの計画を中止します。ケネディ宇宙センター関連施設に
勤務する工学博士たちは、次の仕事を心配している現状があります。すでに
単純労働者が解雇されたニュースも話題になりました。そこで、日本の戦略
として、フロリダに北米における高速鉄道の研究拠点を設置し、ある程度の
研究者を受け入れを表明すれば、国際競争でも勝負できそうです。現実には
難しい課題が山積でしょうが、かつて貿易摩擦問題に発展した自動車産業が
北米に工場を建設し、地元へ溶け込んでいった方策を振り返るべきでしょう。

併せて、日経新聞の記事で紹介されていたように、駅を中心とした街づくり
(駅ナカ)のノウハウも積極的に展開するべきでしょう。あれこれと考えて
いるうちに昨年度のゼミの卒論を思い出しました。

ところで、日本のアニメやフィギュアなどのサブカルチャーは世界の中でも
かなりの注目を集めています。これらに匹敵する鉄道マニアが形成してきた
鉄道文化は、世界の中でも十分通用するはずです。例えば、JR九州には松本
零士氏の描くような斬新的な車両が走っています。新幹線や次世代のリニア
を扱うJRだけでなく、地方の私鉄や地下鉄にも特徴的な車両や車窓風景があり
ます。これらを積極的にPRすれば、乗車を目当てとした外国人観光客を呼ぶ
こともできるようになるかも知れません。今でもアニメ好きの若者が日本に
来たがっている状況を考えれば、可能性は十分だと思います。さらに日本の
鉄道乗車旅とグルメ観光地を組み合わせれば、面白い企画商品が提供できる
はずです。

現在、築地の卸売り市場が外国人に人気があるのは、日本食が大変高く評価
されているという背景があります。アメリカでは、かつてフジテレビが放映
していた「料理の鉄人」が、こちらで「Iron Chef」としてリメークされて、
人気番組になっています。こちらで生活して、徐々にCool Japanが理解でき
るようになってきました。

環境に優しい鉄道が世界的に注目を集めています。日本が持つ優れた技術や
豊かな鉄道文化を世界に向けて発信するには、今が絶好の機会のように思え
てなりません。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://conferenceusa.cstv.com/ot/c-usa-members.html

UCFはカレッジスポーツでConference USAに所属しています。ここに加盟して
いる12大学で、16種目のスポーツを競い合います。アメリカンフットボールは、
多くの試合数ができないので2地区に分かれます。EAST DIVISIONにはUCFを
はじめEast Carolina、Southern Miss、Marshall、UAB、Memphisの6校があり、
もう一つのWEST DIVISIONは、SMU、Tulsa、Houston、UTEP、Rice、Tulaneの
6校によって構成されています。(地図は関連サイトから確認下さい)

UCFの2010のシーズンは、新人のQBが素晴らしい活躍を見せて絶好調でした。
カンファレンスの公式ゲームでは7勝1敗という成績で、見事地区優勝をしました。
WESTの優勝チームは、テキサス州ダラスのSouthern Methodist Universityで、
この両校によってカンファレンスのチャンピオンシップを争います。もちろん、
この試合はテレビ中継(ニュースのタイトルは"Take on Mustang")されました
ので、自宅で観戦です。前半を10対0でUCFがリードで折り返し、後半は両校が
ひとつずつTDを決めて17対7で試合終了です。まさにナイスゲームでした。
この勝利からUCFは大晦日に行われるLiberty Bowlの出場権を獲得しました。
地元のニュースでもこれを大きく取り上げていました。カレッジフットボール
ランキングでも全米で25位以内に入りました。

さて、12月の3週目で、UCFでは秋セメスターが終了しました。すでに帰省した
学生も多く、キャンパスには学生がほとんどいません。大学は年始までお休み
モードになっています。ちょっと休みの開始が早すぎるようには思いますが、
これがアメリカなのでしょう。日本では「師走」はとかく忙しいイメージしか
ありません。やはり日本人は働き過ぎなのでしょうか?


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■編□集□後□記□
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A Merry Christmas!

キリスト教主義のNGUにとってクリスマスは大きなイベントのひとつです。毎年
クリスマス礼拝を実施しています。今年は、瀬戸キャンパスのチャペルにて、
12月25日(土)の午後6時15分からスタートします。折角の機会ですので、瀬戸の
厳かなチャペルでクリスマスの話を聞くのはいかがでしょうか。どうぞ暖かい
クリスマスをお過ごし下さい。

賀状を交換している方々には欠礼になってしまいます。そこで新たな試みとして、
新年にPDFの賀状をコジマガから送信してみます。

2010年12月1日水曜日

第66号(2010.12.01)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第66号
□───────────────────――2010.12.01─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.066
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカ研修中でも大学ではさまざまな行事が行われています。文部科学省GP
シンポジウムとして「大学教育の質保証に向けた1・2年次教育のあり方」が下記
の通り開催されます(11月20日付の中日新聞の広告にも開催案内が出ています。)
日比野学舎にまだ行ったことのないOB・OGにはとても良い機会であると思います。
地下鉄日比野駅のすぐ真上で、交通至便なことに加えて、マイルポストもここに
入居しています。是非、お立ち寄りください。

○日 時: 2010年12月4日(土)13:30~16:00
○場 所: 名古屋学院大学日比野学舎301教室
○対 象: 大学関係者、高等学校教師、一般


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■アメリカ短信 > 収穫祭と消費大国の段
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☆関連サイト:

米国のThanksgiving Day(収穫感謝祭)は11月第4木曜日で、国民の祝日です。
ほとんどの店がクローズするために、多くの人から単身生活を心配されました。
当日の昼食はバーガー・キングでしたが、さすがに店内は閑散としていました。
店長らしき男性とアルバイトが働いていましたが、彼らの態度から「どうして
自分たちが働かなきゃいけないの・・・」という感じが伝わってきました。

翌日の金曜日はBlack Fridayで早朝からの大バーゲンです。この日のセールの
様子がニュースで大きく取り上げられています。電化製品専門店ベストバイの
店頭にテントを張って過ごす人達のニュース映像が流れていました。早朝4時
からの開店というのは異常な感じですが、それでも人は並ぶようです。かなり
安く提供しているのでしょう。当日朝、近所にあるモールの横を通りましたが、
やはり車は満車でした。Thanksgiving Dayの閑散とした状況とは対照的です。

この週は木曜日から4連休になるところが多く、世間は完全に連休モードです。
研究所でも週初めから何人かが休みを取り始めたようで、閑散とした雰囲気に
なっていました。また、グローサリーへ出かけても七面鳥はじめパーティ関連
の食材などが多く並んでいます。日本で見られる年末のスーパーマーケットの
ようです。確かに1ヶ月前から同僚の数人に「Thanksgivingは家でパーティを
するから遊びに来ないか」という嬉しいお誘いを受けていました。家族や友人
が集まって七面鳥でお祝いをするに違いありません。

さてThanksgivingの週末からは一転してクリスマスモードになります。ラジオ
から流れてくる音楽はほとんどクリスマス関連の曲ばかりです。しかし、まだ
半袖服で過ごせる陽気なだけに、かなり季節に違和感を覚えます。

さらに消費者向けの大バーゲン・イベントは続きます。翌週の月曜日はCyber
Mondayといって、ネット上でのセールが行われます。これが終わるといよいよ
クリスマス商戦の開始です。日本のクリスマスは12月頃とスタートは曖昧です
が、この国では感謝祭できちんと切り替わり、とてもメリハリがあります。

日本でもGDPの約6割を個人消費が占めるだけに、消費大国アメリカでの年末は
経済にとって最も重要な季節となります。これだけのセールですから実物経済
を牽引する大きな力となります。

この季節に最も消費される食材は、何といっても七面鳥です。私もこの季節に
3度ほど食しました。大統領のターキーパードンがあるように、多くの七面鳥
が犠牲になります。このニュースを見て『ブラック・スワン』にある「七面鳥
の悲劇」という言葉を思い出しました。それまで食事を与えられ、幸せだった
七面鳥はクリスマスを迎えると自らが人間の食事と化してしまうという哀れな
内容です。すなわち、当然のごとく続くと思われていた平和な日常が、突如、
不幸のどん底へ落ちてしまう喩え話です。米国の金融経済での悲劇、リーマン
ショックを喩えた表現だったように記憶しています。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.youtube.com/watch?v=Z4uD4GDUu1k

先週、前号(コジマガ第65号)で紹介したUCFの観光学部(Rosen College of
Hospitality Management)を見学する機会に恵まれましたので、報告します。

Rosenスクールはコンベンションセンターの近くにあり、豪華なRosen Shigle
Creekホテルの北側に位置します。ホテルの敷地にあるゴルフ場がキャンパスに
隣接しているので、とても良いロケーションです。日本人の先生に出迎えられ、
まずはキャンパス内の学生寮から見学しました。寮の受付のお嬢さんに案内して
もらうことができ、その動画はYouTubeにアップされています。学生用の綺麗な
部屋はひとり一部屋、ハウスキーピングに電気光熱・インターネット代込みで
お値打ちな料金です。さらにプールまでも併設です。

次に、建物を案内してもらいました。2階の廊下はホテルと同じように絨毯が
敷いてあり、絵画がかかっています。本来ならば州の建築基準に不適合ですが、
州立大学への寄付ということもあって寄付者が認めさせてしまったそうです。
教室にはIT関連の設備が用意されていますが、それらは目立たないよう組み込
んであります。日本の教卓には無骨なOHCが置いてありますが、それとは違い
天井に高性能カメラが埋め込んであるのには驚きました。

さらに実習室へ行きました。ワインセラー、バーカウンター、2種類の調理場
(アメリカ式とヨーロッパ式)、宴会場などの施設があります。ここで実践的
教育が行われています。確かに調理もしますが、料理学校とは全く違った観点
で、料理が完成するまでの過程や原価計算などを学ぶ場です。また、宴会場の
設営では、顧客へ提供するサービスに対して、利潤を最大にするためのコスト
計算を行います。このように実際の現場をよく知り、現場で働く人達とうまく
コミュニケーションができる能力はマネージャとして必要です。

いずれの施設にも驚かされましたが、そこからどのような学生を育てたいかが
はっきりと判ります。すなわち、学部の目的はホスピタリティ経営という学問
を通じて、すぐに現場で使える人材の育成することです。卒業者の85%が大学
を出てからすぐにレストランやホテル・レジャー関連産業へ就職するそうです。
日本の多くの大学は就職内定率を90%程度と発表していますが、このデータは
就職希望者を分母とした数字なので、実質は卒業生の70%程度しか就職できて
いないはずです。

Rosenスクールでは「大学の顧客は企業であり、学生は商品である」という考え
を実践しています。関連企業が求める学生への要求項目を学部カリキュラムに
取り入れて、企業ニーズに対応した人材育成に努力をしています。そのために
教員自らも変化を受け入れなければなりません。今回の見学で「大学にとって
のお客さんは学生」という日本の大学の誤った考え方を正してもらいました。

なお、見学写真はブログに掲載しています。


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■編□集□後□記□
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先月の初めと終わりには、オーランドまで遊びに来てくれた人達がいました。
いつもは静かなアパートメントですが、しばし賑やかな時間を過ごすことが
できました。

気づけばもう12月です。今年も残すところ1ヶ月ですが、読者の皆さんには
健康に留意しながら、忙しい時期を楽しんでいただきたいと思います。私は
フロリダに来て、3ヶ月が経過しました。不器用なだけに思うような成果を
出すまでには至りませんが、コツコツと続けることで何らかの成果を掴んで
帰国したいと思っています。

2010年11月18日木曜日

第65号(2010.11.18)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第65号
□───────────────────――2010.11.18─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.065
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカではサマータイムが終わり、昼間が急に短くなったように感じます。
今月、遠路はるばるオーランドまで遊びに来てくれたOBがいました。短い間
でしたが、ここがアメリカの田舎であることを実感してもらえたと思います。


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■アメリカ短信 > 教育とキャリアアップの段
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☆関連サイト:http://ja.wikipedia.org/wiki/フラット化する世界

こちらでお世話になっているセンターや研究所には、多くの女性スタッフが
働いています。そして、自分の仕事とともに、修士や博士を取得するために
常に勉強を続けている人がほとんどです。スタッフの詳しい個人の経歴まで
は知りませんが、自分のキャリアアップに関しては男女を問わず、常に意識
しているようです。教員でないスタッフも博士(Ph.D)を持っているケース
が多く、それが肩書きに表示されるからかも知れません。大学側も大学院に
通うことを当然のこととして受け入れているようで、日本ではあまり見られ
ない光景です。

日本の会社組織に属しながら大学院へ通うとなると、異端児扱いされること
も少なくありません。会社組織の中での活躍が最も期待されところであり、
組織内での昇進こそが価値になっているからでしょうか。また専門職大学院
ではない日本の多くの文科系大学院では、研究一本でやってきた教員が指導
をすることが多いので、実務との溝は簡単に埋められません。

その後の大学院修了が自分のステップアップに繋がりづらいので、社会人を
続けながら研究に挑戦しようという人も現れにくいと思います。働きながら
学ぶというのは、強い意志が必要です。心が折れそうになった時に、自らが
踏ん張れるだけのインセンティブがなければ、持続は困難です。これは世界
どこでも同じです。このように大学院を取り巻く環境は、アメリカと日本で
かなり違っています。

新聞によれば、10月時点での大学4年生の就職内定率が60%を割り込んで、
過去最低記録を更新したとのことです。同時に、日経新聞の電子版を読むと
多くの企業が黒字を計上している記事も散見されます。確かに最もコストが
かかる人を採用せずに生産量や販売量を維持することができれば、黒字経営
になるはずです。

円高や政府の方針転換という外部環境の劇的な変化の中で、日本企業は自ら
存続するためにできる限りの対応をしているのでしょう。従来通りの日本的
な慣行では、乗り切れなくなってきていると思います。

2年前に「派遣切り」が社会問題化しました。政権も変わりましたが、雇用
体系が以前の状態に戻ったとは思えません。グローバル化へ対応するための
移行期間の途中にあるように感じます。このような企業姿勢を一方的に庇う
わけではありませんが、グローバリゼーションから逃れることは不可能で、
環境変化に対応できる企業だけが生き残る時代です。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』で示された潮流は、日本
にも忍び寄っているように感じます。この本で示された個人が生き残るため
の対策としては、自分が情熱を持って取り組めるものに徹底することなどが
挙げられていました。打ち込むものは自分で見つけ出さなくてはなりません
が、確かに自分を強め高めるための最善の手段であると思います。

理想論かも知れませんが、大学は多様な学びの機会を提供するところである
と思います。しかし、ひとりよがりの内容ではなく常に社会が要請している
コンテンツを考え、個人が好奇心をもって情熱的に研究できる仕組みを構築
しなければならないと考えます。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.caravanline.com/

UCFには、メインキャンパスとは別の場所に観光学部があります。観光客が
たくさん集まるエリアに設置されています。UCFに観光学部があるひとつの
理由は、オーランドが観光で成り立っている街だからです。

まず、オーランドには巨大なコンベンションセンターがあり、全米第2位
(1位はシカゴ)の大きさだそうです。参加者を収容する近隣のホテルは
合わせて11万室あって、これも全米2位(1位はラスベガス)の収容力だ
そうです。ですから世界的規模の見本市やイベント・学会などでも十分に
対応できる環境が整っています。

さらにこの周辺にはディズニーワールドやユニバーサルなどの観光施設が
集中しています。ディズニーワールドはその規模も最大で、4つのテーマ
パーク(内訳は、マジックキングダム・アニマルキングダム・エプコット・
ハリウッドスタジオ)の他、シルクド・ソレイユや3つのゴルフ場(先週
末にPGAツアーが行われていました)などがあります。このディズニーの
敷地だけで山手線内の面積の1.5倍はあるそうなので、遊び尽くすには相当
の時間とお金が必要でしょう。知り合いが、ディズニーだけでも1週間では
足りないと言っていたのがよく分かります。

また、ユニバーサルオーランドにはハリーポッターの最新アトラクションが
完成、ブルーマン・グループのショーなども演じられているようです。他に
シーワールド、ブッシュガーデンなどもあります。ショッピングは、大きな
アウトレットモールは3つあるので、まさに至れり尽くせりといえます。

日本からのほとんどの観光客はメインストリートであるインターナショナル
ドライブ辺りで過ごすと思います。通りには、多くのホテルや飲食店が立ち
並んでいます。ただし都会でみられる高層ビル群でなく、横に広がっている
という感じです。

その他にも、車で1時間ほど走れば大西洋に出ます。この沿岸にはケネディ
宇宙センター、レースで有名なデイトナビーチ、ココビーチなどがあります。
ダイビングやサーフィン・フィッシングなどマリンスポーツができますし、
自然が豊かで多くの国立公園もあります。このように観光資源は豊富なので、
オーランドひとつだけで日本語のガイドブックができるのもよく分かります。

特色のある街ですが、持続的に発展させるには、さまざまな努力が必要です。
ひとつのキーワードとしてホスピタリティがあります。この街を訪れた人が
満足して帰らなければ、決してリピーターになってくれません。そのために
いかにお客さんをもてなすかが重要になります。UCFの観光学部はこのような
人材を育成することも目標にしているようです。日本にも観光学部を有する
大学がありますが、UCFほど実践的な環境にある大学は少ないように思います。


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■編□集□後□記□
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研修期間中にやりたいことのひとつにMacの購入がありました。さらにこの
数年間のデータ整理とともに、クラウドへの移行も必須です。自分自身の
Web2.0への対応は急務ですので、手始めとしてコジマガのバックナンバーを
整理してみました。

とりとめのない内容ですが、形としてまとめるには、それなりの時間と労力
を要します。とりあえず50号までをひとつのファイルにしましたが、よくぞ
ここまで書いたと自分でも思います。じっくりと再読はしませんが、いつか
自分の振り返りに役立ちます。あの時、こんな出来事があって、こんな風に
考えていた。そして、こんな表現したできなかった(稚拙な文章だった・・・)
などが一目瞭然です。まさにこれはひとつのeポートフォリオです。

現在、Twitterやfacebookが流行っています。後から自分の振り返りに使える
ような書き方をしておくことを皆さんにお薦めします。

2010年11月6日土曜日

第64号(2010.11.06)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第64号
□───────────────────――2010.11.06─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.064
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


アメリカも秋から冬へと向かっているのでしょうが、フロリダの日中はまだ
夏の様相を呈しています。アパートメントのプールでは、日光浴をしている
人が見られます。アメリカではハロウィーンが終わり、次はThanksgivingで
大バーゲンになるそうです。翌月はクリスマスというように年末は月末ごと
にいろいろなイベントがある国です。個人消費が著しく伸びる季節です。

来週末は大学祭ですね。11月14日(日)には同窓会主催のホームカミングデー
が開催されます。毎回参加させてもらってますが、さすがに今回は欠席です。
まだ名古屋キャンパスに来たことのないOB・OGは折角のチャンスですので、
是非、ご参加下さい。


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■アメリカ短信 > アナハイムの段
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☆関連サイト:http://www.educause.edu/E2010

昨年コロラド州デンバーで開催されたEDUCAUSEの年次大会(コジマガ第57号
参照)は、今年度はカリフォルニアのアナハイムで行われました。アメリカ
大陸の東海岸から西海岸への5時間あまりの移動です。こちらへ来て初めての
遠出は、サウスウエスト航空を利用しました。知り合いの先生から安いので
試してみたらという情報をもらい早速挑戦です。

デンバーで乗り換えが必要ですが、東から西への移動は時差もあり、あまり
問題ありません。確かに安いのですが、座席指定がないのに驚きです。搭乗
券を見ても自分の席らしい記録がなく、搭乗する順序が書いてあるだけです。
いわゆる乗り合いバスと同じで、早く乗った者が好きな場所に座るという
システムです。そして、帰りの便で気づいたことですが、預ける荷物の料金
がかかりません。国内線では規定内のサイズ荷物1つにつき約20ドル~25ドル
必要ですが、サウスウエストは無料です。なるほど皆が利用する訳です。

さて、LA国際空港からアナハイムまでは、車で1時間弱の移動が必要です。
『地球のあるき方』をチェックし、案内係のおばさんにまで尋ねて、正しい
バス乗り場で待っていました。暫くするとバスが来たので乗り込むとどうも
違う。誤乗車でかなり遠くまで来てしまいましたが、LA国際空港まで乗せて
返してくれました。

ここで再チャレンジです。搭乗すべきバスはディズニーエクスプレスという
ことを再確認してバスを待っていました。日本のイメージだと小さな子供の
いる家族連れや若い女の子達、カップルで一杯になると思っていました。が、
周りにはそんな人たちの姿はほとんど見られません。1時間経っても来ないと、
さすがに不安になります。ようやくバスが来ましたが、誰も乗っていません。
その後も途中から乗ってきた乗客もほんの数人で、アジア系老夫婦二組です。
私や運転手を含めて、平均年齢が50歳を超えたアジア人ばかりのディズニー
エクスプレスでした。やはり日本のイメージで考えるのはよくありません。

今年のEDUCAUSEは昨年よりも参加数が多い6700人だそうです。2回目の参加
なので、大会プログラムの進行も何となく理解でき、昨年お会いした方々と
お話しする機会が増えました。今大会には30名ほどの日本人が来ていました
が、印象に残ったのが以下の2名の方です。

一人はアメリカで大活躍をされており、活躍フィールドはアメリカ・日本に
とどまらずグローバル・アジェンダ・サミットまで広げています。最終日の
レセプションでお話する機会を得ましたので、いろいろと伺うと彼と私は同
学年でした。

もう一人は、どうも見覚えのある顔の方です。名刺交換の機会を得ましたが、
何とその場で名刺切れというアクシデントが発生。慌ただし状況だったので、
お話をする機会がありませんでした。しかし、どうも気になりネットで調べ、
日本の友人にメールを出して確認をすると彼は高校の同級生でした。まさか
アメリカでこんな偶然に遭遇するとは思いませんでした。

同学年の人たちに刺激を受けたのは久しぶりです。学生の頃は、同じ学年の
人しか見えていなかったように思います。日本的な横並び意識や競争心など
が視野を狭くしていたのかも知れません。いつの間にやら学年や年齢などを
まったく気にすることがなくなりました。でも今回のような極めて限られた
世界に頑張っている同世代がいて、とても嬉しく思いました。皆、頑張って
います。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.ist.ucf.edu/

シミュレーションというとコンピュータを使った凄いものを想起しますが、
コンピュータの性能、特に、グラフィック技術が向上すると実用的で身近な
ものになってきます。例えば、フライトシミュレータはパイロットの養成に
必要なツールですし、子供達に大人気のゲームもひとつのシミュレーション
です。

こちらの先生にお聞きしたのですが、ディズニーのアニメーションなどには
最先端の映像技術が用いられます。ケネディ宇宙センターでは宇宙飛行士の
訓練として、最高のシミュレーション技術が使われます。これらの2大拠点
の中間にUCFが位置しており、これを回廊(コリドー)と表現していました。
確かにこの辺りには莫大な研究予算が投入されていると思います。

UCFにはシミュレーション研究所(Institute of Simulation Training, IST)
があり、ここを見学させてもらえる機会がありました。ISTは、私の所属する
研究棟(パートナーシップ2)の1階・3階にあります。また、隣接する場所
には10月末にオープンした新しい建物(パートナーシップ3)ができ、ISTと
アメリカ軍の施設が入っています。ですから軍服を着た人たちを研究所付近で
よく見かけます。

見学時はまだ建設中でしたが、ここも案内してもらいました。IST扱う分野は
軍事・看護の実践教育のほか多岐にわたります。コンピュータと接続された
高額なシミュレーション機器を導入して、研究から実用化に向けた取り組みを
しているそうです。実際に扱っている内容を見て思ったことは、とてもこんな
国と戦争をしてもとてもかなわないということです。また、いつも通っている
建物にこんなにいろいろな施設があることにも驚きました。

軍の施設があるだけに外側のフェンスはトラックが突っ込んで来ても大丈夫
なように頑丈に作られています。厳つい感じをなくすよう周りには植栽され、
雰囲気は良くなっていますが、アメリカを見たように思います。このように
産官学連携というと日本の場合、メーカーなどの企業が基礎的研究・実験を
大学と一緒に行います。一方、アメリカはそれ以外に政府による軍事予算が
加わるということを実感しました。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://www.kojima-seminar.net/

アメリカでは自由な時間があるので、コジマガが頻発すると思いきやUSブログ
(67日目、毎日継続中)に気を取られて、ずるずると発行日が延びています。
このような記録文書の作成により暇を持てあますことはありませんが、日本語
ばかりを使っているのも英語が上達しない原因でしょうか。

なお、USブログについては積極的には公開しておらず、知る人ぞ知るという
存在です。(RSSで読んでいただいている人もいるようですが・・・)もし
読みたい方は、.NETにURLを記しておきましたので、各自ログインして確認
下さい。

2010年10月17日日曜日

第63号(2010.10.17)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第63号
□───────────────────――2010.10.17─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.063
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


海外にいてもTwitterでのやり取りでいろいろな情報を知ることができます。
便利なツールですが、使い方で気になることがいくつかあります。

まず、大学生をはじめとする若い世代は「なう」という言葉から現状報告を
しているようです。どうも、おじさん世代になると「なう」より「中」の方
がしっくりきます。また、竹中平蔵氏のツイートを見るとミニブログを上手
に使っているという気がします。というもの、ブログは後々になって、自分
の振り返りに使えるツールであるから、ある程度、きちんと書いておかない
と自分でも何のことを書いたか分からなく恐れがあります。

さらに、若者は本名で登録しないために一体誰なのかが分からず、フォロー
のしようがないことが度々です。一般に、日本では個人情報を広く公開する
のをためらいますが、ネットを自分の作文練習の場と考え、もう少し自分を
出していってもよいのかも知れません。ただし、ツイートの内容によっては、
何かと問題を引き起こしかねませんし、Googleで引っかかっるので、匿名で
いたいということも十分に理解できます。


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■アメリカ短信 > カレッジフットボールの段
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☆関連サイト:http://ucfathletics.cstv.com/sports/m-footbl/ucf-m-footbl-body.html

先代部長のご退職により、10年程前からNGUのアメリカンフットボール部の
部長を引き受けています。以来、アメフトとの関わりは徐々に増えてきて、
最初はルールさえ知らない状況でしたが、最近はゲームの面白さが大変よく
分かります。試合に勝つためには個々の身体能力が大事な要素ですが、最も
重要なのは組織的かつ機能的でなければならない点です。すなわち1+1=
をどうように2以上にするかは、個々の戦力の総和でなく、組織として全体
を機能させられるかどうかにかかっています。さらに対戦相手の入念な研究
とそれに適応した柔軟な戦略も必要となります。

日本では、アメフトはメジャーな競技ではありませんが本場は全く違います。
こちらへ来たのが、丁度、フットボールシーズンが開始する時期でしたので、
テレビなどで観戦する機会に恵まれました。かねてより本場のフットボール
をライブで観戦したいと思っていましたが、早々に実現しました。(やはり
皆に希望を話すことが重要です)

10月6日はUCFアメフトチームKnightsのホームゲームでした。通常は大学の
ゲームは土曜日ですが、水曜日開催は今回が初めてだそうで、その準備ため
に大学の授業は午後からすべて休講、研究所も12時30分までに退去せよとの
ことです。確かに数万人が集まるイベントですから、いたしかたのないこと
かも知れませんが・・・。3年前に完成した大学のスタジアムは45,000人が
収容できます。ナゴヤドームより大きなスタジアムを大学が持っているのに
圧倒されます。

ゲームは夜8時のスタートですが、同僚が私をスタジアムまでピックアップ
してくれる指定時刻は午後4時です。かなり早い時間ですが、これは大学の
駐車場が満杯になるという理由の他に、会場周辺のtailgateを体験すべきと
いうことです。メインキャンパスの駐車場からスタジアムまで徒歩で20分程
かかります。途中にあるMemory Mallという芝生の広場では、多くの学生らが
テントを広げて、バーベキューをしています。

スタジアムの周りにはテレビ中継車が何台も出ており、中継ヘリコプターが
旋回しています。宣伝用のセスナも飛んできたり、ホットドッグ早食い競争
が行われていたりと、さながら学園祭のようです。平日にも関わらず、多く
の一般の人たちが車の後ろでキャンプのごとく遊んでいます。ここで存分に
遊んだ後、スタジアムには試合開始40分前に入りました。

ゲームはUCFのディフェンスがよく機能し、一方的な展開です。タッチダウン
で皆が大騒ぎ。自陣からのキックでは皆がジャンプし、敵チームの3rdダウン
では足踏みをするなど、その度ごとに巨大なスタジアムが揺れます。会場の
盛り上がり方は、ナゴヤドームの外野席以上だと思います。

試合はテレビ中継と連動しているので、得点後やタイムなどのプレー中断が
日本のそれよりも長いのが特徴です。その時間を使って、会場では活躍する
UCFチームやスポンサーの紹介を行います。スタンドの通路をおかしな格好を
している学生達が走り回ったり。フィールド脇ではマーチングバンドやチア
リーダーズが彩りを添えます。また、ハーフタイムショーも見物です。

結局、ゲームはUCFの大勝。皆が笑顔で帰途につきます。ただし、終了時刻は
深夜11時を過ぎていました。こんな時間でも問題ないとするのは、日本では
考えられませんが・・・警備は、警備員と大学の警察(!)に加え、地元の
警察ばかりかハイウェイパトロールまで動員していました。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://teach.ucf.edu/professional-development/idl6543/

今学期はUCFでeラーニングの研修を見学させてもらっています。金曜日には
IDL6543という名の教員研修が8週間にわたって行われます。このプログラム
はブレンデッド・ラーニングの研修会でおよそ30名が受講します。人数制限
をしているのは、インストラクショナル・デザイナー(授業設計のプロ)が
受講生にマンツーマンとなるからだそうです。

朝9時半から午後3時までのセッションです。主に午前はセミナー、午後から
パソコン実習になります。

第1回のメニューはオリエンテーションです。まず、CIOが研修の必要性を
UCFの強みから説明して、個人のスキルアップが組織の名声に繋がることを
説きます。eラーニングの専門家によるその効果の説明もあって、研究者で
ある受講生のモチベーションは高まります。午後からは、実際にパソコンを
使っての実習です。概要の説明があって、コースウェアとしてBlackboardが
利用されていることが分かりました。受講生には宿題まであります。学生が
オンラインで受講しようと思う時にチェックする、必要な情報をまとめると
いうものです。

2回目は、すでに研修を終えて実践をしている先生が自分の利用法を具体的
に紹介するというものでした。3人の先生がそれぞれ30分ほど話をし、質疑
応答を入れて50分ほどです。それぞれの専門や年齢・性別もバランスよく、
アレンジがしっかりとしていることを想像させます。午後からはパソコンで
各自がMERLOTにある教材集をチェックし、使えそうな素材にリンクと説明を
つけておくという作業です。MERLOTは、使えそうな教材の宝庫です。また、
ソーシャルブックマークとしてdiigoを利用してします。

第3回目の研修は、午前中がグループディスカッションです。事前に学生へ
インタビューをするという宿題があったようです。それを各自が紹介して、
グループで意見をまとめる作業で、担当インストラクショナルデザイナーは、
議論のファシリテーターをしています。午後は各グループごとで3つの部屋
(パーラー)を巡り、そこで用意される説明を聞くという内容です。Web2.0
ツールの使い方の説明として、1)Screencast、2)Blog、Wiki、Twitter、3)
ゲーム的なクイズ、という説明がありました。ここで初めて聞く言葉も多く、
かなり勉強になりました。とりわけウィジットの作成ソフトには驚くばかり
です。ICTを得意としない教員にも見せて、大きな可能性を期待させるという
取り組みがすごいと思います。

第2回目にはサウジアラビアの大学から2名がこのセミナーを見学したりと、
本当にワールドワイドな大学です。このような研修を日本で行うことはまず
不可能かと思います。組織の強みをいっそう高める戦略的な活動には、ただ
驚くばかりです。


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■編□集□後□記□
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40日あまりが経過し、日本では体験できないいろいろなことに遭遇しました。
アパートメントを借りての一人暮らしに、慣れない海外生活が始まりました。
免許を取り車を買い、こちらの生活スタイルに馴染みつつあります。こんな
体験を忘れないように研修ブログをつけています。また、時にはTwitterで
呟いてみたりと、コジマガ以外でも発信しています。

2010年9月22日水曜日

第62号(2010.09.22)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第62号
□───────────────────――2010.09.22─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.062
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


こちらへ来て、毎日がとても新鮮です。また、これまで追いかけていたはず
の仕事に追われていたことに気づきました。今は時間をもてあますことなく、
思う存分、自分のために使えて、とてもラッキーです。

今までできなかったことの一つとして、iPhoneやTwitterやBlog、facebookの
利用があります。Twitterで私をフォローしていただければ、もう少し迅速に
情報が伝わるかも知れません。これらのツールは慣れてしまえばOKでしょうが、
習慣づけるのに多少の時間が必要です。コジマガとともにどのように併用する
かを考えながら、情報発信・自分の記録として活用したいと思います。


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■アメリカ短信 > 電話はどうすればよいか?の段
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☆関連サイト:http://www.skype.com/intl/ja/home/

アメリカの通信業界の事情(携帯電話も含む)も勉強の一つです。こちらで
生活を始めて、まず携帯電話を購入しました。日本ではdocomoユーザなので、
iPhoneに対する憧れがありました。アメリカではAT&Tが扱っていましたので、
ここで購入です。こちらのiPhoneはSIMフリーですから、日本に帰っても使え
ることが決め手です。携帯電話の契約は日本のそれよりもかなり簡単に済み
驚きです。

Appleの製品は多言語対応なので、とても助かります。日本語での画面操作は
ストレスがありません。ほとんど電話はかかってきませんが、出先での連絡
手段(GPSを含む)になるので、心強いツールです。iPhone4の購入した当初
はいじくる余裕がなかったのですが、最近少しずつですが試しています。

次に、日本ではほとんど使うことのないSkypeです。これがかなりの威力を
発揮します。まず、ビデオ通話ができるので、日本から送ってもらいたい品
を目で確認できますし、自宅へ届いている郵便物などの書類も確認できます。
何といっても無料というのが秀逸です。

加えて、今回、特にすごいと思ったのが国際電話です。携帯電話があるので、
自宅のアパートメントには電話を設置していません。しかし、。どうしても
日本のカスタマーサービスに国際電話をかけなくてはならない状況が発生し
ました。はて、どうしたものか?携帯電話からではかかりません。

おそらく、国際電話もかけられるのでしょうけど、よく分かっていないのが
問題です。そこで、思い出したのがスカイプアウトです。数年前に韓国引率
の時間を利用して、スカイプをあれこれ試していました。その折、スカイプ
に少しばかりデポジットをしておきましたが、これを使えばよいということ
に気づきました。

スカイプでの国際電話は1秒3円です。日本へ電話が繋がってもオペレータが
なかなか出てくれません。さらにいろいろな事前手続きで結構な時間が経過
したので焦りましたが、その割には大変安く済みました。何といっても自分
のアパートメントから連絡できたので、相手先から必要とされる書類を探す
のにも苦労がありません。

やはり昔のように電話は固定電話・公衆電話だけではありません。


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■UCFから
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☆関連サイト:

UCFは1963年に開学した州立大学です。NGUは1964年の創立ですから、大学の
歴史はほぼ同じと考えてよいかも知れません。(余談ですが、私も1964年生
まれです)学生数は全米で第3位となる53,000人超で、広大なキャンパスには
至る所で新設工事が見られ伸び盛りの大学であることが分かります。12ある
学部(College)はこれからも増設されるようです。

メインキャンパスは、Student Union(学生カフェや学内活動の場)を中心に
放射線状に広がっています。最も近い周遊路がペガサスサークルで、これに
沿って多くの学部が配置されています。昼休みになると、多くの学生がこの
あたりを歩いています。サークルの近くにある図書館には驚きます。日本の
図書館のイメージとは全く違い、入口の横にはコーヒーショップがあって、
パソコンで溢れています。NGUの学情センター4階がそのまま図書館と融合
した感じでしょうか。多くの学生がパソコンを開き、講義の準備に忙しそう
です。

巨大なキャンパスなので、学内にはシャトルバスが走っています。駐車場(
立体駐車場もあり!)が何ヶ所も用意されていますが、立場で場所の利用が
制限されていますし、教職員・学生に関わらず全員すべて有料です。私が
所属する研究所はリサーチ・パークという場所に立地し、メインキャンパス
の南側に隣接しています。ですからメインキャンパスに用事があるときには、
シャトルバスで移動します。メインキャンパスの駐車場不足を補う意味で、
パークアンドライドにもなっているようです。

また、学内にいくつもの寮やアパートが点在し、多くの学生がキャンパス内
で生活をしています。UCFの北側にはスポーツ施設が集まっている地区があり、
イベントの際には相当の人たちが繰り出すそうです。特に、4年前に完成した
というアメフト専用の巨大なスタジアムを中心として、ベースボール・
サッカー・ソフトボール。バスケットアリーナなどがあります。

キャンパスを歩いていると、学生や教職員に帰属意識や自信と誇りを高める
仕掛けが至る所に見られます。大学の紋章にはペガサスを使っており、UCFの
ロゴも決まっています。ブックストアでは大学グッズを豊富に扱っています。
マグカップ・トレーナー・Tシャツ・ネクタイなどをはじめ、どれもセンスが
よいものばかりです。学生は10人に一人ぐらいの割合でTシャツを着ています。
車に貼るステッカーも町中でよく見かけます。

アメフトやベースボールなど運動系チーム名はすべて「Knights(騎士団)」
です。キャラクターは騎士であり、これをプリントしたアイテムもかなりの
数が揃っています。やはり目を引くのが、アメリカンフットボール関連です。
カレッジフットボールの人気はものすごく、試合がテレビ中継されています。
大学アメフトは9月からシーズンが始まって、現在、かなり盛り上がっている
状況です。公式試合の観戦チケットは35ドルですが、大学の巨大スタジアム
が満員になります。

さらに、ケーブルテレビでUCFTVというチャンネルまで持っており、大学での
いろいろな取り組みが紹介されています。このように運動クラブの活躍や広報、
ブランディングが大学の帰属意識を高めていることは確かです。


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■編□集□後□記□
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☆関連サイト:http://stephan.mods.jp/kabegami/kako/Ritter.html

偶然とはいえ、不思議な縁を感じることがあります。コジマガ第20号で紹介
しましたが、私の好きな絵画にクリムトの『人生は戦いなり』があります。
私の研究室を訪れた方ならばお気づきでしょうが、仕事場にこの絵を飾って
います。さらに原題の"Das Leben ein Kamp"は、スクリーンセーバーに設定
しています。

この絵の別名は見たとおり「黄金の騎士」ですが、今回お世話になっている
UCFのマスコットが騎士(Knight)です。それも金色だけに、黄金の騎士達
の戦いには、見ているこちらも力が入ってしまいます。

もし人生の転機があったとすれば、この絵と出会った頃です。それだけに
今もこうしてどこか繋がっていることに何やら縁を感じます。

2010年9月11日土曜日

第61号(2010.09.11)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第61号
□───────────────────――2010.09.11─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.061
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


さて、今回から暫くアメリカでの研究生活から見た事情をお伝えします。
筆者はこの9月より大学から1年間サバティカル(Sabbatical:研究休暇)
をもらって、University of Central Floridaで研修に入りました。

そこで、いつもの「NGU短信」は読者の皆さんにお任せし(.NETに投稿
してもらえると助かります)て、コジマガ form USAとして「アメリカ短信」
をお送りいたします。また「最近のゼミ・講義から」は研修先の大学UCFに
ついて報告します。そこでタイトルも「UCFから」という名前に変更します。
その他、本の紹介などは続けてゆくつもりです。写真も逐次、.NETにアップ
する予定ですので、お楽しみに。

Web2.0ツールを試す時間があるだけに、ブログやTwitter、Facebookなどと
もコラボしたいと思います。


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■アメリカ短信 > アメリカ生活開始の段
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☆関連サイト:

何もかも初めての時には、かなりのパワーが必要です。大学入学や新しい
職場で見知らぬ土地に住んだことのある経験をお持ちの人ならば分かって
もらえると思います。加えて、英語が堪能でない状況となると、留学経験
がある人には共感してもらえるはずです。社会制度や生活習慣も違う中で
これに順応してゆくには、ある程度の時間も必要でしょう。

すでにアメリカ(フロリダ州オーランド)に来て2週間が過ぎましたが、
相変わらず英語のコミュニケーションに難ありです。日常英語が聞けない、
話せない、読めないというヘレンケラー状態です。論文ならば内容も推測
でき、専門用語や決まったパターンが多いので、思ったほど大変ではあり
ません。しかし、日常会話は違います。

理解できないときには「Pardon?」で聞き返し、英語がよく分からないと
言えば、ほぼ100%ゆっくりとわかりやすい表現で教えてくれます。かつて
昔フロリダはスペイン領であったこと、さらに海を隔ててキューバがあり、
ヒスパニック系が多い地域です。(WikiPediaによれば、州の人口比20%を
超えています。)

スペイン語しか話さない移民も多いようで、地元のケーブルテレビ局では
ニュースをスペイン語でも放送しています(これが多チャンネルの強み)。
という事情もあって、英語が分からなくても分かろうとする姿勢を示せば
何とかなるものです。もちろん分からないままに適当に流してしまって、
後から困ったことになるのも度々ですが・・・

現地での生活は徐々にセットアップできつつありますので、これに併せて
日常会話も上達するようにします。結局、慣れしかないと思っています。
幸い24時間英語漬けなので、これ以上の環境はないでしょう。


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■UCFから
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☆関連サイト:http://www.ucf.edu/

読者の皆さんの中には、一体アメリカへ何をしに行っているのか?という
疑問をお持ちの方がおられるかも知れません。そこで、まず何を研究しに
フロリダまで来ているのかを簡単にご紹介しましょう。

ご存じの通り、私の所属は経済学部で、計量経済学や情報処理などの科目
を専門に教えています。最近の興味関心は、Web2.0に代表されるICT技術の
進展が経済社会に極めて大きな影響を与えていることです。すでに多くの
経済取引がネット上で行われており、その趨勢はますます大きくなること
でしょう。

インターネットを最も使いこなしているアメリカの事情を知りたいという
関心があります。技術的には日本も劣るところはありませんが、ユーザ側
を見ると、その潜在能力が十分に生かしきれていないように感じます。
10年先を行っているアメリカと言われますが、どのような状況であるかを
直接、感じ取らなければならないと思っていました。

もう一つの関心はeラーニングです。すでにコジマガで紹介しているように
これまで獲得した2つのGPはこれに関連するものですし、大学同士を繋ぐ
TIESは日本の高等教育の中では、かなり先進的ツールです。

すでにICTを使った授業の試みは多様で、その活用例を挙げると枚挙に暇
がありません。特に期待されていた手法がネットでの遠隔授業です。しかし、
これを成功させるには、いくつもの条件が揃わないと有効ではありません。
残念ながら、日本ではICTの活用が国を挙げて広がるどころか、半ば諦め
られているという現状です。

一方、対面教育とeラーニングのいいとこ取りをした方法があります。これ
がブレンデッド・ラーニングです。幸い本学では全員にノートパソコンを
持たせているので、ネットを併用した教育手法が効果的ではないかと考え
実践しています。お陰で、最近は少しですが成果も出てきました。

このブレンドの最先端を行くのが、University of Central Floridaです。
世界的に著名な研究者やその実践を支えるエキスパート、素晴らしい施設
とともに理解ある大学トップという大変素晴らしい大学です。UCFの学生数
は53,000人以上と全米でも第3番目というマンモス大学です。学生への講義
にはオンラインで履修できるようにしており、学生へのサービス向上の他、
大学の経営にも寄与しています。

以上は、アメリカならではの状況かも知れませんが、すでにYouTubeなどで
動画が誰でも簡単にアップできる時代です。日本でも、医学部などでは、
ビデオを利用した臨床用の教材作成も増えつつあります。現在、日本では
注目されてはいませんが、いつか取り組まなければならない課題になると
思っています。そこで、UCFの先進事例の見聞は先行投資と思っており、
できればNGUで展開できるようにしたいと考えています。

以上、簡単ですが研修の目的でした。
なお、以下が研修先です。(Google Mapsで検索してください)

University of Central Florida
Center for Distributed Learning

3100 Technology Park Way
Orlando, FL 32826-3281


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■編□集□後□記□
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XOOPでのサイト管理に利用する画像には、規定以上のサイズはアップロード
できません。そこで、Picasaでエクスポートすると画像サイズが変更できる
のでこれを使って.NETにも写真を掲載しておきました。お暇なときにでも
ご覧ください。

今日は9.11です。フロリダ州の牧師がコーランを燃やす宣言をしたために、
このニュースが大きく取り上げられています。一時は中止する表明したよう
ですが、これを取り下げになったりと話が混沌としてます。

2010年9月6日月曜日

第60号(2010.09.06)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
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■□□> コジマガ kojimag@    第60号
□───────────────────――2010.09.06─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.060
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。

残暑お見舞い申し上げます。

お待たせしました。半年ぶりのコジマガ第60号です。コア6や留学の準備
やらに忙殺され、後回しにしてしまいました(反省です)。今回ようやく
コジマガを発行する時間的余裕ができましたので、まずはこれまでの半年
をまとめておきます。


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■NGU短信(1) > 2010年度前半の段
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/system/article/detail/1108

新年度がスタートして半年が経過しました。経済学部には定員以上の学生を
迎え、名古屋での4年目をスタートしています。これで現在の学生は、全員
名古屋キャンパス育ちということになります。

すでに.NETで報告されたように年度末には翼館がオープンしました。曙館の
南側に建てられた6階建ての新棟です。この一階にはアメニティ施設として
コンビニ(デーリーヤマザキ)やコーヒー店が入り、寛ぐ場所としてはよい
環境になっています。また、2階にはキャリアセンタが移設され、同時に
資格センタと学生支援センタ(Sプラッツ)が新設されています。また茶室
「翼庵」もあり、国際交流などの行事に利用されています。

秋にはCOP10が隣接の名古屋国際会議場で行われる予定です。本学は、今年に
なって愛知環境賞を受賞し、これまでの環境への取り組み姿勢が評価されて
います。さらに、新棟の屋上には太陽光パネルを設置したり、養蜂への取り
組み(ミツバチ・プロジェクト)も始まり注目を集めています。

また、瀬戸キャンパスには室内プールが完成するなど、時代とともに大学も
大きく変わっています。「百聞は一見に若かず」ですので、OBの皆さんには
大学祭(ホームカミング)などで一度、来学してください。


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■NGU短信(2) > コア6スタートの段
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/gp/index.html

新年度とともにスタートしたのが「コア6」です。「何じゃそれ?」という
声が聞こえてきそうですが、昨年度に採択された教育GPの取り組み名称です。
(詳細はコジマガ55号を参照)

平たく言えば、1・2年生の24ヶ月間で経済学部生としての必要な基本的知識
と考え方を身につけさせる取り組みです。まず、4月22日に第1回目の課題を
CCSから全1年生へ配信しました。春学期には3ヶ月間に渡って実施しました。
試験期間である7月はお休みでしたが、8月から再開しています。

1年生は毎月のテーマに沿った60問を解くことになります。設問は自学自習の
ような択一式だけでなく、穴埋め式も用意されています。また、解説はPDFの
他、ビデオクリップでの説明もあります。キャラクタ「コア博士」が学生を
誘います。2年生が終了するまで、20ヶ月のテーマをこなすことで、3年ゼミ
選択や卒論作成にも役立ててもらうのも狙いのひとつです。

さて、9月2日には特設サイト(関連サイトを参照)で「コア6プロジェクト
ストーリー」がアップされました。どのようにしてここまで進んできたのか
が記事になっていますので、是非ご参考ください。(制作会社の趣味なのか、
妙にプロジェクトX風なのが気になるところですが・・・)また、システムに
どのような機能を付帯しているかについては「事例紹介」をご覧ください。

ここで「経済学コア6」の苦労話をしましょう。まず、テーマに沿って関連
設問を60題揃えるにはかなり苦労します。今月のテーマとして学生に身近な
トピックスを取り挙げていますが、テーマに関して6分野に対して各10題と
いうのは難しい作業です。理論・政策・事情・歴史・データ処理・法制度の
6分野全部をひとりで網羅することは、ほぼ不可能です。

また、教員でも専門と違う分野となると細かい説明に自信がなくなります。
教員の相互チェックが求められ、これが実施までのハードルを上げています。
加えて、制度の変更や用語の統一にも気を遣います。例えば「銀行と利子」
というテーマでは公定歩合といった用語が出てきます。しかし、今はこれは
使わないなど、制度が大きく変更になっていたりします。

テーマが専門に近い先生のご担当であるとても安心です。しかし、私もその
ような傾向がありますが、この場合、逆に専門的になり過ぎるということで
学生には難問となってしまうこともあります。

さらに今回の取り組みは新規のシステム開発を含んでいたので、PMのような
働きが求められました。システム開発の打ち合わせは数十回に及び、結構、
大変でした。しかし、そのお陰でコア6プラスなど面白そうな仕掛けもでき、
満足しています。

いずれにせよこのような取り組みは、他大学ではやっていないことなので、
これらの苦労もいつか花咲く時がくるでしょう。


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■最近のゼミ・講義から
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☆関連サイト:http://ecollege.cccties.org/

2010年度は、基礎セミナー(本年度より「基礎演習」から名称変更)もなく
講義ばかりの半期でした。担当した科目は「日本経済入門」「情報経済論」、
「統計学」「統計学入門」などです。新規の授業は大学院の授業科目です。
「情報経済論研究」という講義に院生が1人と学部生が3人登録しました。
(現行カリキュラムでは成績優秀者は大学院の授業を「上級経済学」として
履修できます。)彼らの授業はTIESを使ったフルオンラインで実施しました。
自宅から授業を受けている彼らも最初は違和感があったようですが、慣れる
と結構できるものです。

これまでは、NPO法人CCC-TIESと産経新聞との連携で「産経eカレッジ」を
夏に開催してきました。(コジマガ44、54号を参照)今年度からはNPO法人
CCC-TIESが主催する「みんなのTIES eカレッジ」としてリニューアルして
開催しています。期間は以下の通りです。

期間:8/20(金)~9/30(木)

関連サイトのURLからアクセスできますので、是非、チェックいただきます
ようお願いします。私も「データ表現技法」の2回分を公開していますが、
従来と違って、クロマキーを使って撮影して、背景に編集を加えています。
「コア6」でも利用している解説コンテンツです。

次に、第2回全国大学対抗TIESタイピング大会が創価大学で行われました。
名古屋学院は、個人部門・大学対抗準優勝でした。
(以下のURLを参照:http://www.ngu.jp/system/article/detail/1106)

戦略的大学連携(戦略GP)では、ネットでの完全単位互換を目指しています。
連携6大学がコンテンツを出し合って、これを相互に単位互換するものです。
本学経済学部から提供するコンテンツとしては、やはり本学の特色が出せる
ニッチなものである必要があります。そこで「陶磁器産業とまりづくり」と
して、古池先生にコース構想のお願いをして、ビデオや写真などでデジタル
素材の収集を開始しています。もし、このまま時間が経つと廃れてしまい、
二度と手に入らない技術やなどを記録するだけでも大きな意味があります。
きっと1年後には素晴らしいコンテンツが蓄積されることでしょう。


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■編□集□後□記□
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半年間も記録しておかないと忘れてしまいます。Googleカレンダーなどを
見ながら何をしてきたかを思い出してみました。

さて、恒例の夏の飲み会(8月14日)ではいろいろとお世話になりました。
いつもは1次会でヘロヘロになり失礼しますが、久しぶりに2次会にも顔を
出して、楽しい時間を過ごすことができました。

スマートフォンからツイッターで発信しているOBも多く、彼らに触発され
私も少しずつですがつぶやいています。ただ、ミニブログという割には、
あまりにブログ的でないのに違和感を覚えてなりません。
(そのうちに慣れることかも知れませんが・・・)

2010年3月25日木曜日

第59号(2010.03.25)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第59号
□───────────────────――2010.03.25─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.059
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


前回のコジマガを送信後、なぜバタバタしていたのか?と自分でを振り返りを
してみました。年末からは卒論指導の合間に、教育GP関連でコア6の問題作り
やビデオクリップの作成に取り組んでいました。これまでの教育コンテンツを
マルチメディア化する作業のひとつに『経済学部生のための基礎知識300題』を
使っています。クロマキーを用意して、あたかも天気予報のごとく説明をする
という体験をしました。テレビ局からすれば、お遊び程度のことでしょうが、
学生に伝わればOKです。

また、戦略GPではTIES川柳(下記の記事参照)や授業撮影など現場の仕事から
マネジメント関係と多岐にわたる業務をこなしてきました。矢継ぎ早にやって
来る仕事でしたので大変でしたが、どれも成果として残るものばかりなので、
楽しんで取り組んでいます。

ただ、それを言い訳にして、コジマガを数ヶ月も出さないはいけません。

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■NGU短信 > TIES川柳コンテストの段
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☆関連サイト:http://www.tiesnet.jp/link/senryu_2009/senryuu_kekka.htm

TIESで川柳コンテストが行われ、結果が発表されました。受賞作品については
関連サイトをご覧下さい。今回のテーマは「試験・テスト」です。開催期間が
丁度、学期末試験の期間であったこと、そして、テスト準備でTIESのアクセス
が増え、自分たちの苦労やテストへの思いも募る頃と思い、このようなテーマ
設定をしました。

第1回目ということや告知期間も短かったので、応募は少なかったのですが、
センスの良い面白い作品が集まりました。驚いたのが、学生に限定するつもり
でしたが、教員や職員からも投稿させて欲しいということになったので、これ
もOKにしました。(先生からの投稿作品も選ばれ、iPodを獲得されました。)

応募要領は、TIESユーザから広く受け付け、そこから優れた作品を連携大学で
ピックアップしました。これが予選になります。優れた作品をTIESの全ユーザ
を対象として一般投票を実施しました。ですので、皆さんも1票を持っている
ことになります。ここでの投票結果は、なるほどと思う句が高い支持を集めて
いました。

次年度はもっと多くの参加を募るような仕組みを考えたいと思います。例えば
OBからの投稿を受け付けることも面白いかも知れません。もしそれが実現した
時には、皆さんがこぞって投稿していただければ幸いです。


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■最近のゼミ・講義から
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/system/article/detail/869

3月16日(火)に卒業式が行われました。前日の大雨は午後なって晴れ上がり
卒業生の門出を祝うのはに良い日和となりました。今年はCOP10関係の事情
によりお隣の国際会議場でなく、鶴舞にある名古屋市公会堂での開催になり
ました。金山にある市民会館は通学路であり至便ですが、さすがにC大学の
名前が付いた施設で公式行事はできません。(思わぬ排他的戦略です。)

学外での実施のために学位記をゼミごとに交付することができず、ゼミ生が
一同に集まる機会が用意できないという心配がありました。しかし、式典後
公会堂の4階で学部主催のパーティが開かれましたので、ここでゼミ修了証
を皆に渡すことができました。しばしの歓談時間で、ゼミ生以外にも多くの
学生と談笑や一緒に写真を撮る機会になりました。

.NETからの連絡にもあったように、夕方からはゼミの追い出しコンパです。
今年は3年ゼミの募集を停止したので、追い出すメンバがいないという状況
でした。しかし、数人のOBや2年ゼミで教えた3年生が彼らを送り出すため
に集まってくれました。飲み会では、4年間ずっと同じゼミだった卒業生が
これまでで一番多く、新入生合宿などの話で盛り上がりました。

最後に彼らへの餞の言葉は卒論からスタートしました。卒論の仕上がり具合
の平均はこれまでで一番高かったのですが、自分としては満足していないと
云いました。そして、自分の本当の目的は卒論を全員が楽しく取り組ませる
こと。仕事や人生はすべてが楽しいわけがなく、辛く苦しいことが多いはず。
しかし、自分の気持ちを前向きにすることで、それらを楽しいプロセスへと
変えてゆくことができるはずと述べました。

これにより、また自分でゼミのハードルを高くしてしまいましたが、これを
達成するのが新たな課題です。これからも引き続き卒業生たちとの競争です。


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■編□集□後□記□
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早いもので、来週から新年度が始まります。桜も開花し、季節は入学準備に
余念がありません。という自分は授業の準備も心の準備もできていない状況
です。今、目の前にあるやるべきことをコツコツやれば、きっと上手くゆく
はずです。

コジマガも次回から60号台へと進みます。今年度もありがとうございました。
OBの皆さんも季節の変わり目だけに、ご自愛専一に。

2010年3月1日月曜日

第58号(2010.03.01)

□ Nagoya Gakuin University, Faculty of Economics
□―――――――――――――――――――――――――――――
■□□> コジマガ kojimag@    第58号
□───────────────────――2010.03.01─――
□ Kojima seminar Mail Magazine, Vol.058
*等幅フォント(MSゴチックなど)でご覧ください。


 大変ご無沙汰しました。2010年初めてのコジマガで、昨年11月19日に発信
して以来のコジマガです。恒例のOB会の忘年会は所用で欠席せざるを得ず、
また喪中にて新年のご挨拶もままならずという状況でしたので、いたくご心配
をおかけしました。

依然として追い込まれた状況からは完全に脱出できていません。コジマガの
ペースも不規則になりますが、何卒、ご寛恕ください。


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■NGU短信 > 第8回経済学部卒業研究発表会の段
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☆関連サイト:http://www.ngu.jp/system/article/detail/730

昨年12月9日(水)に第8回経済学部卒業研究発表会が国際会議場で執り
行われました。学内審査会から公開審査会という形式に進化して2回目の
発表会です。ゼミからは3名が公開審査会で発表できる機会を得ました。

公開審査会は大学の同窓会長や商店街の代表の方に審査員に加わって
いただき、経済学部の教育内容・成果を知ってもらう良い機会となりました。
選抜された6名の発表はいずれも素晴らしく、内容も非常に高いものでした。
結果として、本ゼミの4年生の発表が最優秀賞に選ばれました。これは従来の
経済学部長賞に相当する賞です。今回のsomething newは、最優秀賞に
対して持ち回りトロフィーを用意したことです。最優秀の学生をこれで顕彰し、
ゼミで1年間預かる形式だそうです。このようなトロフィーはひとつのゼミ目標
となり、モチベーションを維持するにも良い装置だと思います。頑張る学生達が
浮き上がることにもなり、相互に学生が刺激し合い、大学が活性化する仕掛け
になることでしょう。

詳細な結果については、上記URLを参照下さい。


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■最近のゼミ・講義から
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☆関連サイト:http://www.tiesnet.jp/

今年度の卒業論文は2010年2月5日までに履修者全員が修了し、20篇が揃い
ました。以下で、春学期から終了までゼミ生の軌跡を簡単に報告します。

一昨秋のリーマンショック、昨秋のドバイショックの影響で、今年の4年生は
大変厳しい環境にさらされました。1年以上の長い就職活動でもなかなか
結果が出ないことに、彼らの心は折れてしまっていたようです。6月頃まで
は活動報告を聞いた後、激励とともに彼らが少しでも動けるような言葉を
かけるようにしました。しかし、夏が近づくと心理的に追い込むことになる
ので、こちらとしても励ます術がなくなってきました。

いよいよ秋になり、全員を卒論作成に向かわせました。長距離マラソンの
ゴールを目指して自分で走ってもらわなければなりません。そこで各自の
終了期限を皆の前で宣言をしてもらい、それに向かって皆でスタートする
はずでした。しかし、自主活動のサブゼミは決まったメンバしか集まらな
かったりと、思うように進まないので内心ヤキモキしていました。

ようやく卒業研究発表会にエントリした5人が、集団から抜け出しました。
それに併せるように次々にラストスパートをかけ始めます。日本人は互い
の進捗を見ると思った以上にやりはじめます。今年も卒業研究発表会へ
エントリしなかったゼミ生に対しては、発表のビデオ撮影を行いました。
個人情報にも配慮して、Powerpointのみを映すという形式で全員分を収録
しました。(実際の内容はTIES「卒業研究2009」を参照下さい)

11月13日から新品の赤ペンでダメ出しを開始し、「はじめに」「おわりに」
などをチェックをしました。1本目のインクは1月中になくなってしまい
ました。早めに進める学生によって、多くの時間をチェックに割くことが
できました。ダメ出しPDFは計59回がTIESアップされています。学生相互の
ダメ出しも盛んになり、前年度のペースを維持できたように思います。

特筆すべきは、2009年の最後のゼミで一人が卒論を完成させました。年内
終了は、これまでのゼミの14年に渡る歴史で初めての快挙です。200名以上
のゼミ生が挑戦し、ようやく大きな壁を乗り越えたという事実に感動する
ばかりです。

もちろん、本人は期日を明確にして目標に向かって努力をしていました。
孤独なマラソンランナーであったかも知れません。(実際、長距離選手
あったことに精神的な強さを感じます)自分は彼らのコーチとして十分に
助けとなったかどうかは不明ですが、必ずやればできるという成功モデル
として、これから語り継がれる事例です。やはり、奇跡は起こります。


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■編□集□後□記□
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毎年、年末のOB会で発表するゼミのテーマを決めていませんでした。自分
としては、昨年の「好奇心と情熱と」を再掲させてもらいたいと思います。
いよいよ先が見えない時代に入りました。どのように生きたらよいのかが
見えづらい時代にこそ、この2つの要素が重要となると思われるからです。

哲学者Ralph Emersonの言葉"Every wall is a door"でも良かったのですが、
困難をイメージするよりも前に自分の興味の赴くまま、夢中になる方が良い
と考えました。

curiosity and passion です。